いったいなにが起きたのか? 「イース」のミッシングリンクに迫る「イース・オリジン」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年01月15日 15時39分 公開
[篠崎薫,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ボス戦以外では、それほど苦労しない秀逸な難易度設定に感心

 最初に選択できる難易度は3種類あり、ノーマルランクならボス戦以外では苦労しないように作られていると感じられた。元々のコンセプトが、簡単・かつ歯ごたえのあるRPGというところを目指していたのだから、至極当然と言えよう。途中で出会うザコ敵に関しては、一度戦ってコツを飲み込んでしまえば、そう簡単にはダメージを受けなくなる。また、攻撃→攻撃→攻撃→スキルというコンボを覚えると、戦いも格段に楽になるのだ。もちろん、中盤を過ぎたあたりから一筋縄では倒せないザコも登場する。とはいえ、対応策を頭にたたき込むか、ある程度のレベルを上げることで、難なく倒せるようになるので心配はいらない。

選べる難易度は3種類。いきなりハードを選ぶのもいいが、まずはノーマルで様子を見ることを薦める
風の魔法を装備してこのコンボを決めれば、ほとんどのザコ敵をダメージを受けずに倒せる
この敵は、通常攻撃が一切効かない。もちろん倒す方法はあるものの、こんな感じで一工夫しなければならない相手もいるのだ

 やはり、誰もが難しく感じるのはボス戦だろう。何度か戦いを挑み、相手の攻撃パターンを把握しないことには、がむしゃらに戦っても勝てないどころか、ダメージすら与えられない。逆に、それさえ分かってしまえば後はテクニックの問題となるのだが、そこにたどり着くまでが大変なことも多い。ただし、努力と根性で何とかなる場合がほとんどなので、あきらめずに挑戦するのが大事だ。また、宝箱の中に入っている防具を取っていなかったり、装備を強化し忘れていると、思わぬ苦戦を強いられることがあるので注意したい。

 装備の強化は、武器と防具の双方で行える。特に防具は、敵を倒したときに出現するクリスタルを回収してSPを溜め、女神像のところで加護を選び表示された一覧から項目を選択することで、その能力がパワーアップする仕組みだ。女神像では、それ以外にもクリスタルやアイテムの出現頻度を上げたり、歩くスピードをアップさせるなども可能。SPが溜まったと思ったら、確実にパワーアップさせておきたい。なお、武器はどこかにあるクレリア鉱石をゲットし、それを特定の人物に渡すことでレベルが上がるようになっている。これまでのシリーズのように、宝箱の中に強力な武器が隠されていて、それを取って装備し直すという方式ではないのは、ちょっと残念。せっかくなのだから、フレームソードなどの懐かしい武器を登場させて欲しかったところだが……。

このボスの場合、正面から戦いを挑んでもダメージを与えられない。頭をひねって考える必要があるのだ
ボス戦前には、忘れずに強化しておきたい。受けるダメージが格段に変わってくることもある
最初にパワーアップさせたいのは、SPのポイント倍増。これを取ってしまえば、後々が楽になる

至る所に懐かしさを醸し出す仕掛けがあるので、オリジナル作品をプレイしたユーザーには感涙もの

 ここまでに紹介したアクションを駆使して、主人公はダームの塔を上っていく。最新作ということもあり、塔の中は1作目とは比べものにならないほど豪華なトラップが仕掛けられている。とはいえ、マップ自体が同じというわけではないものの、主立った施設はそのまま。例えば、4階に仕掛けられているワープさせられてしまうトラップは、「YsI」でも活躍した、とあるアイテムを装備していないと突破できないようになっているし、マスク・オブ・アイズを使わないと先へ進めない場面も存在する。もちろん、マスク・オブ・アイズを装備すれば画面は白黒になり、敵が見えなくなる代わりに見えなかったものが見えるようになる効果が発揮される仕組みだ。装備画面を見ればヒントらしきメッセージが出るが、オリジナル版と効果が同じなので、当時を知っている人ならばヒント不要で先に進めるのもありがたい。

 上の階へ進めば、ラドの塔もそのまま存在しているだけでなく、ここで流れるBGMがYsIのボツ曲扱いだった、あの「DREAMING」のアレンジだったりするのだ。この感激は正直、当時を知る人じゃないと味わえないかもしれないが、それだけに昔からのプレーヤーにはうれしいサービスといえる。もちろん、ダームの塔の途中には、YsIの時にハンマーで壊すことになる塔の柱もあるし、悪魔の回廊も健在。1作目を知らなくても遊べるが、知っている方が当時を思い出しながら楽しめるため、その興奮度は格段に違うといえるだろう。

「YsI」では、とあるアイテムを装備していないと、部屋に入った瞬間に地下牢に飛ばされたが、先へ進めないのは今作でも同じ
まさか、こんなところで「DREAMING」を聞けるとは思わなかっただけに、本当に感動した。ラドの塔も、この頃から重力に逆らった形でダームの塔に繋がっていたようだ
当たり前ながら、悪魔の回廊に足を踏み入れればHPが減っていく。ちなみに、「YsI」では回廊の途中に老人ラーバがいたが、今回はルーが待っている

ユニカでプレイすると、最初にヴァジュリオンに出会う。攻撃方法は相変わらずなので、うまく逃げ回り合体後にダメージを与えよう

 なお、途中には「YsI」で登場した、懐かしのボスも現れる。どの敵が出るのかは見てのお楽しみだが、当時とあまり変わらない攻撃方法で襲ってくるので、戦いそっちのけで見入ってしまったほど。ザコ敵ではなく、印象に残っているボス敵を再び登場させるというのも、心憎い演出だ。当然ながら、攻撃パターンもそれほど変わっていないので、新しく登場するボスよりも戦いやすかった。クリア回数が3桁に届こうというほど当時やり込んだゲームなので、当たり前と言えば当たり前かもしれないが。

グラフィックスカードを最新のものに取り替え、最高の環境で最高の感動を

 このように、いたるところに旧作の面影を残しつつも、まったく新しい作りになった本作。新規ユーザーには今風のおもしろさを提供し、古くからのプレーヤーは懐かしさを感じながら遊べるという、なかなか両立させづらい2つを巧みにまとめ上げたことに関しては、頭が下がる思いだ。一度クリアしても、別キャラでの挑戦やボス戦タイムアタックなど、何度も遊べる仕掛けがきちんと作られているのにも感心した。

 なお、本作も今時の他のソフト同様、それなりのPC環境を要求してくる。そのため、非力なグラフィックスカードを搭載したPCでは、どうしても見た目が厳しくなってしまう。実際に、グラフィックスカードの能力が大幅に異なる2機種で動かしてみたのだが、片方は最高スペックでスイスイ動くのに、もう一方は最低スペックにしてやっとプレイできるといった程度。そう考えると、ここ3年以内に発売されているPCで遊びたいところだが、それよりも古い機種の場合は買い換えか、グラフィックスカードの交換を考えた方がいいだろう。1月30日には新OS「Windows Vista」も発売されるのだから、本作をきっかけにPCのパワーアップを一考する価値はあるだろう。それに、実際にプレイしてみて思ったが、せっかくの名作を低スペックPCで遊んでしまっては、感動も半減。

 イースの地に700年前に起きた出来事を、美しいグラフィックで、あなた自身の目で確かめてほしい。

左がGeForce6600GTで最高スペックを選んだときの写真、右がGeForce4 440MXで最低スペックにしたときの写真だ。解像度の違いもあるが、壁のテクスチャなどを見比べてみると、その差がよく分かるはず。これだけ変わるのだから、良いグラフィックスカードを購入してプレイしたい
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news138.jpg イオンモールで販売「シフォンケーキ」にカビ発生、5000個回収へ “下痢”の報告で調査中……出店企業が謝罪
  2. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  3. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  4. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  5. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  6. /nl/articles/2405/01/news093.jpg 500円玉が1つ入る「桔梗のお花ケース」が100万件表示超え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「お小遣いあげるときに便利」「美しい〜!」
  7. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  8. /nl/articles/2404/30/news165.jpg 「これは変態だ」 職人が“鉄の塊”から作った「はぐれメタル」がガチすぎる 狂気の手作業に驚き「いかれてるw」
  9. /nl/articles/2405/01/news104.jpg 「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
  10. /nl/articles/2405/02/news013.jpg 2歳娘、自分のバースデーフォトをセルフタイマーで…… プロ顔負けの仕上がりに「すごーーーーーーー!!」「天才すぎます」と称賛の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評