「今ある液晶デバイスを本にできないか」──。ボイジャーの電子書籍ビューワ「T-Time」と「azur」(アジュール)のバージョンアップは、こうした開発陣の考えを形にしたものだ。
ボイジャーは4月15日から「T-Time 5.5」「azur 1.5」を発売すると発表。新バージョンは、電子書籍コンテンツをデジタルカメラやPSP、携帯電話などの液晶画面付きデバイス向けに書き出す機能を備え、手持ちの液晶デバイスを電子書籍ビューワとして利用可能になる。
T-Timeとazurは、テキストデータやHTML、ボイジャーが推進する電子書籍フォーマット「ドットブック」などのファイルを紙の書籍のようなインタフェースで閲覧可能にする電子書籍ビューワ。縦書き表示に対応し、PC上でも本のページをめくるのと同じ感覚で電子書籍を読むことができる。T-Timeはローカルにダウンロードしたデータを閲覧するビューワで、azurはインターネット上のデータの閲覧にも対応する。
新バージョンは、表示された電子書籍コンテンツを連番のJPEG画像として書き出す機能を装備。画像を確認するための“進む”“戻る”ボタンがあるデジタルカメラやiPod Photo、PSP、携帯電話などの液晶付きデバイスでも電子書籍を閲覧できるようにした。
3月15日時点で表示確認済みの携帯電話はドコモの「SH506iC」「P505iS」「P506iC」「P900i」「SH901iC」「SO506iC」、auの「W22H」「W21S」「PENCK」「W21T」「W31K」「W21CA」、ボーダフォンの「V601SH」「Nokia 6630」(702NK)。
ボイジャーは、現在書き出しに対応したMacintosh用のβ版をWebで提供中。3月15日の夜にはWindows用β版も提供予定だという。製品版の価格はT-Time 5.5が1050円、azur 1.5が2100円。
なお、当初市販のドットブック形式の電子書籍で書き出し対応するのは、文芸社の書籍。ボイジャーは今後、他の出版社にも対応を働きかけるとしている。そのためサービス開始当初は、インターネットの電子図書館「青空文庫」のラインアップやWebコンテンツの書き出しが主な用途になりそうだ。
新バージョンの説明に立ったボイジャーの萩野正昭代表取締役は、書き出しへの対応を図った理由について「デバイスに本を合わせるのではなく、本をデバイスに合わせること」が、電子ブックの普及につながると説明。身近な機器を手軽な操作で読書端末化できるのが、メリットだとした。
ボイジャーは、7月にはネットを介した電子出版のサポート業務を開始予定。1つの原稿をさまざまなデバイス向けに対応させることで、インターネットを介した電子出版の仕組みを確立させたい考えだ。
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