歌丸師匠がアニメに?――「落語天女おゆい」製作発表会には声優から落語の重鎮まで登場(1/2 ページ)
落語を題材にした「落語天女おゆい」製作発表会では、桂歌丸師匠を初めとしたおなじみの噺家の方々も出席され、会場は独特の“間”に包まれた。
先頃、浅草ビューホテルにてテレビアニメ「落語天女おゆい」の製作発表会が行われた。落語を題材にしていることもあって、その会場には桂歌丸師匠を初めとしたおなじみの噺家の方々も出席。ほかのアニメの製作発表にはない、独特の雰囲気と笑いのなかで進行した当日の模様をお伝えしよう。
大ヒットドラマに端を発したといわれる落語ブームが、ついにアニメ業界にまで飛び火した。2006年1月放送開始予定のテレビアニメ「落語天女おゆい」がそれだ。この作品は、落語芸術協会創立75周年を記念して作られる“落語を題材にした日本初のアニメ”とのことで、落語芸術協会も全面協力体制を敷いている。アニメ本編には桂歌丸師匠、三遊亭小遊三師匠を初めとした同協会所属の噺家の方々も大勢登場するようだ。ちなみに、同じく本作への出演が決定している桂米助師匠は「我々はもちろんノーギャラです」と語っていたが、真偽のほどは定かではない。
本作「落語天女おゆい」は、“落語”と“美少女アニメ”という異色の組み合わせがウリのひとつ。日本の伝統芸能であり、大人の(しかもやや年配の方々の)娯楽とされる“落語”と、日本が世界に誇る文化であり、若者の娯楽と捉えられる“アニメ”。同じ娯楽でありながらも、この2つのファン層は対極に位置していると言える。そんな2つの要素が組み合わさってひとつの作品になってしまうというのだから、どんなものが出来上がるのか実に興味深い。
その反面、落語とアニメの融合が可能なのかという疑問にも駆られてしまう。事実、この作品の原作者・桂歌若師匠は――「やはり異色な組みあわせでしたので、この作品を企画したときにはいろいろな方から笑われてしまいましてね。“そんなものができるわけがない”と言われました。しかし、いろいろな人たちの助力のおかげでこうして製作発表ができている。協力してくれた方々に心からお礼を申し上げたいですね。そして、落語と美少女アニメという異質なもの同士を組み合わせたからこそできる、とんでもない化学反応をぜひ見ていただきたいです」と感謝と抱負を述べた。
昔の音楽番組は、歌手が代わる代わる歌うというオーソドックスなスタイルが主流だった。だが、現在は芸人に司会をさせて“笑い”を組み合わせた“音楽バラエティー番組”に人気がある。このように、異質なもの同士を組み合わせてヒットした番組や作品は少なくない。本作はどのような化学反応を生み出し、新しい感覚で視聴者を楽しませてくれるのだろうか。
物語の内容についても触れておこう。主人公となるのは落語研究会に所属する女子高生・月島唯。女子高生として現代で暮らしていた彼女はある日突然、未知なる力に導かれてタイムスリップしてしまう。そしてたどり着いた先は江戸時代。しかも、人類は街を荒らす妖魔との戦いを繰り広げていた……!
唯を初めとする江戸時代にタイムスリップしてしまった6人の美少女たちが、言葉に込められた力“言霊”を操る「落語天女」や、カラクリを操る「機巧天女」などの“天女”と呼ばれる戦士となり、江戸を狙う妖魔との戦いを繰り広げていく物語。なかでも、言葉の力で戦うという「落語天女」の戦闘シーンはどのように描かれていくのか気になるところ。原作者・歌若師匠の、噺家ならではの“言葉”という世界に対するこだわりがどのように反映されているのか注目してみたい。
なんと桂歌丸師匠は、アニメの中でも本人役として登場。歌丸師匠曰く「絵コンテを拝見したときはもっと若く描かれていたのですが、出来上がったものを見てみましたら、だいぶ老けて出来上がっているようでございます」とのこと。そして、隣に描かれているのは歌丸師匠の奥さん・富士子夫人。どうやら富士子夫人も登場するらしい。この絵に対して歌丸師匠は「すごく可愛く描いてあるので“これはサギだ”と申しておきました」と発言し、会場の笑いを誘った。ちなみに、演技に対しても歌若師匠から指示があったようで「口うるさい役なので、地でやってくれればいい」と言われたようだ。
なお、そのほかにも三遊亭小遊三師匠が本人役で登場するらしい。まだ絵はできあがっていないようだが、どのような姿で、どのような役回りで登場するのか気になるところだ。「原作者に言わせると私は人のいい役らしいので、演じるのを楽しみにしております」とは小遊三師匠の弁。
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