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スク・エニ、タイトーを買収

» 2005年08月22日 16時25分 公開
[ITmedia]

 スクウェア・エニックスは8月22日、タイトーを買収すると発表した。株式公開買い付け(TOB)でタイトーの67.0%以上を452億円以上で取得する予定で、最終的には100%子会社化する計画。主力事業やゲームソフトのジャンルで重複が少なく、相乗効果が見込めると判断した。

 ゲーム・アミューズメント業界では、9月末にナムコとバンダイが経営統合する予定で、トミーとタカラも来年3月の統合を発表するなど、業界再編の動きが加速。背景には、少子化による市場縮小に加え、次世代機やオンラインゲームなど新技術への対応を急いでいることなどがある。スク・エニとタイトーは、「産業構造の変化に対応するために、商品・サービスの品ぞろえを拡充する総合化の取り組みが必要だ」としている。

完全子会社化へ約670億円

 TOB期間は8月23日から9月21日までの30日間。タイトー(東証1部)の67.0%に当たる24万7900株以上を、1株18万1100円で買い付ける。買い付け価格は、直近半年間の終値平均に約20%のプレミアムを加えて決めた。タイトーの22日の株価は、前日比3000円高)+1.90%)の16万1000円。

 67.0%を買い付けた場合の総額は約452億円。上限は設定せず、予定を超えた分についてもすべて買い付ける予定で、100%取得する場合の総額は約670億円となる。タイトーの36.02%を保有する筆頭株主の京セラと、タイトーの取締役会はTOBに賛同している。

 TOBで100%を取得できなかった場合、産業活力再生特別措置法に基づき、金銭交付による株式交換で100%子会社化する計画。タイトーは上場廃止となる予定。

「規模拡大のみの他の統合とは一線を画す」

 タイトーはTOBへの賛同について、「(スク・エニとタイトーの)両社は同じゲーム・アミューズメント業界にありながら、主力事業やゲームソフトのジャンルでは重複が少なく、相互補完関係にあり、シナジー効果を最大限発揮できるパートナーシップ」だと説明。「規模の拡大のみを目指した他の統合とは一線を画し、強固な協力関係・信頼関係のもと、新しい企業グループとして活躍できるものと確信している」とコメントしている。

 タイトーは1953年に設立され、「インベーダー」などで知られるゲーム界の老舗。2005年3月期の単体売上高は846億円。家庭用ゲームソフトの不振が響き、最終益は前期比半減の17億円にとどまった。アーケード機と携帯向けコンテンツは好調なため、家庭用ソフト事業コストを削ってアーケードとコンテンツに資源を集中する方針を打ち出していた(関連記事参照)

 スク・エニの和田洋一社長は5月の決算発表会で、業界再編に備え「提携や買収など、他社との協力を強めていきたい」とM&Aを示唆していた(関連記事参照)

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