日本のアニメクリエイターが主導する7つの「Halo」――「Halo Legends」インタビュー
クリエイターの才能に全面的信頼を寄せた「Halo」の新たな一歩がそこにある。
「Halo Legends」は、マイクロソフトの「Halo」シリーズを軸に展開される日米合作のオリジナル・ビデオ・アニメーション作品群の名称。bonesやプロダクションI.G、STUDIO4℃、東映アニメーションなど日本を代表するさまざまなアニメスタジオが、それぞれの解釈で「Halo」のショートアニメを制作し、公開するというもの。2009年秋にXbox LIVEの新しいチャンネルとしてオープンする「Halo Waypoint」にてプレビュー映像を配信される予定となっている。
今回、作品公開に先がけて「Halo」フランチャイズチームフランチャイズ開発ディレクターのフランク・オコーナー氏をはじめ、本作のプロデューサーを務めるJ-Spec Picturesのジョセフ・チョウ氏、そしてクリエイティブディレクターを務める荒牧伸志氏、さらにボンズから代表取締役の南雅彦氏、村木靖氏、京田知己氏にインタビューすることができた。と、その前に概要説明を兼ねて、ボンズが製作した「Prototype」を見させてもらうことに。
「Prototype」は、とある海兵隊員の物語が描かれる。上層部の命令によりプロトタイプのパワードスーツの破壊のため、とある遠方の惑星へと派遣される。しかしその惑星はコヴナントの襲撃を受けており、民間人に多数の死者が出ていた。彼は命令を無視して破壊するべきパワード・スーツを着用し、それでコヴナントに立ち向かう――。
パワード・スーツにプロトタイプがあったという設定は、ゲームでは存在していなかった。そうした世界観の広がりこそが「Halo Legends」プロジェクトの醍醐味であろう。「Prototype」だけでなく7つの作品すべてが「Halo」をさまざまな角度から歩み寄り、切り取ってみせる。オコーナー氏は、小説やコミックなどさまざまなフランチャイズを果たしている「Halo」を映像化するにあたり、特に「クリエイター達の才能をいかんなく発揮してもらう」ことを大事にしたと語る。
「それぞれのスタジオを選んだ基準というか理由は、さまざまな表現をしてきた『Halo』が、最高のクリエイターを迎えて製作されることにあります。各スタジオの特徴を考慮して、いくつか用意してあったストーリー案に適合するスタジオを選びました。その際、クリエイターの意思を最大限尊重しました。たくさんのストーリーアイディアを各スタジオのクリエイターと相談しながら、そのやり取りを経て7本の物語が誕生しました。元々、我々スタッフにアニメのファンが多く、各スタジオをリスペクトしていました。ですから彼らと仕事をすることは楽しみでした」(オコーナー氏)
それを裏付けるようにボンズへのオファーには、かなりの自由度があったと村木氏。そもそもプロトタイプという設定がなかっただけに、やりたいことを詰め込んだものになったそうだ。村木氏はこの話が舞い込んだ時、端的に言葉にすると「ドンパチができる」と思ったのだとか。ゲームそのものがシューティングなので、アニメでもそういうものが欲しいという意向もあったとのこと。
当初、「Prototype」はセリフを通信だけで成り立たせようとか、さまざまな試みがなされたが、今の形に落ち着いたのだとか。最終的な決定稿を見たオコーナー氏は、「こうきたか」とほくそ笑んだそうだ。「村木氏や京田氏の提出されたアイディアを受け、それを世界観にどうやってはめこむかを考えるキャッチボールをしてきました。積極的に問題解決をして、議論し、世界観を詰めていく作業が続きました」とオコーナー氏が語るように、その出来には満足しているし、想像していた以上のクオリティになっている。オコーナー氏は何十回と見ているが常に新しいものを発見しているのだそうだ。
では、「Prototype」のように、ゲームそのものに反映されることはないのだろうか? その点についてもオコーナー氏は言及できないと前置きしながらも、実際ゲームに反映したらどうなるかを試みたいとのこと。これは期待できるかもしれない。
なお、東映アニメーションのようにそもそもの「Halo」の世界観を度外視したコメディを重視した作品もある。これに対しては、プロジェクトが固まる中、ユーモアやコメディを入れたいというフランチャイズチームの意向もあったとか。軽いタッチのもので、最初はデフォルメ化なども視野に入れていたそうだ。過去のアニメ作品でもコメディの中にシリアスを織り込んだものも多い。そんな作品になればいいという思いもあったとオコーナー氏。
もちろん、設定上できないこともあった。マスターチーフが殺さたり結婚するなどは世界観を構築する上で、認められないものもあった。ボンズの面々も「halo」というタイトルに参加する面白さを強調していた。事実、村木サーカスともいうべき戦闘シーンは必見だ。ところが、ゲームを実際遊んだか聞くと、村木さんはしらっとやっていないと答えた。ゲームそのものに引きずられのもなんなので、世界観を共有するだけにしていたとか。
オコーナー氏は、日本のクリエイターとの刺激的な仕事に「最初からエキサイティングなプロジェクトだったので、進行していくほどいいコラボだった。次の機会があるかも」と、鼻息も荒い。笑いながらだが「来年もう1本いきます!」とリップサービスも。ただし、かなりハードなミッションだったので、「休む必要があるので、十分休んでから」というオチも。早く休んでください。
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