緊張が走る中国・武漢で行われたe-sportsイベントグランドファイナルIEF2010(4/4 ページ)

» 2010年11月29日 09時30分 公開
[松井悠,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

雑談(2):中国・武漢のゲーセン事情

 IEF2010では、選手たちと引率者のホテルが異なっており、筆者の宿は街のやや中程にある繁華街にほど近いところ。ホテルに隣接したビルには、映画館やショッピングモール、ゲームセンターが入居しており、若者達が多く集まっていた。そこで、全日程が終了した日の夜、足を運んでみることにしたのだが、目の当たりにしたのは日本とほぼ変わらないゲームセンターの姿だった。

 4階でエレベーターを降りると、目の前にはUFOキャッチャータイプのプライズマシンがずらりと並ぶ。ゲームはトークン制となっていて、20人民元(日本円で1元=12〜13円)で40枚のトークンと交換してくれる。つまり、1トークンが6円程度ということになる。一般的なビデオゲームやプライズ系の機械は1トークン、大型筐体や人気のあるビデオゲームは2〜3トークンでプレイができる。コカコーラの缶ジュースが、武漢では5元、約60円というところから見ても、1プレイあたりの料金は、日本に比べてかなり安い設定といえるだろう。

 若い客層に合わせてか、ラインアップは複数台並んでいるレースゲームや、ガンシューティング、音楽モノが多く、ビデオゲームは対戦格闘がメイン。店内奥のエリアには「闘地主」というトランプゲームのオンライン対戦筐体が10セットほど並んでいた。店内に設置されているほとんどのゲームが日本産のものだが、ゲーム内言語も中国語にローカライズされているもの。POPのみ中国語で、ゲーム内言語は英語などいろいろなスタイルでローカライズが行われていた。また、中国オリジナルのゲームも多数あり、音ゲー、レースゲーム、ベルトスクロールアクションものなど、ジャンルはさまざま。

 ひとつ、謎なゲームだったのが「OUTRUN」の大型筐体。筐体にはハンドル、マニュアルシフト、アクセル、ブレーキがセットされている、いわゆるレースゲームものなのだが、トークンを入れると、なぜかXbox 360のインタフェースが現れ、ボタンや方向キーの表示もXbox 360らしきものが使用されていた。「?」と思いつつ画面を進めていくとモードセレクトには「Arcade」に続いて「Xbox Live」の文字が。「ハードを改造した、プレイ時間いくらのスタイルか?」と思ったのだが、1ゲームが終了するとコンティニュー画面に続き、メインタイトルの画面に戻る仕様となっていた。一体アレは何だったのだろうか……。

 ちなみに、筆者が得意な「鉄拳6 BR」を対戦台プレイしてみたところ、ひっきりなしに乱入があった。カードを使用してキャラクターを育てている人は武漢では見かけなかったが、キャラクターはブライアンやポール、ボブ、アリサなど様々。どのプレイヤーもひと通りの動きとコンボを習得している、なかなか手応えのあるプレイヤーばかり。店内のPOPを見てみると、大会も定期的に開催されているようで、格ゲーはこちらでも人気の高いジャンルとなっていることが伺えた。

クレーンゲームはどこでも人気のようだ。いい具合に綿が足りない羊のぬいぐるみを取ろうと思ったが、かなりの難度で断念
成都でのリポート記事でも触れたが、中国では「The King of Fighters98」の人気が絶大。多くの若者達がいまなお遊び続けている

こちらのレースゲームは台湾IGS社の「Speed Driver2」。首都高モノと思わせておいて、上海の高速道路や、万里の長城(!)でのレースが楽しめる。クルマのライセンスはとっていないようだが、操作感はなかなか
鉄拳があればやらざるを得ない、ということで遊んでみました。CPU戦では、他キャラクターのゴーストも出現。こちらは中国語にローカライズされているよう。連勝中、背後に10人くらいの若者に囲まれるとちょっと怖いです

国際大会で勝ち上がるために必要なもの、そして国際大会でしか得られないもの

 3年連続で予選突破ならず、という結果となったIEF2010。「日本人はゲームに弱いのか?」と思いきや、そういうわけではない。アメリカ・ロサンゼルスで行われた「World Cyber Games2010」では、「鉄拳6」部門で2位、3位を記録、国際的に人気の高い格闘ゲーム「スーパーストリートファイター4」では数多くの日本人選手が入賞しているし、MMORPGのラグナロク・オンラインの国際大会「Ragnarok Online World Championship2010」も、日本チームは準優勝と、いずれも優秀な成績を収めている。一方、IEFに採用されているStar CraftやWar Craft III、Counter-Strikeは、予選リーグの突破が目標、というレベルで、競技タイトルによって強いものとそうでないものが大きく分かれているのが現状だ。

 その中で、どうやって練習していくのかが課題となるわけだが、海外の流行に比べるとマイナーなゲームの場合、まずは国内の対戦相手を増やすという地道な努力が必要になってくるだろう。しかし、プレイヤーとしてのスキルと、コミュニティを先導していくスキルを両立させるのは並大抵のことではない。しかし、そのハードルを乗り越え、日本ではマイナーなタイトルでも国際大会の場で勝利できる、ということをぜひとも実践してもらいたい。

 数々の国際大会に日本のプレイヤーを引率してきた筆者から、日本のプレイヤーにぜひとも伝えたいことは、「ゲームの国際大会に一度は参加してみて!」ということ。

 現在、様々なゲームの世界大会が開催され、日本予選を通過した場合、渡航費の援助を受けられるものが多数ある。自分がプレイしているゲームを「他国の人も遊んでいる」という気づき、そして日本の国旗を身にまとって試合に臨む緊張感、大観衆が見守るステージの上でゲームをプレイする快感。勝ったときの喜び、そして負けたときの悔しさは、プレイヤーにとって大きな経験となるはずだ。

 もちろん、ゲームを競技的に楽しむ、というのは、あくまでもゲームの様々な楽しみ方のひとつでしかない。みんなとわいわい遊ぶのもいいし、コンプリート目指してやり込むのも、当然アリだ。

 とはいうものの、いきなり大きなトーナメントに参加するのは、ハードルが高いと思われる方も多いだろう。最近では、Webページ上でトーナメント主催している個人大会も数多く存在するので、そういった小さな大会から徐々にステップアップしていくのもいい。まずは、自分が普段遊んでいるゲームを「競技的に楽しむ」ことを一度経験してみてほしい。そこにはきっと、今までとは異なったゲーム経験が待っているはずだ。

観衆に囲まれているのは、ロシア代表のプレイヤー。人気の高いプレイヤーは、行き先々で人々からサインを求められる
ゲームが分かれば言葉の壁なんてないも同然。会場のゲーム体験ブースでは、様々な国の選手が同じゲームを楽しんでいた
IEF2010では選手のアテンドや試合進行などは、全て武漢市の学生ボランティアが担当。そのボランティアリーダーたちの表彰も閉会式で行われた。日本人選手のケアをしてくださった皆さんに感謝

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料使用メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」