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ガンダムでつながる親子――キャラクターはコミュニケーションツールに

» 2005年02月09日 19時11分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 日本人がキャラクターに求めるのは“安らぎ”と“コミュニケーション”――バンダイキャラクター研究所は2月9日、昨年11月に行った「キャラクターと現代人調査2005」の結果からこんな結論を導いた。特に、母と娘のコミュニケーション媒介ツールとしてキャラクターが活躍。父子の間にも徐々にキャラクターが浸透してきているようだ。

 キャラクターグッズ市場を引っ張っているのは小学生女児とその母親だ。キャラクター商品所有率トップは30〜40代女性(98%)、2位が小学校高学年女児(96.3%)。この層はともに「キャラクターグッズがあることで家族との関係がうまくいきそう」と答えた割合も多く、コミュニケーションツールとしてキャラクターグッズを役立てている様子が見て取れる。

 母親層はキャラクターグッズへの興味が特に深いという。「子どもがいない女性は、社会的な目を気にしてキャラクターグッズを買いにくい。母親になれば『子どもがキャラ好きだから』という免罪符が手に入る」――子どもを言い訳にして自分用を買う母親が多いと、同研究所の相原博之所長は分析する。

 母親が好きなキャラを受け入れる娘も多いようだ。「最近のお母さんは格好いいので、母親に憧れる娘が増えている」(相原所長)。憧れの母に近づこうと、同じキャラを追いかける傾向があるという。

 父と子の関係でも同じことが言えそうだ。「ガンダムを好きな父が、ガンプラを息子とのコミュニケーションに活かすこともあるだろう。ガンダムグッズは、最近はコンビニでも売っており、会社帰りにお土産として気軽に買って帰れる。ガンダムに詳しい父親を、息子は憧れのまなざしで見るだろう」(相原所長)。ただ、父子の関係は母子の関係よりも弱く、調査結果から父子コミュニケーションの様子は見えないとした。

 コミュニケーションに飢えた人をダイレクトに狙ったグッズも多く発売されている。同社のぬいぐるみ型電子玩具「プリモプエル」は、子育てを終えてコミュニケーション欲求が高まった中高年女性に受け、1999年の発売以来合計で100万体以上を出荷した(関連記事参照)。同社は一人暮らしの女性向けに、話しかけるとうなずいてくれる人形「うなずきん」も発売中だ(関連記事参照)。

「プリモプエル」(左、(C)1999BANDAI・WiZ)と「うなずきん」((c)rainbow spice!)

キャラクターは“お守り”

 最近は、新しいキャラクターが定着しにくくなっているという。「2004年のキャラクターグッズ市場は1兆7000億円。このうちキティちゃんだけで3000億円、ミッフィーが500億円と言われている。新鮮なキャラクターを作れば、当初は注目を集めるものの、なかなか定着しない」(相原所長)。

 母世代になじみのある定番キャラが人気な上、ユーザーがキャラクターグッズに求める条件トップは「安らぎ」。新しいキャラよりも馴染みある定番キャラの方が安らげるため、新鮮な商品に手が出にくいようだ。

 「キャラクターグッズは、お母さんやおばあちゃんに買ってもらったり、ディズニーランドで友達と一緒に買うなどして思い出が詰まっていることが多い。使わなくても捨てられないようだ」(相原所長)。キャラへの愛は、例えば、おばあちゃんからもらったお守りを持っていると何となく安らげて、捨てられなくなるのと同じだと相原所長は話した。

 調査は昨年11月10日から11月15日、小学校4年生から60代までの男女990人を対象に、インターネットで行った。

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