“和”と“間”で魅せる、秀逸なホラーアドベンチャー:「零〜月蝕の仮面〜」レビュー(3/3 ページ)
射影機と霊石灯をレベルアップして、怖ろしい怨霊に備えよ
射影機での戦いについて、少し突っ込んでみよう。まず、霊が近くにいる時は、画面中央上の霊フィラメントが反応する。赤い点灯がついている場合は攻撃的な霊が近くに潜んでいる。霊を発見したらBボタンを押してファインダーモードに切り替えよう。霊を画面上で捉えたらZボタンでロックオンできる。霊を捉えている間は霊力がチャージされる。画面中央の表示で霊力のチャージ状況が分かるので、なるべく最大までチャージしてからAボタンでバシュッと撮影しよう。ダメージを多く与えれば与えるほど、ポイントがもらえる。このポイントはセーブポイントで回復アイテムなどと交換できるので、できるだけ稼いでおきたい。
射影機はプレイ中に取得する強化レンズで強化することができ、さまざまな能力を付与することができる。また基本性能および強化レンズは、プレイ中に手に入れた「青い霊力の欠片」や「赤い霊力の欠片」を使用することでレベルアップできる。射影機は使うフィルムによっても霊に与えるダメージが異なるので、手強い相手にはより強力なフィルムを使うなど、レンズやフィルムの適材適所な使い分けが必要だ。
なお、射影機に「報」という装備機能が備わっていると、撮影時の画面中央上に「フェイタルフレームランプ」が表示される。このランプが点滅中に撮影すると、霊へのダメージやもらえるポイントも高く、連続撮影によるコンボも狙うことができるようになっている。フェイタルフレームは、積極的に狙っていきたい攻撃だ。
プレイヤーキャラの女の子たちは射影機で霊と戦うが、長四郎は霊石灯で戦うことになる。霊石灯はシリーズ初登場のアイテムで、見た目は懐中電灯のようなものだが、霊石に蓄えられた月の光で霊を鎮める特殊な機械だ。射影機と同じく、Bボタンで構える。Aボタンを押している間に霊石灯の照射範囲が拡大し、灯りが霊を捉えている時にAボタンを離すとダメージを与えられる。画面右下の月霊力メーターに気を配りながら攻撃を与えていこう。霊石灯も性能やレンズの強化を図ることができる。行く先々で強化のためのアイテムを見逃さないように手に入れていきたい。
Wiiリモコンとの相性もよく、“ホラー”にして“ゲーム”の秀作
本作の恐怖は、画面上だけでは収まらず、Wiiリモコンにまで及ぶ。もちろん振動による演出も効果的に使われているし、Wiiリモコンから音が出る機能を使って、絶妙なタイミングでWiiリモコンから効果音や誰かの声が聞こえてきたりするのだ。最初にWiiリモコンの声を聞いた時はさすがにビックリした。また、いい感じでこもった音質が、雰囲気モノで効果を上げているのである。Wiiリモコンによる懐中電灯の操作とともに、Wiiならではのユニークな要素だと言える。
恐怖を体験できるゲームは数あれど、その中でも「零」シリーズは筆者の中で「クオリティが高い」部類に入っていた。本作をプレイしてその思いはさらに強まった。本作もやはり恐怖のクオリティが高い。前述したような“間”の演出も秀逸だし、けして映像偏重にならず、射影機による戦闘やほどよい謎解きなど、ゲームとしての面白さも損なわれていない。また、クリア後のお楽しみ、2周目以降のやり込み要素も充実している点も高く評価したい。任天堂からいくつかのバグの報告があった点は残念だが、それらに気をつけさえすれば、楽しくプレイできるはずだ。
「ホラーゲームはやりたくないし、ホラー映画も怪談も大ッ嫌い!」という人も世の中にはわりといるわけで、そういった方々にはもちろんあまりオススメはしない。怖いのが得意な筆者ですら「怖ッ!」とか「うわ、これ先に行きたくねえよ〜」とか悶々としながらプレイしたくらいだからだ。夜に部屋を暗くしてヘッドフォンでやってみたりもしたのだが、ねっとりした霊気のようなものにすっかりやられてしまい、嫌〜な汗をかいてヘトヘトになってしまった。プレイ直後は部屋の中の些細な音が気になって変にビクついたりもした。しかしそんな体験すら、何だか心地いい。“ホラー”としての、そして“ゲーム”としての質の高さには太鼓判を押したい。あとはそれを受け入れる覚悟があるかどうかだ。恐怖大好き人間には、ぜひぜひプレイしてもらいたい秀作である。
「零〜月蝕の仮面〜」 | |
対応機種 | Wii |
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
発売日 | 2008年7月31日 |
価格(税込) | 6800円 |
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