MMORPGの入門編として障壁の低いオンラインゲームを目指す――「エンジェル ラブ オンライン」インタビューキューエンタテインメント&台湾UserJoy開発者インタビュー(1/2 ページ)

台湾のUserJoyが開発を手がけ、日本ではキューエンタテインメントが運営を担う「エンジェル ラブ オンライン」がまもなくサービスインしようとしている。今回は開発者にその幸運ななれそめと、本作の立ち位置について聞いてみた。

» 2006年11月22日 00時00分 公開
[加藤亘,ITmedia]
同じ構造のビルが並ぶ。判別はそのガラスの色で行うという。周囲には同様にNCソフト台湾など2、3のゲーム関連メーカーのオフィスがある

 台北市から南西に車で10分。河を渡った中和市にある、同一規格で整然と並ぶ新興のビジネスビル群の1つにUser Joy社は居を構えている。User Joyは、2004年6月に3つの会社が合併し、現在の形となった。主にパッケージのPC用ゲームソフトを製作していたが、合併を前後してオンラインゲーム開発にも積極的に展開している。

 主な代表作としては台湾のゲームショウで選ばれるGAME STARに入賞した「神州」や、大賞を取った中国武侠にアニメ的要素を取り入れた「THE TWIN HEROES」(新絶代雙驕Online)、台湾5万人、中国10万人の同時接続数を記録した「オンライン三国群英伝」などが上げられる。日本ファルコムから2004年に発売された「幻想三国誌」の開発元といえばピンとくる人もいるかと思う。ここは、まもなく日本でもオープンβテストが開始予定の「Angel Love Online」(エンジェルラブオンライン、以下、ALO)の開発元でもある。

 「ALO」は、今年5月にロサンゼルスで開催したE3や、9月に千葉県の幕張メッセで開催された東京ゲームショウでも出展され、同東京ゲームショウにおいても発表会がされたように、「メテオスオンライン」とともに、NHN Japanが運営する「ハンゲーム」において日本国内配信権の契約が結ばれている。

 本作は、近日βテストの開始予定となっている2DテイストのMMORPGで、髪型や色、身長などキャラクター作成時の組み合わせが男女それぞれ3万通り以上とカスタマイズが充実しているだけでなく、ペーパードールシステムによりアバターで着せ替えをするような欲求を満たせる作品だ。スキルの取得や育て方も自由自在で、自分だけのオリジナルキャラクターへの育成が可能となっている。詳細はこちらを参照のこと。

 「ALO」は、すでに台湾で7月にクローズドβテストを行い、8月にはオープンβテストが開始、9月にはアイテム課金がスタートしている。同社が開発したゲームにおいて、初の完全アイテム課金制度を導入したタイトルとしても画期的だった。同時接続者数は5万人を越え、登録会員数は100万人を記録している。中国でもオープンβテストが10月27日から開始しており、現在同時接続者数を3万人、登録会員数を80万人に伸ばしている。

 今回、日本でのサービス運営元であるキューエンタテインメントと開発元のUser Joyのご厚意で台湾の開発元に出向き、インタビューを取ることができた。まもなく日本でもサービスインをしようとしている本作はどんなゲームなのか……。こちらを読んで興味を持っていただけたら幸いだ。

User Joy社内部には数々の受賞トロフィーが並んでいた。説明を受けた後、インタビューとなった

「エンジェルラブオンライン」の日本展開は幸運な出逢いから始まった

左からUser JoyのLin Hsieh Ko氏とJacky Chang氏、そしてキューエンタテインメント森健志氏と君塚靖征氏

 今回、インタビューに答えていただいたのは、開発元のUser Joy側を代表して第2開発チーム チーム長のJacky Chang氏とゼネラルマネージャーのLin Hsieh Ko氏、そしてキューエンタテインメント側を代表してオンライン事業パブリッシング部部長であり本作プロデューサーの森健志氏と、本作ディレクターの君塚靖征氏。

 前述したとおり、本作は7月にクローズドβテストが行われ、その際は用意していたサーバーがパンク寸前にまで負荷がかかった。すぐさま追加のサーバーで対処するほどの人気で、その後も順調にユーザー数は推移していった作品だ。相変わらず台湾は武侠ものが人気を集める中、本作のように2Dの可愛いビジュアルを持つタイトルがこうして受け入れられているのを見ると、市場はやはり動いているのだと改めて感じる。



―― 本作はどういった経緯で開発されることになったのですか? また本作の狙うところはなんでしょうか?

Jacky Chang氏(以下、張氏) 開発は昨年の春先から着手しました。ですからクローズドβテストまで約20カ月ちょっとで開発したことになります。最初の企画段階から本作では、ビジュアルやスキルなどを自由に選べるよう、ユーザーが気に入ったキャラクターに育てていけるようにしていました。そうしていく中で、スタッフからの意見や発想を取り入れ、いいシステムがあれば採用し、盛りだくさんな内容となったのです。ですが、あまりにスキルなりシステムを詰め込みすぎると、初心者は戸惑ってしまいます。ですから、最初はオススメの14種類の基本職業を作ったりと気を配りました。慣れてくれば作り直してオリジナルのキャラクターに仕上げていくようにしたんです。開発をほとんど自社で行っているので指揮系統の統一は取れていました。

―― そもそもなぜ日本での展開がキューエンタテインメントとなったのでしょうか? その経緯を教えてください。

森氏 交渉自体は今年の7月でした。今まで3Dや2.5Dモノのプロデュースをしていたのですが、そのサポートをする中でユーザーから専門用語やメモリ・グラフィックカードといった機器類など、PCのスペックに関する問い合わせが多いなと実感していました。ですから、もし自分が次にプロデュースするのならば、高スペックのPCを必要としない、誰でもすぐに遊べるコンテンツを探そうと思っていたんです。

これがまず目についたという。可愛い

―― 最初に目にしたのは?

森氏 今年のE3でした。ただ何の気なしに見学していたんです。その時、本作の“機甲”が目に入ってきたんです。自分も犬を飼っているので、興味が沸いたんです。そしてよくよく見てみると、システムの多さであったり、ペーパードールシステムであったり、なによりも低スペックでも遊べる仕様が自分が考えていた理想にぴったりだったんです。でも、当時はまだただ漠然と記憶にすり込まれただけなんですけど。

―― キューエンタテインメントではすぐに取りかかられたわけですか?

森氏 そうです。ちょうどキューエンタテインメントでも本格的なMMORPGのパブリッシングをしようという流れがありまして、その時、ピンときたんです。日本のユーザーにもマッチしているし、以前から考えていた2Dタイトルをプロデュースするチャンスだと提案したわけです。確信に変わったあとは、すぐに交渉に入ろうと単身台湾に乗り込んでましたね。交渉も契約締結まで2カ月かかっていないので順調でした。

Lin Hsieh Ko氏(以後、林氏) 我々がなぜキューエンタテインメントを選んだかというと、まず運営の方針がよかったんです。明確だった。当時いただいた企画書が抜群によかったんですぐ決めました。

―― そのへんは経験ですか?

森氏 自分は6年オンラインゲームを手がけているのですが、キューエンタテインメントでの最初のMMORPGに携わる上で、その他社での6年間の経験が生きたと思うんです。明確にイメージできる具体的な企画を提案できました。

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