毛筆気分で書画を楽しめちゃうんだなあ。タッチペンだもの「こころに染みる 毛筆で書く 相田みつをDS」レビュー(1/2 ページ)

ニンテンドーDSで相田みつを氏の書画を存分に楽しめる「こころに染みる 毛筆で書く 相田みつをDS」が登場した。正解もなく、終わりもなく、ただひたすらに書の道を味わう、異色中の異色タイトルだ。

» 2006年11月30日 12時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]

こころを休めたり こころに染みたり そういうのって大事なんだなあ

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 アーテインから11月30日に発売された「こころに染みる 毛筆で書く 相田みつをDS」は、書家にして詩人でもある相田みつを氏の珠玉の作品群を書写・閲覧できるゲームだ。いや。もはや“ゲーム”という名を冠してよいのかも分からない。なんせジャンルは“書画”だ。モンスターを倒すでもなく、レベルを上げるでもなく、ジャンプをするでもなく、得点や脳年齢を競うでもなく、英語がうまくなるわけでもなく、正解もなく、終わりもない。ただひたすらに“毛筆タッチで文字を書く”という行為が楽しめる、風変わりなタイトルである。“書画”というジャンルで発売されたゲームは本作が初なのではないだろうか。少なくとも筆者が知る限りでは初めてだ。

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 本作をリリースしたアーテインは、ニンテンドーDSで「こころを休める大人の塗り絵DS」を発売したメーカーである。本作はさしづめ“こころ”シリーズ第2弾といったところだろうか。ニンテンドーDSのタッチペンというインタフェースを活かすことに特化し、答えのない、自由気ままなプレイが“こころ”に栄養を与えるという点が両者の共通点であろう。

 「こころを休める大人の塗り絵DS」では世界中の名画を扱っていたが、本作で取り扱われるのは、タイトルにもあるように相田みつを氏の作品のみ。その独特の毛筆のタッチと文章のフレーズが好きな方にはストライクゾーンなタイトルだと言える。ゲーム業界初の“書画”ゲームではいったい何がどんな具合にできるのか、次項からお伝えしていこう。

タッチペンで 毛筆みたいに 書けるんだなあ

画像 思いっきり名前を書いてみました。まあ、悪筆ではありますが…

 本作を初めてプレイする場合、まずは自分のデータを新規作成することになる。プレーヤーは、ここでいきなり“書画”と向き合うことに。自分のサインとハンコを作成しなくてはならないのだ。サインは横書きで自由に書くことができる。何を書いてもアリだが、ここはひとつ自分の名前をぐわっと思いっきり書いてみてはどうだろうか。タッチペンと「文字を書く」という操作の相性は、言うまでもなくバッチリだ。


画像 名字をドバンと一文字、ハンコにしてみました。適当に作ってもそれなりに雰囲気が出るので不思議です

 続いてハンコの作成。相田みつを氏はひらがなの「み」をあしらったハンコを自分の作品に落款(らっかん)していた。それと同じように、今後プレイの中でできた自分の作品には、ここで作ったハンコを押すことができるのだ。これは別に名前に限らず、絵でも何でもいい。自分自身が書いたんだ! という証として分かりやすいものを作っておくと、作品への愛着も増すかもしれない。ちなみにサインおよびハンコの内容は、プレイが始まったあとでも「その他」から変更できるのでご安心いただきたい。

 サイン作成、ハンコ作成を経てデータ登録が終わったら、いよいよ本編だ。本作には大きく分けて「書く」「閲覧」「その他」という3つのモードが存在する。

 「書く」の中には「書写 相田みつを」「自由に書く」「こころの書写」「筆試し」の4つのモードがある。メインとなるのは「書写 相田みつを」と「自由に書く」だ。「書写 相田みつを」では文字通り相田氏の作品を書き写すことができる。最初は書写できる作品数が少ないのだが、プレイすることで得られる“みつを印”を集めるなどの一定条件を満たすことで、作品の数が増えていく。

画像 特にこだわりがないなら、最初は基本セットでプレイするのがオススメ

 作品を選んだら、筆の種類とBGMの選択画面に移る。ペンセットは書き易さ重視、基本セットはバランス重視、達筆セットはおもむき重視となっている。実際にプレイしてみると、確かにペンセットはすっすっと筆運びも軽く、かなり書きやすい印象。一方、達筆セットで同じようにすっすっと筆を動かしてもちゃんと墨が出てくれない。じっくりと筆を置き、ぐいっと力を込めて書くことで、活き活きとした書画ができるのが達筆セットだ。BGMも含めて、そのときの気分や好みで選んでみるといいだろう。

 筆とBGMを選んだら、ようやく本編とも言える“書画”が始まる。タッチペンを毛筆に見立てて、相田みつを氏の作品を思うさま書写するのみだ。とは言っても、基本的に画面に対して200%の大きさで作品が表示されているので、全てを書き切ろうと思ったら、表示されているエリアを上下左右に動かさなくてはならない。これは十字ボタンおよびA、B、X、Yボタンで可能だ。

 この操作に関して注意しなくてはならないのが「移動させるつもりがないのに移動させてしまった」という事態。右利きの筆者は、力を込めてぐぐっと筆を入れているところでX、Bボタンあたりに触れてしまい、ずるるっと書くつもりのない方向に筆が行ってしまったことが何度かあった。要は慣れだと思うが、せっかく途中までいい感じで書けていても、毛筆による書画の世界に消しゴムはないので、ミスをした場合は最初からやり直しになる。ミスもまた味だとは言えるが、きっちり書写したいときは気をつけてほしい点だ。

 なお、Lボタン(もしくはRボタン)を押し、メニューが表示されている状態で下画面を2回連続タッチすると「100%表示・200%表示」と任意に変更することが可能なので、使いやすい方で利用するのもいいかもしれない。

画像画像画像 このように朱色で書かれたお手本に沿って書写することになる。お手本がいらない場合は、筆とBGMを選択する画面でお手本テンプレートのオフを選択すればOKだ

 なお、書写中はLボタン(もしくはRボタン)を押すことで画面の四隅にメニューが表示される。左上は筆の太さの選択、右上はグリッド(画面上に格子状のラインを表示させるかどうか)の選択、左下がやり直し、右下が完了の操作に対応している。

 書きたいように書き納得がいくものができたら、メニュー右下の完了を選ぼう。そうすると今度は「名入れ」の作業をすることになる。相田みつを氏の作品を見たことがある人ならお分かりいただけるかと思うが、氏の作品によく書かれている「みつを」のように、自分の署名を筆書きで入れられるのだ。名入れが終わったら「落款」。データ登録時に作成したハンコを画面上の任意の場所にペタンとおすことができるわけだ。ここでようやくひとつの作品が完成したことになる。完成した作品は容量が許す限り展示できるので、お気に入りの作品ができたら、どんどん「展示」を選んで保存してみよう。

画像画像画像 名入れ、落款が済んだら、プレイ時間などが表示される。ここで表示されている「み」のハンコが“みつを印”だ。プレイを進めて“みつを印”を集めるという要素が、本作において最もゲームらしい要素である

 「自由に書く」では、まさに自由に文字を書くことができる。攻略や正解などは存在しないのだ。適当な筆使いで適当なフレーズを書いても、場合によっては何だかとても味わいのあるものに見えたりするから不思議だ。悦に入って書家気分を味わえることに価値を見出せるなら、本作は永く遊べる一品になるだろう。

画像画像 「自由に書く」時は上画面が青空になっている。自分だけのキャンバスに思いのたけをぶちまけてしまおう
画像 「こころの書写」は後述する「こころのギャラリー」に展示されている作品で書写が楽しめるモード。そして「筆試し」は、さまざまな文字をなぞって筆使いの練習ができるモードだ。「筆試し」を繰り返しプレイすれば、普段書く文字もきれいになるかも?
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