CEATEC JAPAN 2007のNTTドコモブースは、今後、どのような機能が想定されるかという“携帯の近未来”的な技術を多く展示する。
その中で多くの来場者の注目を集めていた技術の1つが「人体通信」だ。人体に微弱な10.7MHz以下の高周波の電気信号を通し、送受信機器間で通信するもの。送受信機器とは例えば携帯とセンサー機器あるいはイヤフォンなどの周辺機器などを差し、送受信機の信号電極と人体の間は静電結合で信号のやりとりを行う仕組みとなる。
身近なところで最も分かりやすかった例がヘッドフォン。携帯で音楽を聴く場合は一般的に、角形イヤフォン端子にヘッドフォンを差す有線接続と、BluetoothやFMトランスミッターを使う無線接続があるが、人体通信はそのいずれも使用しない。手に持った携帯から電気信号が体内を流れ、頭からヘッドフォンの受信機に到達──。つまり自分の体がヘッドフォンでいうところの通信のためのケーブルになる。そのため、無線のようで無線でないというわけだ。
そのほか同社は、特定のスポットでデータを自動的に取得できる方法や目の不自由な人などに向けた移動支援、離すとロックするといったセキュリティ用途などを提案する。
もちろん高周波の電気信号が体内を流れるといっても、普段使う電波による無線通信と同様に“人体通信中”も体に何かを感じることはない。電気信号の強度も電波防護標準規格(RCR STD-38)に適合するレベルの値となっているという。
ちなみにこの人体通信の技術は2004年のCEATEC JAPANにも出展されていた。(衛生面は別にして)「改札に素手でタッチするだけでOK、の人体通信モバイルSuica」や「自動販売機のボタンを押すだけで自動決済する人体通信Edy」などは2007年現在も結構実用的だと思うが、いかがだろうか。
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