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日本とアメリカにおける腐女子の違いとは? 日米腐女子座談会

DIGITAL MANGAとガンホー・オンライン・エンターテイメントは日本と海外の腐女子による座談会を開催した。国籍による様々な違いが浮き彫りになった当日のディスカッションをリポートする。

 ボーイズラブの略語であるBLという単語を様々なところで目にするようになって久しい。BLを好む腐女子に、国籍による違いはあるのだろうか?

当日は15人のBL愛好家が集合

wk_090605fujyoshi01.jpg 当日集まったみなさん。どなたもパワフルな方でした

 日本初の女性オタク層向け総合情報サイト「がる★パラ!」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントは、北米のBLマーケットにおいて65%のシェアを持つDIGITAL MANGAと合同で日米腐女子座談会を開催した。この企画はDIGITAL MANGAが企画した、乙女ロードなど腐女子の聖地を巡礼する外国人向けツアーの参加者と日本に住む腐女子が対談形式で話し合うというもの。

 当日はアメリカやカナダ、オーストラリアから来日した10人の外国人腐女子と、日本の腐女子を代表してアニメ版「間の楔」のプロデューサーである鳥飼えいこさん、アニメ雑誌などでライターを務める株田馨さん、がる★パラ!編集長の杉浦郁代さん、同じくがる★パラ!編集部の赤松愛さん、BLを愛する男性、“腐男子”研究の第一人者である吉本たいまつさんによるディスカッションという形式で進められた。

アメリカで“BL”という表現が使われない理由

wk_090605fujyoshi02.jpg 海外の腐女子の現状について熱心に聴く日本代表。左から赤松さん、鳥飼さん、株田さん

 まずはアメリカのBL文化について理解したい。腐女子歴10年を数えるTracyさんが「アメリカのBLマーケットはまだまだ小さいものです。アメリカで腐女子は“YAOI fan girls”と呼ばれています。なぜ日本のように“boys love”という表現が用いられないかというと、アメリカでboys loveというと少年嗜好(いわゆるショタ好き)を意味するからなのです。ノーマルな人がboys loveと聞くとそういったニュアンスで理解されてしまいますので、YAOIという表現が用いられているんです」と説明してくれた。ちなみにカナダもアメリカと近いということもあってか、似通った傾向であるようだ。


wk_090605fujyoshi03.jpg オーストラリアのBLについて説明するBethanyさん。左が妹のEmmaさん

 オーストラリアではどうだろうか。「オーストラリアは人口が少ないこともあって、アニメやマンガのファンというのもそれに比例して少ないです。けれどやおいファンはすごく自分を主張するし、みんなが家族のようなグループを形成していて、日本のカルチャーをすごく愛しています。アメリカで日本のBLコミックを購入すると12ドルくらいなのですが、オーストラリアでは輸送費が上乗せされるので30ドルくらいになってしまうんです。それでもみんなBLファンをやめようなんて気持ちは全くありません(笑)」今回、妹のEmmaさんと姉妹で参加しているBethanyさんがそう話す。

海外のBLファンは言葉の壁などものともしない

wk_090605fujyoshi04.jpg Wendyさんは自分が所持しているBLコミックを持参してくれた

 英語圏で暮らす人々が「日本語は難しい」とこぼすことは珍しくない。だが、海外に住む腐女子たちにとって言語の壁は問題ではないようだ。「コミックだけではなく、ドラマCDなども日本語版以外ありえないですね。日本の声優のレベルはアメリカの声優なんかと比べ物にならないくらい高いです。私は子安武人さんが大好きで、彼が出演している作品はほとんどチェックしています!」と、15歳のころから腐女子であるというJenniferさんが身振り手振りを交えながら熱く語ってくれた。

 議論が白熱してきて、収まりがつかなくなってくる。Bethanyさんが「日本はBLグッズが本当に入手しやすくてうらやましい! 私は『学園ヘブン』のフィギュアがすごく欲しかったのですが、オーストラリアでは入手する手段がなくて……。すごくジェラシーを感じます」と心底悔しそうに話す。これには赤松さんも、「私も仕事用デスクの周りにたくさん飾るほどフィギュアが大好きなので、その気持ちはすごく分かります!」と同調した。ここに、国籍を超えた友情が生まれた。


wk_090605fujyoshi05.jpg 吉本たいまつさん

 続いて同人誌などのファン活動に関する話題へ。同人誌は(基本的には)アマチュアの作家が制作するものだ。当然、Amazonなどに流通することはない。BL系アイテムを取り扱う海外のお店で同人誌は販売されているのかと吉本たいまつさんが尋ねると、一堂は口を揃えて「No!!」と断言。基本的にイベントでのみの販売だそうで、Kathleenさんはサンフランシスコにて毎年開催されるYAOI Conventionで購入しているという。ちなみにBethanyさんと、カナダから来日したErinさんは今回のツアーでアニメイト、とらのあな、まんだらけなどをハシゴして大量の同人誌を買い込んだらしい……。

もっとも大きな差が出た日米の腐女子にとってのカップリングの考え方

wk_090605fujyoshi06.jpg ディスカッションの様子

 座談会は徐々にディープな方向に進む。日本の腐女子たちはカップリング(いわゆる誰が攻めで誰が受けなのかということ)について強いこだわりを持つ人が多い。しかし海外では違うようだ。10人中10人が、たとえ自分が好きなカップリングでなくとも抵抗なく受け入れられるという。その理由として、多数の人が「ゲイの友だちがたくさんいて、彼らは攻めになったり受けになったりするので私たちも攻めと受けを頭の中でスイッチできる」と答えた。これには赤松さんも驚き、「日本の現状からするとカップリングの逆転は受け入れづらいですね」と外国人腐女子たちに説明した。

 日本で“生もの”と呼ばれるような、実在する芸能人を基に妄想していくようなジャンルは海外では存在するのか。これについては意見が分かれた。ソフトなBL作品が好きだというDianaさんは「リアルな世界ではイマジネーションしない」と、BL作品のアートワークが好きだというTracyさんは「リアルな人たちのものは“slash”と呼ばれています。BLとは違うものですが、slashも好きです」と話した。日本でも2Dと3Dで好みがはっきり分かれる人がいるのと同様に、人それぞれのようだ。

wk_090605fujyoshi07.jpgwk_090605fujyoshi08.jpg 座談会の途中で間の楔のプロモーションムービーが上映された。男性同士のキスシーンで黄色い声が飛び交うなど、日本と同じような光景が見られた(左)。上映会後はプロデューサーの鳥飼さんへの質問タイムも

オープンマインドな海外の腐女子たち

 座談会も時間切れとなる。最後に、日本では腐女子であることを隠す人が多いがみなさんの国ではどうかという質問が飛び出すと、みな一様に口をそろえて「Everyone knows.」と断言した。

 育った国や文化、周りにいる友人・知人の影響による差は確かに存在した。しかし作品やキャラクターを愛する気持ち、そしてそれらをエネルギーにして妄想していくところは恐ろしく似通っているものだった。一緒に楽しみを共有できる外国人の友人が欲しいというBLファンの方は、気軽に話しかけてみてはいかがだろうか。それは新しい世界に触れられる、素晴らしいきっかけとなるかもしれない。


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