HDクオリティで描かれるレスラーは、似すぎていてむしろ不気味?:「レッスルキングダム」レビュー(1/3 ページ)
プロレスゲームの開発でつとに知られているユークスが、満を持してXbox 360に参入。HD画質で初めてのプロレスゲームは、実在レスラーの再現性が恐ろしく高い作品に仕上がっている。
プロレスゲームで世界に名をはせるユークスの最新作
プロレスゲームというジャンルにおいて、世界的に高く評価されているメーカーがここ日本にある。「ユークス」という会社だ。国内では中堅メーカーの位置づけだが、実は海外で絶大な人気を誇るシリーズ作を擁している。全米最大のプロレス団体「WWE」をゲーム化した「SmackDown!」シリーズ(日本では「エキサイティングプロレス」シリーズ)がそれで、2000年にプレイステーションで1作目が発売されて以来、ほぼ年に1作のペースで新作が投入され、いずれも好セールスを記録している。ゲームキューブでも「WRESTLEMANIA」シリーズや「DAY OF RECKONING」シリーズを展開するなど、同社製品の大半はプロレスゲームで占められる。さらに昨年秋には、新日本プロレスリングの株式の半数強を取得し、子会社化したことでも話題を呼んだ。
さしずめ“プロレスゲーム専業メーカー”といったところだが、ここ最近は海外市場向けばかりで、意外にも国内のプロレス団体をテーマにしたゲームを久しくリリースしていなかった。1月19日にXbox 360で発売される「レッスルキングダム」は、1999年に発売された「新日本プロレスリング闘魂列伝4」(ドリームキャスト)以来、日本の団体とレスラーを使った久しぶりのタイトルということになる。
このレッスルキングダムでは、新日本、全日本、ノアの国内メジャー団体に加え、フリーで活動するレスラーなど、総勢46人(隠しキャラを含む)が実名で登場。団体の垣根を越えて、夢の対戦を実現できるところが魅力的だ。また、今回はXbox 360初のプロレスゲームということもあり、高度なグラフィック性能で描写されるレスラーのリアリティにもぜひ注目したい。
「気合」の導入で、よりプロレスらしい攻防を演出
プロレスゲームでは多彩なアクションを出すために、どうしてもボタン操作が込み入ってしまいやすいが、ユークスの作品はそのあたりがよく練られていると思う。今作も、基本的には過去の「エキサイティングプロレス」などを踏襲したボタンの割り当て方で、例えばAボタンで相手をつかみ、そこからスティックとAボタンの組み合わせで様々な投げ技(あるいは関節技)が繰り出せるといった具合。また、Aボタンを軽く押すか長押しするかによって、派生する技の強弱が変わるところも「エキサイティングプロレス」と同様だ。
相手の攻撃に対するカウンターについては、過去の作品よりもむしろ出しやすくなった。これまでは、相手の攻撃にタイミングを合わせてLRトリガーを押すというものだったが、今回は攻撃ボタンと同じボタンでカウンターが出せるようになっている。その入力タイミングもそれほどシビアではなく、ボタン連打でもある程度は成功するように改良された。このおかげで、ずいぶんと遊びやすくなったように感じる。
今回新たに導入された要素の中では、「気合」システムがおもしろい。これは、攻撃や相手の技を受ける際に、Rトリガーを押すことで気合を込めるというもの。例えば相手をボディスラムで投げるとき、Rトリガーを押しておくと通常のボディスラムよりも大きなダメージを与えられる。逆に、相手の攻撃を受ける場合も、気合を使うことでダメージを軽減したり、素早く立ち上がれる。
また、レスラーの精神力を表すものとして、「ボルテージ」というパラメーターも用意されている。こちらは、攻撃を成功させたり、先の「気合」を使うことでも徐々に上昇し、最大値になるとフィニッシュホールド(そのレスラーがもっとも得意とする“必殺技”)が発動できるというしくみ。反対に「ボルテージ」が低い状態では、相手のフォールを返しにくくなったり、関節技でギブアップしやすくなるというわけだ。
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