そこには確かにオンラインの世界が広がっていた「.hack//G.U. Vol.1 再誕」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年06月05日 17時16分 公開
[篠崎薫,ITmedia]
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 戦いはリアルタイムのアクションバトルだが、基本的には○ボタンを連打するだけでOKなので、アクションゲームが苦手な人でも問題なく楽しめるだろう。×ボタンでガードもできるので、自信のある人は敵のパターンを見切ってダメージを受けずに戦闘を終わらせることも可能だ。また、スキルゲージが溜まっているときにR1ボタンを押すとスキルが発動でき、特殊な攻撃を仕掛けられる。さらに、敵を攻撃して一定以上コンボを決めると、連撃という技が出せる。これを使えば、大ダメージを与えられるだけでなく、同時にテンションゲージがアップ。満タン時に□ボタンで覚醒モードに入ることができ、まとまったダメージを与えられる。これが非常に気持ちよく、また対ボス戦などでも威力を発揮してくれるので、つい必死になって○ボタンを連打してしまった。

戦闘が始まると、周囲とは区切られたフィールドでの戦いとなる。基本は、敵に近づき○ボタン連打。華麗に戦いたい人は、防御も交えていこう
連撃は、スキルを単体で出すよりも大きなダメージを与えられる。敵にサークルが表示されたらR1を押せば発動させられるので、操作も簡単
派手な演出のあとは、ひたすら○ボタン連打! 連射付きジョイスティックがあれば、かなり楽かもしれない?

 この戦闘システムが、プレイしていて非常に楽しいと感じた。当方がアクションゲーム好きだから、という理由もあるだろうが、実際に息つく暇なくバトルが展開されるので、とにかく緊張感があって面白い。また、連撃などが決まるととても気持ちよく、実際に相手をこの手で倒しているという爽快感が得られるのもうれしい。ありものに例えるならば、PSOのバトルがスピードアップしたバージョン、と表現できる。なので、PSOの戦闘システムが好きという人ならば、問題なくハマれるはずだ。今まで、数多くのRPGをプレイしてきたが、これだけ面白いシステムにはそう出会えないと思ったほど。

 なお、敵と遭遇すると、戦闘フィールドを中心とした壁が出現し、その中で戦いが展開される。アイテムを使わない限り逃げられないので、パーティの実力を考えて戦いを挑もう。とはいえ、ソロでダンジョンに潜らない限りは全滅することはないので、適切な難易度だといえる。

オンラインの雰囲気がにじみ出る世界観にも感心

キャラの隣を通り過ぎると、ちゃんと挨拶してくれる。いらないアイテムがあるときは、彼らを捕まえてトレードしてみるといいだろう

 街では数多くのキャラが歩き回っているのだが、彼らを操作しているプレーヤーがいるかのごとく会話をしているだけでなく、アイテムのトレードも可能だ。話しかけるのが面倒という人もいるかもしれないが、レアアイテムが入手できることもあるので、気が向いたら会話を交わしておくといいだろう。とはいえ、実際のオンラインゲームでは、彼らよりもそっけない返事をする人もいれば、非常に親身になって会話をしてくれる人もいるので、ここで慣れたからといって万全というわけではない。

 経験値を稼ぎたい時には戦闘を繰り返すわけだが、そのためにはキーワードを選んでダンジョンを作らなければならない。キーワードは、イベントだったりBBSを見ることで入手できるので、ゲーム内のオフィシャル掲示板なども時々チェックしておきたいところだ。とはいえ、無目的で探索に出るのも面白くないので、街の中にあるクエスト屋と呼ばれるお店でクエストを受けてから、ダンジョンに入るのがいいだろう。これならば、クエストをこなしつつレベルも上げられるので、一石二鳥だ。

 味方の装備を変更する場合も通常のRPGであれば簡単だが、オンラインゲームの世界をシミュレートしているということで、仲間にアイテムをプレゼントすると良い武器なら自動的に装備してくれるのも斬新。もちろん逆なら放置されるので、これはこれでなかなかユニークだ。

 良い意味で意外だったのが、本作で流れているBGM。まったく期待していなかったのだが(失礼)、何度聞いても飽きないだけでなく雰囲気にもマッチしていて、一発で気に入ってしまった。こういううれしい誤算は大歓迎。今後も続くシリーズだけに、BGMを聞く楽しみも増えたと言える。

BBSを見ると、キーワードが載っている書き込みがあることも。こういったところで集めて、自分の望むダンジョンを生み出そう
街の住人から頼まれたというクエストを任される。どれもユニークなものばかりなので、思わず笑ってしまうことも
良い武器をプレゼントすると、その場で装備を変更してくれる。こうして、少しずつ絆を高めていくのだ

今から始めても、十分に付いていけるシリーズ

ムービーも、それ以外のシーンも、驚くほどクオリティが高い。こうなると、続編ではもっと綺麗になるのでは? と期待してしまう

 「.hack」シリーズを通して比べてみたところ、ムービーやグラフィックの品質が格段に上がっているのがよく分かる。ただし、プレーヤーが操作できないムービーシーンが長いのが、人によっては気になるかもしれない。場面によっては、ムービーの合間にゲームが入るという感じのところもあるので、このあたりはもう少し上手に処理して欲しかった。

 ダンジョンでのセーブができないのも気になったが、これについては賛否両論があるだろう。緊張感のある冒険が楽しめるという点ではいいのだが、何かあったときにすぐ保存できないというのは不便。一度使うと消えてしまうようなセーブポイントでもいいので、あれば違ったと思うのだが……。

笑いを示すであろう“W”が会話に登場するのは、どうしても違和感があった。逆に、“(笑)”のほうが肌に合わない人もいるかもしれないので、どちらかから選択できると便利だが……

 いくつか疑問に思ったうちの1つが、ゲームオーバーに関しての処理方法。ハセヲのHPが0になるとゲームオーバーなのだが、その際にデスクトップではなくタイトル画面にまで戻されてしまう。仮想オンラインゲームをプレイしていてのゲームオーバーなのだから、デスクトップに戻すのが筋だと思うので、次回以降はぜひ改善して欲しいところ。


これまで歩んできたストーリーを見られるだけでなく、次に何をすればいいかもわかるチャート。非常に親切な作りだ

 最後にいくつかの不満点をピックアップしたものの、それらが霞んでしまうほど内容的には良くできていると思った。適切な難易度に加えて、テンポ良く進むストーリーや飽きずに遊べる戦闘シーン、物語の背景に隠されている大きな謎など、魅力的な部分を数多く感じられた。基本的なストーリーは一本道で、毎回次にすべき事柄が表示されるだけでなく、これまでの軌跡もチェックできるので、迷うことが無い点も大いに評価したい。物語を進めずに、ダンジョンに入り浸ってしまうという遊び方もあるので、一本道とはいえ自由度が高いのもうれしい配慮だ。

 RPGは超大作ばかりが話題を集めがちだが、本作のようにできの良い作品もゴロゴロしているから油断できない。この機会にぜひプレイすることを強くオススメしたい。そして、あなたも「The World」の世界の謎に、一緒に立ち向わないか?

「.hack//G.U. Vol.1 再誕」
対応機種プレイステーション 2
メーカーバンダイナムコゲームス
ジャンルアクションRPG
発売日2006年5月18日
価格7140円(税込)
(C).hack Conglomarate (C)2006 NBGI


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