第5回 ゲームをより面白くする「4ステージ1セットの法則」なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/2 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の5回目は、ゲームに秘めたる「4」の数字を紐解きます。

» 2010年08月12日 14時45分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

古来から数字の「4」には、創作物のクオリティをアップする不思議な魔力があるのかも?

 文章や詩などを書くときには内容を「起承転結」にするとよい、と昔からよく言われています。4つのパートで構成することによって文章にリズムやテンポが生まれて読みやすくなるとともに、作品のクオリティが高まることをアドバイスした先人たちの知恵がこの言葉にはきっと凝縮されているのでしょう。

 そこで筆者はヒラメキました。何もこれは文章だけの話ではなくて、ゲーム、主にアクションゲームにおいても同じようなことが言えるのではないかと。すなわち、4つのステージを1セットとして区切ることでゲーム面白さが増し、その結果すっかり夢中になって遊んでしまった経験が多々あるではないかと!

ゲームのテンポと面白さを引き出す「4」のマジック

 その代表例はご存知、任天堂が1985年に発売したファミリーコンピュータ用ソフトの「スーパーマリオブラザーズ」。本作は全32ステージで構成されていますが、最初の1面が地上ステージで、2面になると薄暗い地下に潜り、3面はこれとは正反対の山地へと進み、そして4面では溶岩の煮えたぎる城内で大魔王クッパと対決するという、見事に4ステージでひとつの物語が完成しているではありませんか! 実際、ゲーム中に表示されるステージ表記も「WORLD」という単語を使用していますよね。

 ここでひとつ、皆さんに考えていただきたいことがあります。もし「WORLD1」の全4ステージが、ひとつの長〜いマップで構成された1ステージになっていたとしたら、はたしてプレイヤーは夢中になって遊ぶことができたでしょうか? 以下のプレイ動画を見ながらよ〜く考えてみてください。

上記ムービーは、「スーパーマリオブラザーズ」WORLD1:4つのステージをひとつの「WORLD」とする世界観を作り出した「スーパーマリオ」。起承転結的なステージ構成にすることでメリハリとテンポのよさが生まれ、ゲームがより面白くなりました。
(C)1985 NINTENDO

 いかがでしょうか? マップがあまりに長過ぎると、ゲーム中にメリハリあるいはテンポが生まれずにプレイヤーが途中で飽きてしまう可能性が高いのではないか、と筆者は思います。各ステージごとに変化に富んだ構成を用意しつつ、途中でいくつかゴール地点を設けて「ステージクリア」という演出を入れることにより、プレイヤーは「動」と「静」を体感することで心地よいテンポが生まれるのです。また、「WORLD1-3」などと現在地点を常時表示することで、もし途中でゲームオーバーになってしまった場合は「よし、次回は1-3をクリアして1-4を目指そう!」などというように、プレイヤーが目標設定をしやすくなるメリットも生じたのではないか、と推察されます。

 皆さんの中にも、「スーパーマリオ」を全面クリアしたことがある人はきっと少なからずいらっしゃるのではないかと思います。今、もし筆者が「WORLD4-1ってどんなステージでしたっけ?」と質問をすれば、「ああ、ジュゲムとパイポが出てくる面だよね?」などと瞬間的に頭の中でおおよそのイメージがきっと描けるハズです。32面ものステージ構成をすべて覚えられたのは、おそらく4ステージをひとつのセットに区切ることで効率よく記憶することができたからではないでしょうか? いっぺんに32面分の内容を覚えようと思ったらものすごく大変ですが、「1WORLD」単位で特徴を覚えることで効率よく頭の中に入れやすくなり、また攻略パターンを考える際にも役に立つというワケですね。これはまさに、「4ステージ1セットの法則」とでも言うべきものではないでしょうか?

実はまだまだあります、「4ステージ1セットの法則」

 4面をひとつの区切って構成するこの法則を使用することによって、プレイヤーがよりテンポよく遊べて挑戦意欲をあおることに成功した作品として、「スーパーマリオ」はまさに元祖的な存在だったのですね……と思いきや、いざ調べてみたら「スーパーマリオ」以前にも「4ステージ1セットの法則」をうまく活用していた作品がいろいろあるではありませんか!

 まず真っ先に挙げたいのが、同じく任天堂が1981年に発売した「ドンキーコング」。主人公のマリオがドンキーコングにさらわれたレディを助け出すというストーリーで、全4ステージをクリアするとマリオとレディが再開してハッピーエンドとなる構成でした。「エッ、『ドンキーコング』って全3ステージじゃなかったっけ?」と思った方がいるかもしれませんが、それはファミコン版だけのお話で、元祖のアーケードゲーム版は実は4面あったのです。ちなみに、続編タイトルの「ドンキーコングJr.」は無事に(?)「4ステージ1セット」のまま移植されています。


ファミコン版「ドンキーコング」はプログラム容量の都合で1面少ない3面構成になってしまいましたが、「ドンキーコングJr.」では「4ステージ1セット」のまま移植されました

(C)1983 NINTENDO
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」