「学び」をゲームに──「シリアスゲーム」市場開拓へスクエニと学研が提携
学習を目的としたゲーム「シリアスゲーム」でスクエニと学研が提携した。企業や学校、官公庁などの受注に応じてゲームを開発。新市場を開拓する。
スクウェア・エニックスと学習研究社は3月22日、教育・研修用のゲーム「シリアスゲーム」の開発・販売で提携したと発表した。共同で新会社を5月に設立し、企業や学校、官公庁などの受注に応じてコンテンツを開発・販売する。
スクエニの和田洋一社長は「シリアスゲームの市場は大きく、1つの産業になる可能性を持っている」と期待を語った。
新会社「SGラボ」の資本金は1000万円で、スクエニが60%、学研が残りを出資する。まずは営業に特化し、企業などを回ってシリアスゲームの受注を獲得。スクエニと学研の開発陣が協力して開発を進める。目的に応じて最適なハードを選び、開発していく方針だ。
シリアスゲームは、何かを学習したり習得するという目的ありきのゲームで、米国などでは一般化しているジャンルだ(関連記事参照)。一般的なエンターテインメントゲームの反対語として位置づけられており、経営シミュレーションや環境学習用ゲーム、資格取得用ゲームなど、カバー範囲は多岐にわたる。
和田社長は、企業の研修や小中学校の学習内容、通信教育、生涯学習など、学習にかかわるすべてのコンテンツがシリアスゲームの対象ととらえる。「みなさんが想像している以上に市場は大きい」とし、1兆円以上の潜在市場があると語る。
ゲームが一般化してから20年以上経ち、幅広い世代でゲームへの抵抗がなくなってきていることも市場拡大を見込む根拠の1つ。これまで冊子やCDコンテンツだった教材を、ゲーム化・オンライン化すればニーズは高いと読む。
「脳を鍛える大人のDSトレーニング」など学習関連のゲームが流行しているが、シリアスゲームはこれとは異なるという。「脳を鍛える〜は、よくできたエンタメゲーム。脳年齢を出すことは、ゲームのステージクリアのモチベーションになるが、それによって実際に脳年齢が20歳になる、ということではないだろう」(和田社長)
学研の遠藤洋一郎社長は「当社独自でもネット対応を進めてきたが、ゲーム開発にはノウハウが必要」と提携の狙いを語った。
「シリアスゲーム分野で新会社を作って本格参入するのは、おそらく世界初」(和田社長)――新会社は初年度10億円の売り上げを目指す。
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シリアスゲームジャパンの藤本徹氏は、東京大学ゲーム研究プロジェクトの研究会で、『北米におけるシリアスゲームの展開』と題した発表の中で、ゲームのエンタテインメント以外への活用が、教育やマーケティングなどの分野で進んでいる状況を紹介した。 - ボクらは「桃鉄」で日本地理を、「信長の野望」や「三国志」で歴史を学んだ
エンターテインメント以外の目的で作られたゲームは「シリアスゲーム」と呼ばれている。だが、日本でこの概念はあまり根付いていない。そこで「GDC 2005」においてシリアスゲームのセッションを行った東京大学の馬場教授に、シリアスゲームとは何か? 話を聞いた。
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