体験することでその価値を知る――任天堂カンファレンスで語られたこと:Nintendo Conference 2010(1/2 ページ)
「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい。」をコンセプトにしたニンテンドー3DSの発売日と価格が任天堂のカンファレンスで発表された。そのカンファレンスで何が語られたのか。
カンファレンスはまず「ポケットモンスター ブラック/ホワイト」と「スーパーマリオ25周年」から
任天堂は9月29日、千葉県・幕張メッセでNintendo Conference 2010を開催し、裸眼立体視を実現したニンテンドー3DSの発売日を2011年2月26日と発表した。価格は2万5000円。本体のカラーリングはアクアブルーとコスモブラックの2色を用意する。
Nintendo Conference 2010は、任天堂代表取締役社長 岩田聡氏による「ポケットモンスター ブラック/ホワイト」の好調を伝える報告から始まった。「ポケットモンスター ブラック/ホワイト」は既報のとおり、予約数が188万本、初週の売上が255万本(メディアクリエイト調べ)を達成し。いずれもニンテンドーDSだけでなく国内のゲームソフト史上最大の記録となっている。
岩田氏はその理由として、ニンテンドーDSの販売台数が3000万台に達し、国内で圧倒的なシェアを誇るプラットフォームに成長したことと、その普及台数がもっとも最大化したタイミングでのリリースだったことと分析。元来、低年齢層が遊ぶタイトルとしての認識があった同タイトルだが、徐々にその年齢層を押し上げていき、一度ポケモンを卒業した世代が戻ってきている傾向にあると説明した。事実、「ポケットモンスター ダイヤモンド/パール」「ポケットモンスター ハートゴールド/ソウルシルバー」のレーダーチャートでは、その高学年へと広がっている様が分かる。こうした“売れるための環境”が整ったことが、最大の販売本数を記録する要因になったと岩田氏は、年末に向けてさらなる飛躍を約束した。
次に話題は、今年の9月13日で25周年を迎えた「スーパーマリオブラザーズ」について。1985年9月13日に発売されたファミコン用ソフト「スーパーマリオブラザーズ」は、四半世紀を経た現在でも世界中から愛されていることへの感謝を述べ、改めてスーパーマリオ25周年記念キャンペーンの内容を紹介する(スーパーマリオ25周年キャンペーンで、スーパーファミコンの「ス―パマリオ」たちが遊べる)。
10月21日に発売されるWii用ソフト「スーパーマリオコレクション スペシャルパック」(2011年1月10日までの期間限定販売)を紹介したのち、10月28日に「スーパーマリオ25周年記念バージョン」のニンテンドーDSi LLを発売することを発表した。続けざまに岩田氏は、Wii用ソフト「マリオ スポーツ ミックス」を、そしてニンテンドーDS用ソフト「マリオvsドンキーコング 突撃!ミニランド」を12月に発売すると報告した。
マリオ関連以外にもカンファレンスでは、Wii「毛糸のカービィ」(10月14日発売)、Wii「ドンキーコング リターンズ」(今冬発売予定)、Wii「ラストストーリー」(2011年1月27日)、Wii「ゼルダの伝説 Skyward Sword」(2011年発売予定)などを紹介。詳細は後日公開するとしながらも、Wiiモーションプラスの機能をWiiリモコンと一体化させたコントローラー「Wiiリモコンプラス」を開発中と明かした。
本題である「ニンテンドー3DS」について
いよいよ本題である。岩田氏はニンテンドー3DSの機能について紹介しはじめた。スペックについては後述してあるものを見ていただきたいが、ニンテンドー3DS最大の特徴でもある上部ワイド画面が裸眼立体視を実現している点に触れる。
ニンテンドー3DSは、特別なメガネを使用することなく立体視を可能にしたことで、ゲームに迫力と臨場感を与え、空間の高低差や奥行きを認識でき、より自由に動けるなどのメリットをゲームに与えてくれる。岩田氏は、そのメリットから過去幾度も任天堂が3D表示に挑戦したと語る。
その挑戦の過程にはバーチャルボーイのようにうまくいかなかったものもあるし、試作段階で商品化されなかったものもあったという。岩田氏は“ニワトリとタマゴの関係を解かなくてはならない”と、“3D表示を生かすソフトウェアがなければハードウェアに魅力は生まれないし、ハードウェアが普及する見込みがなければ、ソフトを開発しようとするメーカーも現れない”と切り出す。3D元年といわれる今年、3D対応ゲーム機の開発はそれほど難しいものではなくなっている。とはいえ、据え置き型ゲーム機の場合、厳密に3Dテレビを接続して遊ぶユーザーは一部であると岩田氏は、「携帯型ゲーム機ならば、ゲームデバイスと表示デバイスが一体であり、購入者すべてに同じ環境を提供できる」と、3D表示にアプローチするなら、携帯型ゲーム機が圧倒的有利と語る。
また、一般的3D表示の見え方に個人差があると言われていると、3Dボリュームを用意し、見え方や好みに合わせて調整できるようにした。実際、カンファレンス後に試してみたが、3D表示をオフにすることもできた。「ニンテンドーDSが登場して6年経ち、携帯型ゲーム機で使える技術も多くなった。(据え置き機と比べ)画面解像度は及びないものの、グラフィック性能は向上している」と、カプコンの「バイオハザード REVELATIONS」とKONAMIの「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D」を紹介した。
E3において発表されたニンテンドー3DSは高く評価されたが、「私達はニンテンドー3DSの普及に対してけして楽観視していない」と岩田氏。「ニンテンドーDSは圧倒的に普及したのだから、その互換性を持つ後継機が市場の主流になって当然」という考え方を持ち合わせてはいないという。ニンテンドー3DSが普及するためには、これまでのゲーム機にはない、新たなハードルを越えねばならないと問題点を挙げた。
- (裸眼立体視は)実際に体験しなければその価値を実感できない
- テレビや印刷媒体、インターネットのホームページなどでは、その価値を伝えきれない
店頭での試遊は可能だが、店頭まで足を運ばなければ価値を伝えることができないと、そこは携帯ゲーム機としての利点を活用すると、ニンテンドー3DSのコンセプトを提示した。それが、「持ち歩く、響き合う、毎日が新しい。」というスタイルだ。いわゆる口コミというもっともシンプルながら確実に伝わる方法で、周囲に価値を伝えていきたいとしている。そして、岩田氏はニンテンドー3DSの持つ特徴について触れていく。
「すれちがい通信」の拡充
ニンテンドー3DSが、スリープモード中に他のニンテンドー3DS本体を探して自動的に通信する「すれちがい通信」機能が強化されている。
例えば「nintendogs」のようなすれちがい通信対応のソフトでは、プレイ中、すれちがい通信モードにする必要があり、別のソフトを遊ぶことができなかった。また、互いに同じソフトを“その時に”遊んでいる人同士でなければならない。販売本数の多いソフトでなければ頻繁にすれ違えない問題があった。そこでニンテンドー3DSでは以下のように拡充されている。
- スリープモード中に本体自体が複数のソフトのすれちがい通信を自動的に行う
- 現在遊んでいないソフトでも、過去に遊んだことのあるソフトのすれちがい通信が発生する
- スリープ中にすれちがい通信が発生すると、本体の右上の「おしらせランプ」が点灯
- どう通信がなされたか、「おしらせリスト」で確認可能
「Miiスタジオ」でMiiをさらに多様に
Wiiと同様に、顔のパーツを組み合わせて、自分や家族、友だちのキャラクターをつくるMiiの機能が本体に内蔵されている。現在国内では、7歳〜74歳までのユーザーの中で、「自分のMiiを持っている」と答えた人は2600万人を超えているという。さらに、欧米での調査を加えると、1億8000万人ものユーザーがMiiを持っていることになる。ニンテンドー3DSではMiiのパーツを増やし強化した。
- 作成するパーツを増加
- カメラからMiiを自動生成する機能
- MiiからQRコードを作り、配布、読み込むことも可能
- すれちがい通信で、Mii自身のすれちがいも発生
- すれちがったMiiは、「すれちがいMii広場」という本体に内蔵されたソフトで確認可能
「すれちがいMii広場」では、各Miiが、直近で遊んでいたソフトのアイコンを持っている。個々のMiiを選択すると、どれくらい前にすれちがったのか、これまで何回すれちがったのか、最後に遊んだソフトは何か、といったような情報を確認することが可能だ。
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