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FFXI好調のスクエニ、ドラクエVIIIは「多面展開」

» 2004年11月19日 22時11分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 スクウェア・エニックスは、2004年4−9月中間期で経常益3.2倍という好決算を発表した。コンソールゲームは減収となったが、オンラインゲームが好調。下期は「ドラゴンクエストVIII」の投入で売り上げを引き上げる。

「中間期は予定通りに好調だったが、、業績は通期の結果を見て判断してほしい」と和田洋一社長

 今期、成長の最も大きな原動力となったのが、世界55万ユーザーを持つ「ファイナルファンタジーXI」(FFXI)を核としたオンラインゲーム事業。同事業の営業利益は前年同期比2.3倍の32億5200万円で、連結営業利益の54.6%を稼ぎ出した。

 課金収入とパッケージの売り上げの比率は3:1程度と、収入の大半を課金から得る体制を築いた。オンラインゲームの売上高営業利益率は42.3%。コンソール事業の同19.1%と比べて圧倒的に高い。

 同社は今後もオンラインゲームに注力し、現在5−10%前後の市場のシェアを10%前後で維持する計画。課題は、コアゲーマーに偏ったユーザー構成。今後はライト層向けタイトルも投入したいとの考えを示した。

 携帯電話コンテンツも好調だ。3月にスタートしたFOMA向けポータル「ドラゴンクエストi」「ファイナルファンタジーi」は、公式サイトとしてはトップレベルのユーザー数を集めた。ドラクエ・FFのブランド力を活用し、コンテンツをポータルに集約した作戦が当たった。

ドラクエVIIIは多面展開

 コンソールゲームは、大型タイトルの発売が下期に偏ったため、売上高は同13.4%減の80億9900万円。既存ゲームの移植作が好調で利益率はアップした。販売本数は、PS2向け「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」が34万本、ゲームボーイアドバンス向け「ファイナルファンタジーI・IIアドバンス」が28万本など。

 発売が27日に迫る「ドラゴンクエストVIII」(PS2)の予約状況は「VIIの時よりも少しいい感触」(和田社長)。価格を9240円(税込み)と高めに設定した点について、和田社長は「一般論だが、従来は、新型ゲーム機が出れば旧型は駆逐されていったが、PSとPS2は並存している。特に欧米では、所得によってPSユーザーとPS2ユーザーが分かれている。商品のサイクルも長くなっていて、発売後も何回も値下げすることになるのかもしれない」とした。

 漫画・アニメ化や、脇役キャラが独立した「トルネコ」シリーズなど、ドラクエは「業界で最も多面展開したゲーム」(和田社長)。具体策は明らかにしなかったが、VIIIでは新しい手法でマルチ展開を図っていく方針だ。

 通期のゲーム事業の売り上げは、中間期の約5倍となる414億円を見込む。通期の販売計画は1040万本(中間期は337万本)。うち国内向けは660万本(同134万本)。ドラクエVIIIの計画本数は明らかにしなかった。また「ファイナルファンタジーXII」は来期以降となる見込み。

「ハガレン」効果で「ガンガン」30万部に

 出版事業は、漫画「鋼の錬金術師」のヒットで増収増益。コミック1−8巻は累計1200万部を売り上げ、連載する「月刊少年ガンガン」は月間30万部を発行。売上高は中間期としては過去最高に迫る104億円となった。鋼の錬金術師は、北米でアニメの放映が始まる予定。12月3日には月2回刊の「ヤングガンガン」を創刊する。

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