弓や槍に飽きたので、今度は巨大サソリや謎の召喚獣を率いてみました「マイクロソフト ライズ オブ ネイション:ライズ オブ レジェンド」レビュー(1/2 ページ)

内政ユニットを用いて国家を繁栄させ、最終的には統一を目指す。太古より現代までの、約6000年に渡る興亡を楽しめる前作「ライズ オブ ネイション」から、一変してファンタジーに変化した続編の中身は果たして……。缶入りパンのプレゼントあり。

» 2006年07月28日 14時32分 公開
[板橋舟人,ITmedia]

RTSの王道とは歴史をなぞることである

 かつて一世を風靡(ふうび)したリアルタイムストラテジー(RTS)というジャンルがある。家庭用ゲーム機ユーザーにはなじみが薄いかもしれないが、PC用ゲームとしてそれこそ雨後の竹の子のように乱発され、数多の名作が登場した。ここ近年はMMORPGに押されて少し元気がないように見えるが、2006年には大作と呼ぶにふさわしいタイトルが多数登場し、久しぶりにRTSが盛り上がりを見せている。

 その大作のひとつが「マイクロソフト ライズ オブ ネイション:ライズ オブ レジェンド」(以下、「ROL」)だ。前作である「ライズ オブ ネイション」は、RTSの王道をゆく“歴史を題材としたRTS”。マップにある食料や石油などの資源を採取して民族を反映させ、強力な軍隊を作成して他民族を討ち滅ぼすことが目的。紀元前4000年からゲームはスタートし、近代までの6000年を約1時間で体感できるという、スケールの大きさに比べて手軽に遊べることが魅力だ。

photo 史実を元にした世界観から一転、共通点がまったくないファンタジーに変ぼう。ただし、核の部分はしっかりと前作を継承している

 その続編である「ROL」は、続編でありながら、なんとファンタジーに様変わりしている。舞台はもちろん、建物やユニットなど、ほぼすべての要素がガラッと変化し、別のシリーズにすら見えてしまうほどだ。

 そもそも歴史RTSは、ゲームとしての面白さだけではなく、歴史が題材になっているからこそ遊んでいるユーザーが多いと個人的には考えている。本人が意識していなくても、そのような面は多々あるはずなのだ。そのようなファンに対して、ファンタジーである本作の第一印象は正直よろしくない。

 ファンタジーに変わったのは間違いだったのか? さらに言えば、なぜ「ライズ オブ ネイション」という名称が付けられたのだろうか? 実際のゲームプレイをなぞりながら、シリーズとしての魅力と本作の面白さを紹介していこう。

3つという文明数は、実は少なくないんですよ

photo 映像はなかなかキレイだが、その分マシンパワーも必要となる。快適に遊ぶにはハイエンドクラスが欲しいところ

 RTSでは、多数の国家や文明の中からひとつを選択し、繁栄させていくのが王道となっている。「ROL」もそれにならい、3つの文明が登場する。機械を得意とする「ヴィンチ」、強力な魔法を使いこなす「アリン」、崇拝と謎の技術に長けた「コートル」がそれだ。ただし、前作では全18文明が使え、さらに拡張パックでは6文明が追加されたことに比べると、非常に少なく感じるのも確かだ。しかし、ひと通りプレイした後では、むしろちょうど良い数に思えてくる。文明数が少ないからボリューム不足、というわけではないのである。

 その理由については、ゲームシステムを理解していたほうが分かりやすいので、後に回すとして、まずはもっともスタンダードな文明であるヴィンチを例として、ゲームの流れを追って解説していこうと思う。

都市を占領して国家を繁栄せよ

 多くのRTSの場合、拠点である都市を中心に、「町の人」などの内政ユニットを作成して、マップにある木や食料、石材、金などの資源を集めることが基本となる。採取した資源でさらに建物を建設したり、軍を作成して国家を強力にしていくのがセオリーだ。

 また、ある条件を満たすと自文明の時代が進化し、より強力な建物や軍を作成できるのも一般的だ。RTSはそのジャンル名通りリアルタイムに進行するので、“いかに素早く時代を進化させられるか”が重要となるわけだ。

photo 都市自体は自分では建設できない。元よりある中立の都市か、敵の都市を奪って手に入れる

 さて、本作のマップ上には各民族の首都以外にも、中立扱いの都市がいくつか配置されており、これを占領することで自国のものにすることができる。一般的なRTSは、多少の制限はあれど好きな場所に都市を建設できるため、最初は違和感を覚えるかもしれない。ただ、他民族とは当然のようにこの都市をめぐって戦うことが多くなるため、戦いが発生しやすいタイミングが、ある程度は予想できるというメリットもある。

 都市に新たな地区を増築する、という形で発展させていくのも本作ならではだ。建設できるのは、より多くの軍を配備可能となる「軍事」、財政面を発展させる「商業」、ユニットの作成時間を短縮できるなど、さまざまなテクノロジーを研究できる「工業」の3つ。これらを合計3つ建設すると「宮殿」が登場し、都市は「大都市」にパワーアップする。

photo 各都市は地区を建設して発展していく。どの地区を優先して建てるかが悩みどころであり、楽しい部分だ

 大都市になると、各地区の効力が大きくなるほか、国境も拡大する。さらには新たなユニットが作成可能になる。これは言わば、ほかのRTSでいう進化に該当するわけだ。なお、大都市になった後も同様に拡張を続けると巨大都市にパワーアップする。

 ある建物を建設しなければ進化できなかったり、テクノロジーを研究する必要があったりと、慣れるまでは進化の条件が分かりにくいのが欠点であったRTSだが、本作では上記の通り条件が簡潔で、加えて都市のみで内政をほぼ完結できる。ルールは理解しやすいだろう。難しいと思われがちなRTSの内政だが、本作ならば初心者でもすぐに楽しめるのではないだろうか。

 ただし、分かりやすいからといって奥が浅いというわけではない。各地区は、建てるごとに建設コストが上がるため、どの地区を最初に建設するか、という戦略が重要になってくる。例えば、最初に軍事地区を建設しまくると、ほかの地区の価格も上がるため、資源が足らずに商業地区を建設できなくなる、なんて悩みが発生する。そのため、どの順番で地区を建設していくかが重要だ。

 地区建設の価格は都市別にカウントされるため、新しい都市をゲットできれば、成長した都市を拡張するよりも格段に安い費用で内政を発展させられる。“じゃあ早い段階で新しい都市をガンガン手に入れれば楽勝じゃん!”と思うかもしれない。確かにそれは理想だが、中立の都市は中立の軍隊が守備しているため、今後は彼らを倒さなければならないという問題が出てくる。

 中立軍は大軍ではないが、軍備が整っていないゲーム序盤はなかなかの強敵だ。加えてほかのプレーヤーも都市を狙っているので、どのタイミングで都市を攻めるのか考える必要があるだろう。なお、都市にて軍事地区を建設すれば、そのたび軍事ユニットがひとつずつ手に入る。これを利用すれば、序盤でも十分に役立つ戦力を手に入れることが可能だ。

photo 中立都市は資源で購入することも可能。おサイフに余裕があれば、ぜひともこちらの方法で入手したい

 ただし、中立の都市は自文明の資源を支払って購入することもできる。この方法は、こちらの戦力を減らすことなく、加えて中立軍も自軍として加わるため、非常に有効な手段となる。力ずくで手に入れるか、金の力で解決するか。状況に合わせて2通りの戦略を選択できるのも魅力だろう。

資源も簡略化。その数わずか2種類

photo 自陣にあるチモニウム鉱床からチモニウムを採掘するのが、内政の基本となる。働ける採掘員の数は鉱床ごとに変化する

 資源についても解説しよう。ヴィンチの資源には「チモニウム」と「財貨」の2種類が登場する。チモニウムは、マップ上にあるチモニウム鉱床の横に採掘所を建設し、採掘員を作成することで採取できる。財貨は、都市にて交易ユニットである「キャラバン」を作成することで入手可能だ。

photo 都市でキャラバンを作成すると、交易を行って財貨を入手してくれる。こちらも、商業地区を建てるとキャラバンの上限数が増える

 都市の拡張にならい、資源の入手という面でも本作は簡略化されており、非常にプレイしやすい。陣地を拡大して新たなチモニウム鉱床を捜すか、キャラバンを追加して作成するだけで、より多くの資源を入手できるからだ。ただし入手量にはリミットが設定されており、商業地区を建設すれば上限が増えていく仕組みだ。

 従来のRTSでは資源そのものが多数存在し、それに見合った建物を建設する必要があった。加えて内政ユニットを配置せねばならず、さらに資源はとり続ければ枯渇することもある。資源が枯渇したら、マップを探索して新たな資源を見つけなければならない。そのため資源は非常に重要で、マップの配置によってはゲームスタート時から劣勢になることも多々あったのだ。

 ベテランプレーヤーの中には、そこが魅力と感じている人もいるだろうが、初心者にとっては難解なシステムを理解し、運が必要なこともあり、敷居を高くする要因でもあった。さらに、プレイ中も定期的に資源を捜したり、内政ユニットを増員しなければ内政が向上しない。つまり、内政における操作の負担が大きかったわけだ。

 本作では、資源を2種類にまで絞り、資源が枯渇しないという前作のシステムを引き継いでいるため、内政面の負担は大幅に減っている。戦闘により集中できるバランスになっているのである。

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