ビジネスとエンターテインメントの両立「三國志」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/3 ページ)

» 2005年11月30日 10時09分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

信長と三國志はまったく違うゲームだった

 「三國志」最大の特長は、君主以外にさまざまな武将が登場することである。

 「信長の野望」シリーズでは、配下の武将が登場したのは「戦国群雄伝」以降。「全国版」では大名が直接すべてのことを指揮していたのだ。

 選んだ大名が死ぬと、即ゲームオーバー。高齢の大名になると、他国と戦いながら寿命とも戦わなければならない。

 私は昔から、現実世界で仲間が少ないので、個人的にはこの「信長の野望」の一人で何でもやるシステムも好きだ。だけど三国志のほうは、やっぱり多彩な豪傑が登場しないと、らしくない。関羽や張飛が出てこない三国志は三国志じゃない。

 知力の高い人物は、軍師となって、プレイヤーの行動に対して助言を与える。人材の引き抜きが成功するかどうか、戦争に勝てそうかどうか、行動する前にわかるのだ。

画像 うっかり冬に部隊を移動させようとして、「寒さで多くの兵士が死ぬでしょう」と警告されることもあり、初心者にも親切だ

 ただし軍師も予測を誤ることがある。「なんだい、『必ず人材が見つかる』って言ってたのに」と怒ってはいけない。

 軍師の人間らしさがそこに表現されているとみるべきだろう。

 武力の高さは、もちろん戦闘に大きく影響を及ぼす。

 呂布など武力の高い武将が率いる部隊は、戦闘で兵をなかなか減らさない。「三國志II」以降に比べると、武力による影響がもろに出るような気がする。

画像 戦闘はボードのシミュレーションゲームでおなじみの、六方向に進めるマップで展開。攻める側は兵糧をどこかに置いておかなくてはならない。兵糧を守備側に取られたら負け。官渡の戦いにおける、烏巣の夜襲のようなことが起こり得る

 忠誠度の低い武将は、ほかの君主から引き抜かれやすい。また、戦闘時に裏切ることもある。前の職場に不満を持つ人物を引き抜くと、最初から忠誠度が高い。

画像 関羽と張飛が2人でかかっても倒せなかった呂布の武力は最高値の100。しかし主君をたびたび裏切ったので、忠誠度は32しかない

 逆に、戦闘で敵の武将を捕らえて召し抱えても、前の君主に忠実だった武将は忠誠度が低く、そのままではすぐに引き抜かれてしまう(関羽が曹操に捕らえられた後、結局劉備のもとに戻ったように)。

 もっとも関羽とは違って、このゲームの武将は金を与えると忠誠度が上がる。

 単純な気がするが、案外これが人を使う際の本質を突いているのかもしれない。

 高いお金を出すということは、使う側がその人を高く評価しているということでもあり、雇われる側も“士は己を知る者のために死す”と意気に感じるようになるのかもしれない。

現在のゲーム業界が抱える問題を既に克服

 最近はゲームが複雑になったために、開発期間が長くなり、コストも増大している。これは今のゲーム業界が抱える大きな問題だ。

 しかしコーエーのゲームは、昔から他社のものに比べて、開発期間が長かった。それだけコーエーのゲームが、当時から複雑で緻密だったといえる。

 その分、他社のゲームより価格も高かった。ファミコンソフトの中心価格帯が5000円台だった1988年、「三國志」と、その半年前に出た「信長の野望・全国版」は9800円だった。

 パソコン版の値段に合わせるという意味もあったのだろうが、やはり開発期間が長いことと、容量の多いROMやS-RAMが必要だったことが、高くなった原因だろう。

 そのかわり、長い期間繰り返し遊べるので、コストパフォーマンスは高いのだが。

画像 画面をぱっと見ただけでも、これだけの数値とコマンドの存在するゲームを作ることが、いかに大変なことかがうかがい知れる

 スーパーファミコンの時代には他社のゲームが高くなってきたこともあり、ゲームソフトの価格高騰が問題視される。プレイステーションの時代に入ると、CD-ROMの採用によってゲームソフトの中心価格帯が5000円台まで下がり、コーエーのゲームの高さが際立つようになってしまった。

 そのためかコーエーはこの時期、ファン層を広げるべく歴史もの以外のシミュレーションゲームを開発したり、開発期間の短い、シミュレーション以外のジャンルの作品を多く発売したりしている。

 そんな中から「アンジェリーク」や「三國無双」といったゲームが生まれ、現在の同社の繁栄につながっている。

 つまりコーエーは、今のゲーム業界が抱える問題を、以前から経験していて、それを克服してきたといえるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/07/news109.jpg 「ロッチ」中岡、顔にたっぷり肉を蓄えた激変ショットに驚きの声 「これ…ヤバいって」「すごい変身っぷり」
  2. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  3. /nl/articles/2405/06/news040.jpg 「東京チカラめし」約2年ぶりに東京で“復活” まさかの出店場所に驚き「脳がフリーズしそうに」
  4. /nl/articles/2405/03/news025.jpg 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  5. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  6. /nl/articles/2405/07/news114.jpg 大谷翔平がエスコート 真美子さん「ドジャース奥様会」に再び登場で頭ひとつ抜き出る
  7. /nl/articles/2405/08/news030.jpg 「新紙幣出てきたんだけど」 レジで“千円札”見た若者がポツリ→まさかの正体にショック広がる 「そうだよねえぇ」
  8. /nl/articles/2405/07/news043.jpg 16歳お姉ちゃんと0歳弟、赤ちゃんが泣くとすぐに抱っこして…… 愛をそそぐ姿に「愛しさ溢れてて号泣」「いいね1万回押したい」
  9. /nl/articles/2405/05/news018.jpg 地元民向け“バリカタ仕様”の袋麺だと思ったら……思わぬ落とし穴に「トラップ仕掛けられてる」「自分も引っかかった」
  10. /nl/articles/2405/06/news001.jpg 川をせき止めるほどのゴミ→ボランティアがを徹底的に掃除したら…… 見違える変化に驚き
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評