NVIDIAが先日発表したノートPC向けGPU「GeForce Go 6800」 来日したNVIDIA本社のノートPC向けGPU担当トップのロブ・チョンガー氏(モバイルGPU担当ジェネラルマネージャー)がこの最新GPUの概要について説明してくれた。
GeForce Go 6800のベースになっているのはデスクトップ向けGPUのノーマルGeForce 6800。12本のピクセルパイプラインや256ビット幅のメモリバスなどのハードウェア構成や、Direct X 9対応、シェーダモデル3.0サポートなどのソフトウェアスペックはノーマルGeForce 6800に準じている。
定格の動作クロックはコアクロック300MHzにメモリクロック300MHz(DDRのデータレートで600Mbps)。このとき、ノートPCで気になる消費電力は最大35ワットになる。ただし、ノートPCメーカーの設計によっては最大55ワットまで対応できるので、その場合はコアクロックを450MHzに、メモリクロックも600MHzまであげることが可能だ。
なお、定格動作で最大消費電力が35ワット、ということで、NVIDIAがノートPCメーカーに示しているデザインガイドでは「ファンつきのクーラーユニット」(アクティブクーラーユニット)の実装が必須となっている。
チョンガー氏によると、ノーマルGeForce 6800がベースということでGeForce Go 6800内部にもNVIDIA SLIのインタフェースが組み込まれているという。チップの仕様としてはNVIDIA SLIを利用することも可能であるが、ノートPCレベルで対応するかどうかはノートPCメーカーが決定することになるという。現在開発中のノートPCにおいてNVIDIA SLIを使う製品が存在するかについてNVIDIAは明言を避けている。
GeForce Go 6800はこれから続々と登場する予定のノートPC向けGPU「GeForce Go 6シリーズ」のトップとして投入された製品。これから登場するGeForce Go 6シリーズは今回の製品を含めてPCI Expressネイティブ対応で「AGP版の投入予定はない」(チョンガー氏)とのこと。
なお、「GeForce 6800はPCI Expressにネイティブで対応していないのではないか」という質問に対してNVIDIAの東正次氏(エヌビディア PCビジネスシニアマネージャ)は「正式に発表していないが、現在GeForce 6800はAGP+HSIとPCI Expressネイティブ対応の2種類のGPUが存在する」と回答した(ただし、PCI Expressネイティブチップを実装したGeForce 6800搭載カードの存在については明言していない)。
また、チョンガー氏はシェーダモデル3.0対応はノートPC向けGPUで大きなメリットがある、とアピール。「膨大なオブジェクトが発生しても、シェーダモデル3.0のおかげで基本的なジオメトリを用意すれば、あとはシェーダプログラムでオブジェクトを描画できる。処理負荷が少なくなるので、パフォーマンスや発熱を抑えなければならないレギュラーサイズのノートPCでも、デスクノート並みのパフォーマンスが発揮できる」と説明する。
ノートPCでも最近はパフォーマンスだけなく高品質のビデオ出力が求められるようになっているが、GeForce Go 6800ではそのために開発された独自技術「PureVideo」が実装されている。
正式な発表は12月1日の予定で、詳しい内容は明らかにされていないが、デスクトップ向けGPUのGeForce 6600などで実装された、3:2プルダウン補正や動き予想対応IP変換、拡張カラースペースなどの高画質補正アルゴリズムを実装。HD-MPEG2やWMV-HDのハードウェアデコードアクセラレーションにも対応。
国内ノートPCメーカーが実装している高画質機能をGPUに組み込んだことで、台湾などのホワイトボックス系ノートPCでも同様なビデオ出力品質を実現できるようになる、とNVIDIAはPureVideoのメリットを述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.