大軍を率いて大軍と戦え! ド迫力の戦闘が楽しめるRPGのニューカマー「ラスト レムナント」レビュー(2/2 ページ)

» 2008年12月15日 14時36分 公開
[仗桐安,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ユニオンVSユニオンで展開する、大迫力のバトル

 本作最大のウリと言っていいのが“戦闘”だ。通常のRPGでは、自分以外に数名のパーティーメンバーがいる状態で戦闘する。仲間がどれだけ多くても、一度に戦闘に参加できる人数は限られているケースが多い。しかし本作では、数十人の仲間とともに、大勢の敵を相手にバトルをすることになる。敵味方合わせて多数の軍勢が入り乱れるバトルが楽しめるのだ。

 本作では個々のキャラクターのことをユニットと言い、ユニットはリーダーユニットの存在するユニオンに所属することになる。このユニオンは最初はそんなに多く持てないが、ストーリーが進むと一度に持てるユニオンが増えていき、また、ユニオンに加わるリーダーや兵士たちの選択肢も増える。

 プレイヤーはバトル時にユニットごとに指示を出すわけではなく、ユニオンに対してコマンドを選択する。実際に戦闘がスタートすると、まずは敵ユニオンの選択から始まる。左スティック、または方向パッドで敵ユニオンを選択したら、バトルコマンドの選択だ。バトルコマンドには「攻撃しろ」「臨機応変に対応しろ」「待機してからカウンターを狙え」「HPに余裕を持って行け」など、大まかな選択肢が並ぶ。

 ひとつのユニオンには何人かのユニットがいるわけで、彼ら全体に向けて命令をすることになる。戦闘に参加している味方が多くてもコマンドは4、5回で済んだりするわけだ。この感覚は、どことなくシミュレーションRPG的なニュアンスがある。

photophoto 同じ“攻撃”でも、「攻撃しろ」「慎重にいけ」など、敵の強さや状況によってフレーズが変わったりする。なかなか面白いシステムだ

 もちろん、誰をどのユニオンに配属しておくかという事前の設定も重要だ。メニュー画面のユニオンボードからリーダーやメンバーや陣形を決定していく。各ユニットのステータスを見ながら、より効率よく戦えるメンバー選びや陣形を考えるのが、なかなか楽しい。ラッシュ以外の装備は自由に変えられないが、街に入ったタイミングで、戦闘で得た報酬から各自が自分の武器を強くしてくれる。長く一緒にいるユニットには、きっと愛着も湧いてくるだろう。

photo 陣形は数パターンある。戦略に合わせて陣形を変えてみよう
photo リーダーの個性に合わせてユニオンのメンバーを構成すれば、百戦危うからずだ

 さて、戦闘時の流れに話を戻そう。バトルコマンドから例えば「攻撃しろ」を選んだとする。すべてのユニオンに命令を終えると、いざバトルだ。味方ユニオンと敵ユニオンが接近し戦闘に入ると「ロックアップ」という状態になる。ロックアップ中は、どちらかのユニオンが壊滅するまで戦うことになる。

 このロックアップは、HPを回復するなど、戦い以外の行動を命じた時に解除されたりもする。また、ロックアップしようとしているところに別のユニオンが妨害をしてくる「インターセプト」、ほかのユニオンとロックアップ中のユニオンに側面から攻撃する「サイドアタック」、遠距離攻撃中などの敵に接近してロックアップ状態に持ち込む「レイドロック」など、さまざまな状態表示がある。

 ロックアップしつつそれぞれのユニオンが戦っている状況で、「あの敵ユニオンがもう少しで倒れるからターゲットを切り替えよう」とか「味方がピンチだからここは回復に回ろう」など、状況に応じてロックアップを解除するという選択肢もある。ただ、ロックアップを解除すると、その前まで戦っていたユニオンに一方的に攻撃をくらってしまったりするので、リスクも覚悟の上で行動する必要がある。

photo ロックアップで激しい戦闘に突入
photo ロックアップ中はとことんやりあうことになる。状況を見てロックアップを解除することも必要

 各ユニットにはアーツと呼ばれる技があり、物理攻撃系のファイティングアーツ、間接攻撃系のミスティックアーツ、ユニットごとにまったく異なる固有アーツなどがある。固有アーツにはそのユニットならではのド派手でカッコ良いものが多く、もちろん大ダメージも期待できる。敵ユニットにも固有アーツを持っているキャラクターがいるので気をつけよう。

photo アーツによる攻撃など特殊なコマンドはAP(アタックポイント)を消費する。その分の効果も期待できるので、アーツはどんどん使っていきたいところだ

 また、本作の戦闘で独特なのが画面上部にあるモラルゲージだ。このゲージは敵と味方のモラル(士気)を現しており、バトル中の行動内容によってゲージが変化していく。味方のゲージが多い時はダメージ量増大など味方に有利なことが起きる。敵にサイドアタックやインターセプトされるなどして敵側のゲージが増大した時には、逆に敵ユニオン側に有利な状態になるので警戒が必要だ。

photo モラルゲージは最初はニュートラルだが、戦局に合わせて随時変化していく

 一度コマンドを選択すれば、後はただ敵と味方の戦うさまを見ていればいいのかというと、そうでもない。戦闘画面を見ている間も、プレイヤーの介在する余地がある。それがトリガーチャンスだ。ユニットの動きが一瞬スローモーションになり、画面中央にボタン表示が出たら、トリガーチャンス到来。表示されているボタンをタイミング良く押すことで、味方の行動順が早まったり、ダメージを軽減するなど、有利な結果を得られる。最初はタイミングが難しいかもしれないが、慣れてくるとパーフェクトと表示されるタイミングでボタンを押せるはずだ。

 戦闘が終われば、敵モンスターごとに異なるアイテムを手に入れることができる。このアイテムを素材として武器やアクセサリーを生成したり強化できるので、しっかりもらっておこう。たまにモンスターそのものが生け捕りされてアイテム欄に表示されることがある。この生け捕りされたモンスターはバラして素材にしてもいいし、そのままアイテムとして持って帰って街で売ってもいい。お金が欲しい時は生け捕りのままにしておこう。

photo ラプトルの生け捕りに成功! こいつを売って軍資金にするのだ
photo モンスターから得たアイテムを集めて武器や装備品を強化しよう

RPGファンよ、腰を据えてかかるべし――オリジナリティの強い骨太RPG

 あたかもシミュレーションRPGのような、そしてMMORPGをソロで体験しているかのような戦闘システムのユニークさこそが本作の最大のセールスポイントだと言っていい。ただ、戦闘システムについては好き嫌い、賛否両論あるかもしれない。

 戦闘が終わればHPなどが全快する仕様なのだが、それゆえか、雑魚戦でも油断すると全滅してしまうことがある。常に緊張感があって骨太であるとも言えるが、RPG初心者には若干きつめの難易度とも言えるだろう。

 ボス戦などの大きな戦いでは、大まかなコマンドゆえにもどかしく思う時もあるし、ユニオンVSユニオンの大勢によるバトルなので、1戦に40〜60分かかることもある。時間をかけて勝利ができればうれしいものだが、敗北してしまった時の疲れもまた大きい。トリガーチャンスなどで気が抜けないようにはなっているが、長期化すると戦闘自体がだれてくる印象は否めない。戦略と迫力を楽しめる面白いバトルシステムなだけに、いろいろと惜しいところも目立つといったところか。このあたりは、ぜひとも続編で改良していって欲しいところだ。

 気になる点や残念に思う点はあるものの、この冬、じっくり腰を据えてやるRPGのひとつとしてプレイしてみるのはいいと思う。素材アイテムによる武器や装備品の生成・強化や、各ユニットの強化、ファイティングアーツやミスティックアーツといった技の習得など、やり込める要素はふんだんにある。

 寄り道的に用意されたクエストやギルドアドベンチャーなども非常に多いので、すべてを楽しみ尽くそうと思ったら相当な時間がかかるだろう。戦略性のある骨太な戦闘システム、独自のファンタジー世界、長大でやり込めるRPG、それらの要素がストライクゾーンな人は、気にかけておいてほしいタイトルだ。

photo ドリルというキャラによる採掘・採集も楽しいやり込み要素だ

 最後に言っておきたいのが、筆者が本作で最も気に入った要素が“音楽”であるということ。もちろんほかの要素もしっかり作られているが、場面場面でプレイヤーの気分を的確に盛り上げてくれる本作のBGMは聴いてて心地よかった。ボス戦でもないのに、戦闘中に最終局面になると音楽が切り替わるなど、細かい演出もうれしい。本作をプレイして音楽が気に入った人は、関戸剛氏と山中康央氏による「オリジナル・サウンドトラック」が発売されているので、こちらもぜひチェックしていただきたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/17/news023.jpg 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  2. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  3. /nl/articles/2404/17/news136.jpg もう別人じゃん! miwa、大胆イメチェンで面影ゼロに「まさかのこんな色になってるとは」「だれー!?」
  4. /nl/articles/2404/17/news111.jpg 「ぶち抜きたいです」 辻希美、懇願拒否された13歳長男が“荒くれ反抗”……息子の室内破壊に嫌悪あらわ「言葉が出ない」
  5. /nl/articles/2404/16/news185.jpg 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  6. /nl/articles/2404/17/news029.jpg 「キュウリが冷凍できるとは76年も生きて来て知らんかったなあ」 野菜ソムリエプロが教える冷凍&活用アイデアが328万再生
  7. /nl/articles/2404/17/news117.jpg 「虎に翼」、壮絶過去演じた16歳俳優に注目の声「違国日記の子か!」 「ブラッシュアップライフ」にも出演
  8. /nl/articles/2404/17/news025.jpg 築36年物件の暗くてボロいトイレをリメイク→ぐーんと垢抜け! 驚きのビフォアフに「すごいですね!」「天才」の声
  9. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  10. /nl/articles/2211/26/news054.jpg 辻希美&杉浦太陽、15歳迎えた長女のレアな“顔出しショット”でお祝い 最近は「恋バナ」で盛り上がることも
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」