格ゲー旋風再来なるか? 21世紀型「ストリートファイター」満を持して登場「ストリートファイターIV」レビュー(2/2 ページ)

» 2009年02月17日 11時50分 公開
[松井悠,ITmedia]
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対戦こそがストリートファイターシリーズの真髄だが……

 筆者は、ひと通りストリートファイターシリーズをプレイしてきたが、ストリートファイターIIIで相手の攻撃を防御するブロッキングシステムが実装された時よりも、今回のセービングシステムになじむのに少し時間がかかった。というのも、セービング関連の行動を行う際に、いままでのプレイとは異なる動作が入るため、ワンテンポ遅れてしまうことが多かったからだ。ただ、何回かプレイを続けているうちに、そこそこスムーズにプレイできるようになった。慣れるまでは、これまでのストリートファイターシリーズと同じ感覚で遊んでみるのも良いだろう。

 また、ストリートファイターIV初心者には、まずはキャラクターの動きになじむこと、それから(やや消極的な姿勢ではあるが)オンライン/オフライン問わず自分の腕前にあった対戦相手を探すことをオススメしたい。確実に勝敗が分かれる対戦格闘ゲームの場合、あまりにも強い相手と対戦すると、ゲームを楽しむ以前の問題になりがちだからだ。負けて覚えることこそが格闘ゲームの基本とはいえど、まずは対戦ゲームの魅力“自分の好きなキャラクター”を意のままに動かすこと、ここからスタートしてみることを強くオススメする。

photo 各キャラクターの必殺技コマンドは、今までのシリーズとほとんど変わっていない
photo ウルトラコンボでフィニッシュした際のKO画面は爽快(そうかい)のひと言

photo 攻撃をヒット、またはガードさせるほど、スーパーコンボゲージは溜まっていく
photo 自分で操作しなくてもコンピューター同士で対戦してくれるモードも用意されている

格闘ゲームの始祖として、課せられた義務を果たせたか?

 ストリートファイターIIから15年、さまざまなハードの垣根を越えて愛され続けてきたシリーズ最新作ということで、久しぶりに格闘ゲームに触れたという人も多いだろう。また、本作がストリートファイターシリーズ初体験という人も少なくないはずだ。

 システムはシンプルだが、それは現役の格闘ゲームプレイヤー視点からのこと。スーパーコンボ、ウルトラコンボを始め、セービング、グラップルシステムは、スーパーファミコンでストリートファイターIIを遊んでいた人たちからすれば、それでも複雑なゲームシステムに違いはない。格闘ゲームの始祖として、格闘ゲーマー以外の人たちに、何かをもう少し用意しておくべきではなかっただろうか。

 新システムを実戦に組み込むためのチュートリアルや、技を出すための練習モード、トライアルモードでも、ボタン入力のタイミングを明示するなど、もっと初心者に対してのアプローチが必要だったのではなかっただろうか。

 ゲーム自体は格闘ゲームの本質を改めて感じさせてくれるデキで、確かに面白い。しかし、その面白さのステージに上がるまでに覚えるべき要素、乗り越えなければならない壁が数多く存在するのもまた、格闘ゲームが本質的に抱えている問題点といえるだろう。

 言うまでもなく対戦ゲームでもっとも大事なことは、プレイヤー数の維持にある。本作に興味を持った人々をいかにして挫折させずに引きとどめ続けることができるのか。格闘ゲームの将来は作り手のそういった意識にかかっているのかもしれない。

 やや苦言を呈したが、もちろんこれらの点は決してゲームの魅力を損なうものではない。次世代機で新たに蘇ったストリートファイター最新作をプレイできることを、まずは喜びたい。

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