きょうはSan Diegoコア「Athlon 64 FX-57」で究極3Dゲーム環境を堪能したCPU(1/2 ページ)

AMDが90ナノプロセスを採用した最新のAthlon 64 FX-57を発表した。「究極の3DゲームCPU」と彼らがうたう、そのパフォーマンスの一端を最新GPU「GeForce 7800GTX」と組み合わせて試してみた。

» 2005年06月27日 12時57分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 インテルからはPentium Extreme EditionにPentium D、AMDからもAthlon 64 X2が発表され、すでに店頭に並んでしまうなど(以前、こんなことを書いてしまいましたが、Athlon 64 X2がこんなに早く店頭に出現しようとは。いやはや面目ない)、「2005年はデュアルの時代」という勢いを強烈に感じさせられる昨今。

 しかし、そうはいっても一方では「純粋に高クロック」なCPU需要も健在である。Pentium Extreme EditionやAthlon 64 X2のパフォーマンスを比較した記事や、Pentium Dのパフォーマンス検証記事で佐藤哲氏が触れているように、デュアルコアの強味はマルチスレッドに対応したアプリケーションで重い処理を行ったときにこそ発揮される。

 ところが、従来タイプのシングルスレッドアプリケーションでは、依然として「クロック」が処理速度に大きく影響してくる。また、システムのパフォーマンスを重視するパワーゲームユーザーにとっても、そのゲームタイトルのほとんどが依然としてマルチスレッドに対応していないため、ここでもCPUに求められるのは「より高いクロック」ということになる(開発現場では「1つのスレッドで画面描画処理、もう1つのスレッドでAI処理」というマルチスレッド対応ゲームの開発が進められており、それが、これまでとは一線を画した「強さ」を持つ、興味深いゲームタイトルとなる可能性もある)。

 このような、力押しのパフォーマンスを重視する高クロックCPUのラインアップとして、インテルはPentium 4 600番台とFSB 1066MHzに対応するPentium 4 ExtremeEditionを持ち、AMDはAthlon 64 FXシリーズを有している。AMDはAthlon 64 FXをまさに「Gameing Segment」のCPUと位置付けていて、その高クロックがもたらす処理能力で3Dゲームを快適に遊んでもらおう、という利用シーンを想定している(ちなみに、Athlon 64 X2の位置付けは“Prosumer & Digital Media Segments”)。

 そのAthlon 64 FXシリーズの最上位モデルとして今回発表されたのが「Athlon 64 FX-57」だ。これまでの最上位モデル「Athlon 64 FX-55」はFX-53のクロックを速くした、いわば「マイナーバージョンアップ」に近いCPUであったが、Athlon 64 FX-57は90ナノメートルプロセスルールを採用した「San Diego」コアが採用されたという意味で、大きな進化を遂げているといえる。

今回評価に使ったAthlon 64 FX-57。「ADAFX57DAA5BN」の表記に注目

 しかし、動作クロックは2.8GHzと速くなったが、L2キャッシュ容量1MバイトにHyperTransportの転送レート2Gbps、MMX、3DNow!、SSE、SSE2、SSE3のサポートなど、このあたりのスペックはAthlon 64 FX-55と同様。ただ、クロックが速くなったにも関わらず、Max ThermalもFX-55と同様の104ワットに抑えられている。

 注目すべき変更点はCPUに内蔵されているメモリコントローラがDDRの533MHz駆動をサポートしたことだ。DDR2ではない。「DDRでメモリバスクロック533MHzに対応する」とAMDの資料に記載されているが、もともと、DDRは400MHzですでに「いっぱいいっぱい」の状態。一部のメモリベンダーやパーツショップで独自にクロックアップした「PC4000」「PC4400」というDDRメモリを販売しているが、しかし、とても一般ユーザーが潤沢に入手できるものではない。

 たしかに、名だたるメモリベンダーからDDR-533MHz動作を公式にうたっている製品がラインアップに用意されているのも事実である。しかし、例えばこのCPUのメモリコントローラがDDRの533MHz駆動をサポートしていると知ってあわてて秋葉原のパーツショップを駆け回った筆者は、ついに目的の物を見つけることはできなかったのである(わずかに、オーバークロッカー御用達のUSER'S SIDEにDDR-400MHzのオーバークロックバージョン「DDR PC4400」が存在していたが、残念ながらテスト環境として必要としていた512Mバイト×2の在庫がなかった)。

 よしんば、Athlon 64 FX-57以降、San Diegoコアシリーズが順調に登場し、そのおかげで533MHz動作のDDRメモリがパーツショップで普通に入手できる状況になったと仮定しよう。その場合でも、オーバークロックバージョンDDR-533MHzメモリの価格は、同容量のDDR-400MHzメモリモジュールと比較してほぼ2倍程度、というのが現在の相場となっている。

 高額なDDR2メモリに対する自作PCユーザーの拒否反応を思うとき、Athlon 64 FX-57の最も大きな変更点とも言うべき内蔵メモリコントローラのアップデートと言うのは、はたして自作PCユーザーにどれほど受け入れられるだろうか(もちろん、メモリの入手が困難で、かつ価格が高いことはOEMメーカーにとっても不利に感じるだろう)。

 なんか、DDR-533MHzメモリが入手できなかった言い訳じみてきたが、そういうわけで今回のパフォーマンスのテストは入手が容易なPC3200(DDR-400MHz)を使って行った。比較するのはAthlon 64 X2 4800+とPentium Extreme Edition 840のレビュー記事で測定した値とPentium D&Intel 945Pのレビュー記事で登場したPentium 4 670とパフォーマンスを比較している。

 なお、Athlon 64 FX-57のテスト結果においてSYSmark2004のOffice Productivityにある「Data Analysis」の項目だけ、Athlon 64 FX-55より低くなるといった明らかに異様なデータが表れてしまった。そのため、今回の結果ではこの値を扱わないことにし、SYSmark2004のOverall、Office Productivityのグラフは掲載していない。SYSmark2004の値は参考値程度に考えていただきたい。

クロック以上のパフォーマンス。3DゲームでAthlon X2を凌駕するか?

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