ニンテンドーDSでよみがえった王道RPGは、やっぱり王道を行っていた「ヘラクレスの栄光 魂の証明」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年06月05日 00時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

オーバーキルをうまく使え

 また本作では、魔物を大ダメージで倒した場合に“オーバーキル”という状態になる。オーバーキルが発動すると魔物がエーテル化し、その際に倒したキャラのMPが回復するのだ。そのほかにもキャラのMPを回復する手段が割とあるので、ダンジョンに長く潜って戦闘を続けることも可能だ。

 戦闘中にできることは多く、また、魔物ごとに弱点属性が異なるので、かなりタクティカルにプレイすることができるはずだ。特にボス戦は、それぞれに特徴のある攻撃をしてくるので、攻略のし甲斐があるだろう。じっくり腰を据えて楽しめる戦闘システムではあるが、戦闘テンポの悪さが非常に残念。戦闘時に行われる処理が多いからというのもあるが、ひとつひとつのモーションが若干もっさりしており、長く感じるというのは否めない。もう少しだけでも早かったら、より快適なプレイができたろうにと、惜しく思ってしまった。

 なお、一般的なRPGではレベルが上がることで魔法やスキルを習得するが、本作ではその流れが少々異なる。魔法やスキルを覚えるには、まず神殿や呪術屋に行く必要があるのだ。神殿で神の像に祈ることでスキルを、呪術屋地下のプロメテウス像で祈ることで魔法を覚えるのだが、覚えただけではそれらは使えない。覚えたあとにレベルが上がることでようやく使えるようになる、という流れだ。

画像 オーバーキルでMP回復を狙おう。MPさえあれば回復魔法を駆使しながらダンジョンの奥に潜っていける
画像 神殿ごとに祀っている神様が異なる。もちろん神様ごとに授けてくれるスキルは違うし、プロメテウス像も街ごとに違う魔法を授けてくれる
画像 装備やスキルは戦闘準備画面でいつでも確認可能だ

DSでよみがえった新生「ヘラクレスの栄光」は、骨太かつ自由度ある佳作

 個人的に本作で最も面白かったのは、魔物を倒すと武器や防具の素材が手に入るという点。ダンジョンの宝箱などからもさまざまな素材や錆びた武器、防具などが手に入る。錆びた武器は街の磨き屋で磨くことで使える武器になるし、鍛冶屋に行けば今ある武器を改良したり、新たな武器を作ってくれたりする。もちろん必要な素材がないと作れないわけで、これとあれが足りないからアイツを倒しに行こうか、などと考えてプレイする楽しみもある。キャラによっては片手に剣、片手に弓矢を装備させることもできるし、呪術屋で買える魔法弾(魔法が発動する爆弾)も、魔物によってはかなり効果的だ。さまざまな武器、魔法、スキル、アビリティ……それらを組み合わせた戦闘プレイの自由度はかなり高いと言える。

画像 磨き屋でサビを落とすと、強い武器に生まれ変わるかも?
画像 作成や強化の選択肢はプレイが進めば進むほど増えていく
画像 タンスの中のアイテムを盗るとロコスに嫌われたり、幸運が下がったりしてしまう。RPGの物盗りに一石を投じ、プレイヤーの良心に訴えかける斬新なシステム(?)だ

 ストーリーは一本道だが、戦闘ではいろいろなことができる、という点もそうだし、神話を題材にしたファンタジーな世界観もそうだが、本作はいわゆる“王道RPG”のひとつだと言っていいだろう。“RPG”とひとくくりに言っても、最近は世界観にせよ戦闘システムにせよ多種多様になっていて、○○RPGとか△△RPGなど、さまざまなタイプのRPGが存在する。そんなご時世に、濁りなく「ザ・RPGです!」と言える骨太なタイトルが出てきたな、というのが筆者の本作に対する印象だ。しかもそれがかつてファミコンRPGの黎明期に手にとった「ヘラクレスの栄光」の最新作というのも、何だか感慨深い。

画像

 キャラが喜怒哀楽をアイコンで表現する演出が2Dの頃のRPGを思わせるし、本作ならではのオリジナリティもしっかりと感じることができる。ニンテンドーDSで本格的なRPGをお探しのユーザーがいるなら、候補のひとつに挙げてもいいのではないだろうか。少なくとも、かつて「ヘラクレスの栄光」をプレイしていた人たち、カセットの接触が悪い時にカセットを抜いて接触部分をふーふー吹いていた人たちならば「ヘラクレスの栄光」というだけで食指が動いているかもしれない。かつての「ヘラクレスの栄光」とはまったく違うものではあるけども、ちゃんとしっかりRPGしている本作も、これはこれでいいものだ。筆者としては14年ぶりに「ヘラクレスの栄光」が復活した、ということを素直に祝いたい。

 ちなみに旧作「ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙」と「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」は、Wiiのバーチャルコンソールで購入することができる。本作をプレイして旧作に興味を持ったら、こちらもチェックしてみてはいかがだろうか。また違った「ヘラクレスの栄光」が楽しめることだろう。

(c)2008 Nintendo / PAON


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」