オールドゲーマーのマストアイテム――ナムコの系譜「ナムコミュージアム」シリーズレビュー(1/3 ページ)

往年のアーケードゲーマーであれば、誰もがプレイしているナムコの作品。それらを一堂に集めた“ナムコミュージアム”シリーズ最新作が、PSP版にて登場する。その昔に、PS版として販売されていたこともあるが、果たして今回はどのようになっているのだろうか? 1作目と合わせて、見ていくことにしよう。

» 2006年03月03日 15時08分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

夢があった、80年代のゲームセンター

80年代に学生だった人たちにとっては、懐かしい作品が“これでもか”と言わんがばかりに収録されている

 今のゲームセンターはUFOキャッチャーやメダルゲーム、対戦格闘ゲームしか置かれていないところも多く、個人的にどうにも盛り上がりに欠けるような気がする。しかし、ほんの20年程度前までは、絶対に家庭ではプレイすることが出来ないゲームが並ぶ、まさに楽園のような場所だった。この当時を象徴する魔法の呪文といえば、それは“完全移植”だろう。

 その時代に活躍していたハードでは、どんなに頑張っても完全に移植することは不可能だったため、アーケードゲーム信奉者たちはこぞってその呪文を口にした。また、完全移植が無理なために、アレンジを付け加えてごまかそうとするタイトルがあったのも、また事実。そんな時代にゲームセンターでプレイしたゲームは、自分が思っている以上に美しい思い出として残っているもの。特に、80年代に黄金期を迎えていたナムコゲームなどは、今でもプレイしたいという人が数多くいるはず。

 そんな期待に応えてか、PSPにて発売されたのが“ナムコミュージアム”シリーズだ。PSPを持っているユーザー層にマッチすることもあり、心を揺り動かされている人も多いだろう。そこで、実際にプレイして感触を確かめてみた。

メニュー画面が微妙に異なる「1」と「2」。どちらがお得?

 現在のところ、PSP版のナムコミュージアムは2作が発売されている。1作目に収録されているのは、オリジナル版が「ギャラクシアン」「ギャラガ」「パックマン」「ミズパックマン」「ラリーX」「ニューラリーX」「ディグダグ」で、アレンジ版が「パックマンアレンジメント」「ギャラガアレンジメント」「ラリーXアレンジメント」「ディグダグアレンジメント」の合計11作品。2作目では、オリジナル版「キング&バルーン」「ボスコニアン」「ゼビウス」「マッピー」「ドルアーガの塔」「グロブダー」「ドラゴンバスター」「ディグダグII」「モトス」「ローリングサンダー」「ドラゴンスピリット」に加え、アレンジ版の「パックマン アレンジメントプラス」「モトス アレンジメント」が収録されている。

ミュージックプレイヤーでは、往年のBGMをのんびりと鑑賞できる。名曲が揃っているので、一度は聞いてほしい。

 両方ともに起動して、最初に気づくのがメニュー構成の違いだろう。1作目は、オリジナル版が列の左に、アレンジ版は右の列に表示されていたものが、2作目になると一緒の列に収録されている。しかも、嬉しいことにミュージックプレイヤーと呼ばれる、収録全13タイトルのBGMやSEだけを聞けるモードまで用意されているのだ。アレンジ版が多く収録されている1作目と、メニュー画面から音楽が鑑賞し放題の2作目。どちらをお得に感じるかは人にもよるだろうが、個人的には2作目を押したい。その昔、ナムコのゲームミュージックを収録したCDを買った身としては、そろそろメディアも劣化しているのでは? との疑惑もあるので、2作目を購入して曲を堪能したいところだ。また1作目は、ナムコ初期作品が中心なので、必然的に盛り上がるBGMが少なくなってしまう。しかし、2作目には黄金期の作品が数多く入っているので、聞き応えもタップリ。

 なお、1作目で曲を聴くには、ゲームを選択した後にオプション画面を選び、そこでサウンドテストを選択する。結果的に出来ることは同じだが、1作目の方が若干手間がかかってしまうのだ。

オリジナル版で出来る設定は豊富だが……

アレンジ(初期設定)かオリジナルならば、ドットの細かい部分まで見える。FITを選ぶと、多少にじむが大きな画面でプレイすることが可能だ

 収録されているオリジナル版はアーケードで稼働していたタイトルなので、中には縦画面でプレイするものもある。その際に問題になるのが画面の配置だが、PSPは本体を縦に回転させることで縦画面表示が可能なので(思った以上にアナログ的な方法ではあるが)、そのような設定項目がちゃんと用意されている。それを選べば、当時と変わらない雰囲気で楽しめるのだ。また、項目は画面を縦に回転させるだけでなく、左右幅を合わせるFITや、上下左右ピッタリにしてくれるFULLもある。これらを選ぶと、文字が若干にじんだような感じの表現になってしまうが、これは画面の大きさとのトレードオフなので、しょうがないところ。

 そのほかの設定としては、基盤の電源を入れた直後に表示されるテストパターンのオンオフやエクステンド設定などがある。これらはすべて自分好みに選択できるので、今の腕に合わせてヌルい設定にするのも良いし、当時を思い起こして同じようにするのもありだろう。とはいえ、今でもゲーマー魂が宿っている人ならば、ヌルい設定には絶対に出来ないはずだが……。

 ただし、一部のゲームを除いて、キーコンフィグができないのには困った。なぜそのような仕様にしたのか理解に苦しむが、ボタンを1つしか使わない作品でも、自由にカスタマイズできるようにしておいてほしかった。□ボタンに空中攻撃、Rボタンで地上攻撃などと設定したいゲームもあるのだから。ほぼ完全に移植できているだけに、余計目立ってしまったのが残念。

当時のゲームセンターに置かれていた、ゼビウスの筐体を思いだした人もいる? 長期間可動させっぱなしの場合、このようにロゴの部分が焼き付くことが本当にあったのだ

 ほかにも、収録されているオリジナル版は全てアーケード版に忠実に移植されているのに、2作目は1作目に比べて、ロード時間が長いのも惜しい部分。何か内部の仕組みが変わったのかもしれないが、何とか工夫して短くしてほしかった。次回作があるならば、ぜひ改善してほしい項目だ。

 なお、タイトルごとにマニアックオプションと呼ばれる項目があり、一定条件を満たすとオプション画面に現れるようになる。ここでは、ゼビウスなら画面の焼き付き状態を再現したままのプレイや、キング&バルーンなら王様の声を日本語版とUS版から選択できるなど、まさにマニアしか知らないような当時の現象を、オプションにて再現できる。もちろん、このモードがないからといってプレイに支障を来すわけではないが、遊び心でこのようなモードを入れた開発者のお茶目心には感謝。このようなサービスを見ると同社が昔、雑誌の広告で使っていたキャッチコピー「遊気凛々」を何となく思い出してしまう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」