任天堂が僕たちにくれた、せまくて広い最高の遊び場:「おいでよ どうぶつの森」レビュー(1/5 ページ)
どうぶつたちが住む村の中で、自由気ままな生活を楽しめる人気シリーズ「どうぶつの森」の最新作がニンテンドーDSに登場。その名も「おいでよ どうぶつの森」。満を持して提供されたニンテンドーWi-Fiコネクションで、遊びの幅はぐんと広がった。さあ、楽しいどうぶつたちと一緒にスローライフを始めよう。
コミュニケーションを意識してきた「どうぶつの森」シリーズ
「どうぶつの森」シリーズは過去に3作品がリリースされている。初代「どうぶつの森」は2001年4月14日にNINTENDO 64で発売。同ハード最後の任天堂タイトルとなった「どうぶつの森」は、そのゲーム性の斬新さも話題を呼び、じわじわと売れ続けたヒット作品だった。架空の村のなかで自由に生活をしてどうぶつたちと交流をするという基本内容は、ここですでに完成されていたと言っていいだろう。たくさんのどうぶつとの愉快な会話、たくさんの家具、さかな、虫などの収集要素、そして特に目的がなくても毎日プレイできるリアルタイムな情景やイベントの数々は、どうぶつの森独特のものだった。
2作目の「どうぶつの森+」はプラットフォームをニンテンドーゲームキューブに移して2001年12月14日に登場。コトブキ村長や、仕立て屋を営むハリネズミ姉妹あさみときぬよ、島への渡し守を務めるカッパのカッペイなどの新キャラ新要素が追加され、より賑やかになった。加えてゲームボーイアドバンスとの連携要素も搭載され、GBAケーブルによる新しい遊びが提示された。
3作目は2003年6月27日にゲームキューブで発売された「どうぶつの森e+」。基本的には前2作と変わらないが、全体的なボリュームアップが図られ、カードeリーダー+による新要素が追加された。どうぶつの森カードe+という実際のカードを読み取ることでどうぶつの追加やデザインの追加ができるようになったのだ。加えてSDメモリーカードの読み込みにも対応。村で撮った写真をプリントアウトできるなど、テレビゲームの範疇を超えた面白さを体験することができた。
そして本作「おいでよ どうぶつの森」は、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応タイトルで、遠くにいるともだちとも簡単に交流できるような機能が搭載されている。基本的なゲーム内容は、前述したように1作目でほぼ完成されている。そのうえで作品を重ねるごとに、コネクトすること、コミュニケートすることに関して模索を続けてきた感のあるこのシリーズにおいて、いよいよインターネットを介しての遊びが導入されたわけだ。本作の目玉要素であるニンテンドーWi-Fiコネクションについては後述するが、ニンテンドーDS本体同士の通信だけでなく、遠くの友達とも気軽に遊べるようになったことは大きい。この点が、本作の一番大きな違いなのだ。
村への引っ越し、そしてたぬきちとの出会い
前作まではシリーズを通して、列車に乗る主人公にみしらぬネコが話しかけるということで最初の設定が行われていたが、本作の導入は全く違うテイスト。突然の雨の中、タクシーに乗っている主人公に、カッパの運転手が話しかけるというもので、このとき答えた選択肢によって主人公の性別や見た目が変わる。「みしらぬネコは出てこないのか……」とがっかりしたファンの方もご安心あれ。みしらぬネコはすれちがい通信の画面で登場するのだ。
主人公が村に着いた頃には雨があがっている。さあ、いよいよ村での生活のスタートだ。ここからの展開は前作までとほぼ同様。家が用意されたあとにたぬきちが登場し、「家の借金を返してほしいだも」「まずはうちでアルバイトするだも!」(「だも」はたぬきちの口癖)という展開になる。ただしこのアルバイトは、いわばチュートリアル。アルバイトをこなし、依頼を1つずつやり遂げていくことで、本作の基本操作や、村で何ができるのかが分かるようになっている。
アルバイトが無事に終われば、晴れて自由の身。とは言うもののたぬきちへの借金があるので、何はなくともお金を稼がなくてはならない。まあこれは1つのベクトルではあるが、実は究極的にはお金を返さなくても暮らしていくことはできる。稼いだお金を何に使うかは自由だし、お金を稼ぐために行動しない、という生き方もある。とにかく何をやってもOKなのだ。
ただ普通にプレイをしていけば、おそらく「今の家だと狭いな。もっと家具とか物を置きたいな」という気持ちがわいてくるはず。そうなればやはりたぬきちに借金を返すべきだろう。無事に返済しきるとたぬきちから「家をもっと大きくしてあげるだも」という提案がある。これを承諾すればさらなる借金を抱えることになるが、代わりに部屋が広くなったり、部屋の数が増えたりという増築が行われるという寸法だ。借金は返すたびに額が増えていくので、結局は返し続けねばならない。現実的に考えたら大変なことだが、ここはまあゲームの世界のことだし、少しずつお金を返していくことが家のレベルアップにつながるという成長の面白さも味わえるので、楽しみながら気長に返していけばいいだろう。
それにしても個人的にまずビックリしたのが、移動マップのグラフィックの変化である。前作まではキャラクターや建物が3Dで地面は平坦なグラフィックだったが、本作では地面の表現も3D化しており、奥行きの感じられる画面になっている。下画面上に地面の地平があることで、その先の空の部分を上画面で表現できるようになっているほか、奥行きもさることながら縦の空間を感じることもできる、秀逸な画面構成になっていると言える。前作に慣れていた筆者は最初戸惑ったが、慣れるとこの移動マップのほうが快適になってくるから不思議だ。
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