1999年9月8日

SCEIの岡本氏がシーグラフで

パネルディスカッション

 iBookやCPU戦争などに注目が集まっている「WORLD PC EXPO99」だが,併催されているCGとデジタルコンテンツを対象にした新フォーラム「シーグラフ東京/フォーラム'99」も,熱心なユーザーをたくさん集めている。

 その「シーグラフ〜」において,本日(9月8日),「次世代ゲーム制作環境とコンテンツの将来像」というテーマで,パネルディスカッションが開催された。出席者の中にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の執行役員兼開発研究本部本部長,岡本伸一氏が含まれており,来場者は次世代プレイステーションの詳細に話が及ばないか固唾を飲んで耳を傾けていた。

 その岡本氏は,「ソニーは”Computer Entertainment”というキーワードの中で,ゲームを作ってきた。そして次は”Emotion Synthesis”をキーワードに,次世代PSを開発している」と切り出した。

 岡本氏が言うには,現行のプレイステーションは,ポリゴン,ムービー,モーションキャプチャーなど「変換・再生」の世界であり,次世代PSなど”Emotion Synthesis”の世界は,アルゴリズム合成やソフトシンセサイザーといった「生成・合成」の世界となるという。

 つまり,新しい技術が従来のテクノロジーに上乗せされる(変ってしまうわけではない)ことで,コンテンツのリアルタイム処理が可能となり,ソフト開発などの生産性の向上が狙えるというのだ。もちろん表現力も豊かになるのは言うまでもない。

 岡本氏は,さらにコンテンツのディストリビューションの将来についても言及。当然,本格的なネットワーク配信を見据えていることを明らかにした。

 映画や音楽がネットワークで配信される”Digital Entertainment”の時代となり,さらに”Emotion Synthesis”のゲームなどが配信される”Real-time Digital Entertainment”を目指すという。

 岡本氏は,「この”Real-time Digital Entertainment”は,映画・音楽・ゲームといったジャンル分けがなくなる総合芸術として発展していく」と言う。そして,次世代プレイステーションの発売後,1年ぐらいでネットなどでの配信を意識した新しいコンテンツ展開が始まるだろう,とした。

 やはりSCEIは,次世代プレイステーションの向こうに,来るべき新しいコンテンツの将来像をしっかり見据えているのだった。本日が初公開だという,SCEIの新造語”Real-time Digital Entertainment”の片鱗が見れるまで後わずか……。


[原 毅彦,SOFTBANK GAMES]


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