「なんらかのアクションを期待して」――スクウェア・エニックス、テクモに友好的TOB提案に関する記者会見

スクウェア・エニックスがテクモに対して友好的公開買付け(TOB)を表明したことについて、記者会見を行った。

» 2008年08月29日 16時17分 公開
[加藤亘,ITmedia]

ともに歩んでいきたい、だから賛同してもらいたい

スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田氏は、今回の提案は5月より進めていたもので、急に降ってわいた話ではないと強調

 既報のとおり、スクウェア・エニックスは、テクモの発行する普通株式を公開買付けの方法により友好的に取得することを目的として、テクモの取締役会に対し賛同の意見表明を得るための公開買付けの条件案を提出。本日8月29日、帝国ホテルにおいて記者会見を行った。

 本件は、テクモの株式を友好的公開買付けの方法により取得することを目的として提出したもので、9月4日までにテクモの取締役会から賛同の意見表明が得られることを前提としたもの。そのため、同日までに回答がないか、またはテクモの取締役会の賛同が得られない場合は、本案による公開買付けを実施しないとしている。なお、本案の骨子として買付価格は1株につき920円。8月28日の終値(706円)に対し、30%強のプレミアムを付加。買付予定の株券の数は、下限が発行済み株式総数に新株予約権の滞在株を加えた完全希釈化後の株式総数の過半数に、上限はなしとしている。

 スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏は、今回のTOBの意義について「世界的にエンタテインメントとして成長も堅調なゲーム市場だが、かつてのように日本が牽引しているわけではない。ゲームというコンテンツ産業を支える重要な一角として、日本の企業が世界に対して影響を及ぼすべきと考え、世界を相手に戦っていく上で、手を組むべきは組んで世界展開をしていくべき」という理念の元、スクウェアとエニックスの合併や、タイトーを買収した際の方針となんら変わりなく進めてきたと前置き。ゲームが関連するビジネスラインをすべて押さえ、海外拠点の強化、そしてさまざまなブランドを生かした多様な展開をはからんと、10月1日より持株会社体制に移行することをにらんでの提案だと語る。

 一方、テクモはいくつものコンテンツを持っており、ビジネスラインも広範だ。さらにこれから飛躍するには、特に世界展開に絞ればいかに自社で流通させていくかが課題となる。和田氏は、テクモの創造能力とスクウェア・エニックスが合体すれば大きな勢力になると、5月より先ごろテクモの代表取締役社長に就任した柿原康晴氏と意見交換を行っていたと明かす。元代表取締役社長の安田善巳氏とも具体的な話には触れていなかったが、思想的な部分で合致することが多かったと、TOBに関して急に進めてきた話ではないと強調した。

 ただ、発表がこのタイミングになったことについては、テクモの決算発表において発表された安田氏の代表取締役社長辞任の報が間接的なきっかけになったと、不安が後押ししたことに言及。株価の下落や常勤の取締役が1人になることなども影響し、当初希望していた話が停滞することを懸念し、昨日書面をテクモ側に提出。本日の発表に至ったと説明した。

 「ゲームはもちろん、クリエイティブなコンテンツは、1人の天才が作るわけではなく、チームで作るものです。チームの一部分が崩れると全滅と同等の状態になることから、チームの保全が重要と考えています。(テクモで働くクリエイターや社員が)動揺されているようなら、その理念からも我々の意見を述べておくべきと、発表に至りました。テクモ経営陣に賛同していただき、株主への説得の協力をしてほしいというのが今回の提案なわけです」(和田氏)

 和田氏は、会社は誰のものかという話をしているのではなく、会社の価値の源泉は経営陣であり、社員であり、人材の塊だと持論を述べた。「世界に対して価値貢献できるチームを有するテクモの社員に、いかに気持ちよく成果を出してもらえるか。彼らの不安解消とモノ作りの環境維持のために、我々からのメッセージを出したかった」と、発表がひとつのきっかけになればとの思いがあったと、テクモ側からの回答に期待感を述べた。

 なお、テクモの組織およびブランドについては現状のままで、スクウェア・エニックスおよびタイトーと同じく、スクウェア・エニックス・ホールディングスの傘下企業と位置づける考えを表明している。


 今後はスクウェア・エニックス側からの発表に対する、テクモ側からの回答を待つことになる。920円という提示もあくまでも方向性を示しただけで、さまざまな条件については今後議論していけばいいことと和田氏。ちなみに、スクウェア・エニックスが提示した買付価格であれば、追加の資金調達は必要とせず、手元資金で十分にまかなえるとのこと。

 どのような回答を得られるかは別にして、例え拒否されたとしてもテクモ側の議論がフィードバックされた段階で対応をしたいとスクウェア・エニックス側は考えている。あくまでも会話を求めての今回の発表になったと説明しているが、逆に見ればなかなか実務的な議論に進まないテクモ側へしびれを切らしたとも言える。テクモ側が9月4日の回答期限までに、どのような議論が行われ意思決定するのか注目したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」