呼吸を止めて1秒後に敵は死神とタッチする――狙撃の楽しさが増したミリタリーゲームの定番:「ゴーストリコン アドバンス ウォーファイター」レビュー(1/2 ページ)
リアル系ミリタリーゲームの代表作である「ゴーストリコン」シリーズ。その最新作がXbox 360で登場した。次世代機初となるシリーズタイトルだが、どこがどう進化したのか、その魅力を探ってみる。
ミリタリーゲームとして確固たる地位を確立した「トム・クランシー シリーズ」ブランド。タイトルは数あれど、最もそのテイストを味わえるのが「ゴーストリコン」シリーズだろう。中でもXbox版のデキが出色で、前作「ゴーストリコン2:サミットストライク」の海外版をわざわざ購入し、楽しんでいるコアゲーマーも多い。ちなみに日本では、プレイステーション 2版「ゴーストリコン2」が発売されているが、Xbox版とはタイトル以外ほぼ別のゲームに仕上がっていることでちょっとだけ話題を集めた。
そんな「ゴーストリコン」シリーズの最大の魅力は、“リアルである”ことに尽きる。キューバや北朝鮮を舞台とした本当に起きそうなシナリオ、ミリタリーマニア垂涎の実在兵器、頭部を撃たれると一撃で倒されるシビアなゲームシステム……などなど、ミリタリーファンには楽しめる要素が満点なのだ。ただ、その分難易度は高く、ライトユーザーが手を伸ばしにくいのも事実だろう。
シリーズ最新作である「ゴーストリコン アドバンス ウォーファイター」は、近未来である2013年のメキシコが舞台。アメリカ大統領とカナダ首相、メキシコ大統領の3名が協定の調印を行うため集結したが、突如テロリストに襲われ……というストーリーだ。プレーヤーは、シリーズおなじみ特殊部隊「ゴーストチーム」の一員となり、未曾有の危機を解決すべく、戦乱の地へ赴き、テロを鎮圧するのである。
映像は近未来風に超絶進化
プレイ直後、まず目に付くのが、カラフルなアイコンの数々だろう。武器の残弾数、付近の状況、隊員の名簿および体力、自身のスタンスに体力。目的地は黄色い四角で、敵は赤いひし形で表示される。必要最低限の情報しか表示されなかった前作に比べ、非常に多くの情報が表示されているのだ。またデザインも格好よく、“近未来で戦っている”という実感をヒシヒシと体感できる。
この情報の数々は、ゲーム的なメリットが満載だ。とにかく敵の位置を見つけにくかった本シリーズだが、本作では一度発見した敵は、例え建物をはさんだ向こう側にいようが、赤いアイコンで位置を確認できる。さらにアイコンに照準を合わせれば、敵までの距離と敵の残り体力が表示される。リアルさを売りにしてきたシリーズらしからぬ、ゲーム的な表現にあふれている。
敵の体力の表示は、ストイックなゲームシステムにほれていた古参のファンにとって賛否両論かもしれない。舞台が現在以前であった前作までならば、この表現はリアルではない。しかし、本作の舞台は近未来である。きっと近い将来、この表現が実現されるはず……と無理やり納得しておこう。
個人的に、表示される情報が増えたことは、無条件で喜べるほどうれしいものだ。乱戦で敵を見失うというストレスがなくなり、敵の位置も分かるため、かなり楽に攻められる。さらには索敵の重要度が増すなど、ゲーム的に面白くなった部分は多いと感じた。
かといって、簡単になったというバランスではない。発見していない敵は当然アイコンが表示されないため、敵を発見する前に倒されるということが多々ある。未知の地域を進むとき常に緊張感が付きまとうのは、シリーズならではだろう。
次世代らしさが満載の美しい映像
ステージの映像も大幅にパワーアップしており、これまでのXbox 360ソフトと比べても、トップクラスに分類されるであろうクオリティを誇っている。テクスチャはより精細になり、カメラが寄った部分のテクスチャがぼやけて興ざめ、なんてことはない。
次世代技術の定番であるHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)レンダリングもしっかりと採用。明るいところから日陰に移動すると画面全体が暗くなったり、金属製のオブジェに太陽光が当たると白とびを起こすなど、映像面でのリアリティはより増している。
また、遠くの道路がかげろうで揺らめいていたり、爆発した車両からもうもうと黒煙が立ち上がるなど、次世代らしいエフェクトが随所にちりばめられている。各建物の影もリアルに処理されており、非常に説得感のある映像となっているのだ。これだけレベルの高い処理を行っていても処理落ちはほぼ発生しないため、ストレスなく楽しめるのは正直スゴイ。
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