中原の覇権は、カードとタッチペンが握る「三国志大戦DS」レビュー(1/2 ページ)

2005年3月にアーケードゲームとして登場し、今もなお絶大な人気を誇るリアルタイムトレーディングカード対戦ゲーム「三国志大戦」。そのニンテンドーDS版が1月25日に発売された。実際のカードを使ってプレイするという新機軸の遊び方が魅力だったアーケード版――果たしてその魅力は受け継がれているのだろうか。

» 2007年02月07日 00時00分 公開
[磯野正学,ITmedia]

筐体の上が戦場と化した、アーケード版「三国志大戦」

 アーケード版「三国志大戦」は、リアルタイムのカードゲーム対戦でネットワークを使用した対戦も実現している。「武将カード」と呼ばれるトレーディングカードで自分だけの軍勢を編成し、実際のゲームプレイ中ではこれらのカードを動かすことによって部隊を操作する。相手軍の城へと攻め込み、先に落城させたチームが勝利となるシステムだ。

 カードを使用するゲームは過去にもゲームセンターで多々あったが、それらの多くはカードは単なるデータ的な扱いで、ボタンやタッチパネルでの操作が主流だった。だが、アーケード版「三国志大戦」では、武将カードを動かしてゲーム中の部隊を動かすという、独特の操作方法を採用している。同社のサッカーゲーム「World Club Champion Football」からの流れをくんだこの新感覚操作が、爆発的な大ヒットの要因のひとつと言えるだろう。

 筆者が移植にあたって気になったのが、ニンテンドーDSに移植したことで、そのプレイ感覚が再現されているのか、ということだ。あのカード操作の感覚を味わえなければ、魅力が半減してしまうのではなかろうか。疑心暗鬼になりながら、さっそくプレイを始めてみた。

基本を学んでから始めるべし

本作は、ニンテンドーDS本体を左に90度傾け、タッチスクリーンで操作する。本稿で掲載している写真も、すべて逆時計回りに90度回転させている

 本作のモードは、各国ごとのストーリーが設けられている「三国英傑伝」、コンピュータ相手に連戦を行う「鍛錬ノ章」、ほかのプレーヤーと対戦する「通信ノ章」、現在の所持カードなどの確認やデッキ(戦闘に出陣させる武将カードの集まりのこと)の編集を行う「軍議」、操作や戦略のポイントなどを学べる「チュートリアル」の5つだ。

 三国志好きの筆者としては、その壮大な物語が楽しめる「三国英傑伝」モードに惹かれる。魏伝、蜀伝、呉伝と、それぞれの勢力ごとのシナリオを楽しめるようになっている。。


1度クリアしたシナリオは、いつでも選べるようになる

 筆者は、武将が美男美女で描かれることが多い呉をひいきにしているので、迷わず呉伝から始めた。本モードは、ストーリーが1話ごとに区切られているスタイルで、各話ごとに指定された勝利条件を満たして戦闘を終えれば物語が進んでいく。

 ゲームを開始すると、まず4枚の武将カードが手に入る。これはアーケード版のスターターパックにあたるもので、まずはこれらの武将のみで戦いをこなしていくこととなる。なお、相手と戦闘を行うと、勝敗に関係なく新たな武将カードが1枚ずつもらえる仕組みだ。戦闘を繰り返して手持ちの武将カードを増やし、自分の手札を増やして戦略の幅を広げていくことが、本作の醍醐味であろう。

 さて、戦闘に参加させる武将の組み合わせのことを「デッキ」と呼ぶが、デッキの顔ぶれはいくつかの制限を除いて基本的に自由に決められる。たとえば、女性武将をずらりと並べたハーレムデッキや、黄忠や張紘などの立派なヒゲをたくわえたおじいちゃんを並べて白ヒゲ武将団を結成するなんてこともできる。デッキを考えるのも、この「三国志大戦」の魅力といえる。

 デッキを組む際の制限で、一番重要なのが武将コストだ。武将ごとにコストが設定されており、1回の戦闘で出撃させられる武将コストの合計は8.0以内と決められている。枚数に関する制限はないが、最低コストは1なので、事実上の上限枚数は8枚となる。また本作には、同じ武将に能力が異なる数パターンのカードが存在していることも多々あるが、同名武将のカードは1回の合戦で同時に出すことはできない。

 「三国志英傑伝」で特徴的なのは、戦闘ごとに何人かの武将が強制的に選ばれているといったシチュエーションがあることだ。この場合、強制的に選ばれた武将もコストの枠組みに入っているので、プレーヤーが残りのコストの中でデッキを組むようになる。また、デッキが完全に固定されている戦いもある。このように制限されたデッキで勝ち進まなければいけないという、プレーヤーの手腕が試されるモードといえるだろう。

 出陣させる武将を決めたら、いよいよ戦闘開始だ。本作の戦闘は、長方形の“戦場”で行われる。戦場は自陣と敵陣に分かれており、ここに配置した武将カードがそのまま部隊となるのだ。ゲーム中は、カードを動かして部隊の位置を操作する仕組みだ。

撤退した部隊は、自城に戻して一定時間経過させると、武将カードのドクロマークが消え、兵力が回復して再出陣できるようになる

 まず行うのは、武将カードを自陣に配置する作業だ。相手の布陣は見えないため、ある程度相手の陣形を予想して配置する必要がある。「最初の戦闘だし、たいして苦戦しないだろう」と、筆者は適当に中央に配置し、戦闘開始。特に部隊を動かさずに、ボケーッとしていたら、あれよあれよと言う間に、味方武将の兵力が尽きて、撤退させられてしまうではないか。ちなみに全滅しても、城を落とされない限りは負けとはならない。

 のほほんとしていた気分はすぐに吹き飛び、真剣に取り掛かる筆者。「いきなりこんなに難しいの!?」と驚きながらも本気でプレイし、ギリギリの差でなんとか勝利できた。

 そもそも、なぜ最初の戦いからあんなに苦戦したのだろうか。原因がサッパリわからなく、対策の立てようもない。このまま遊び続けても、きっと同じことを繰り返してしまうだろう。その原因を探るため、チュートリアルを見てみた。「最初にチュートリアルを見ておけよ!」ってツッコミは無用だ。

勝ち負けにかかわらず、戦闘終了後には武将カードが手に入る。また、運がよければ兵法のレベルを上げる宝玉や、兵法の種類を増やす兵法書、武将の能力を上げる戦器が手に入ることもある

 というわけでチュートリアルを一通り見たところ、負けた原因が判明した。本作では、武将カードに騎兵、弓兵、槍兵、歩兵、攻城兵、象兵といった“兵種”が設定されている。この兵種、例えば“騎兵は弓兵に強く槍兵に弱い”といった感じで、得意不得意な相手が設定されているのだ。この強弱関係を知らなかった筆者は、適当に戦闘をおっぱじめ、苦手な相手にどんどん戦いを挑んでいたようだ。そりゃボロ負けもしますわ。

 つまり本作は、戦闘を開始する前に相手デッキの構成を見て、事前に対策を考えて自分のデッキを構築することが重要だったのだ。やっぱりチュートリアルは最初に見ておくべきですね、反省。

戦闘中は駆け引きの応酬が続き、息をつく暇なし!

特技の「勇猛」を持っている武将は、黄色の部分が太いバーが出現することがある。つまり無双が出やすくなるため、有利に戦えるのだ。各武将の特技は、デッキ編成画面で確認できる

 戦闘中に相手部隊と接触したとき、まれに一騎討ちが発生することがある。一騎討ちは、武将同士が5回斬り合い、勝敗を決する特殊戦闘システムだ。一騎討ちに突入すると、画面上のゲージの上を、右から左に青や黄色のバーが流れてくる。左にあるラインとバーが重なった瞬間にタッチスクリーンをタッチすることを繰り返す。タッチしたタイミングによって成績が「無双」、「激」、「強」、「弱」、「失敗」と変わり、より成績のよいほうが勝つ仕組みだ。勝者となった武将はそのまま戦場に残るが、負けた武将は撤退状態になってしまう、一発逆転を狙えるシステムといえるだろう。

 戦闘の流れを一変させる力を持っているのが、計略と兵法というシステム。まずは、計略に着目していこう。計略を使用するには、ゲーム開始とともに徐々に蓄えられていく「士気」が必要となる。必要な士気の量は、計略ごとによって異なるため、強力な計略を出すにはある程度バトルをすすめないと使用できないのだ。

 計略の効果も、相手にダメージを与えるものや、味方の能力を上げるもの、相手の妨害するものなどさまざまだ。ただし、手軽に使えるかというと、そうでもない。戦闘中は、主に相手と味方の位置、残りの兵力などに気を配らなければならず、初心者の筆者には、士気を確認する余裕がなかったからだ。計略で味方の兵力を回復して戦えば、ギリギリ相手に討ち勝てるだろうと思ったら、士気が足りずに仲間を見殺しにしてしまったということもあった。ごめんよ、大喬……。

計略は、知力によって効果が左右される。武力が低くて役に立ちそうもない武将でも、計略を有効活用すれば活躍できるのだ

 一方の兵法は、戦闘中にいつでも使用することができる、いわば切り札のような特殊能力だ。撤退した味方が復活する時間を短縮させたり、味方全員の武力を数秒間上げたりと、効果はかなり高いが、戦闘中は1回しか使用できない。始めは1種類の兵法しかないが、戦闘終了後に兵法書を獲得すれば、新しい兵法が使えるようになる。また、兵法書と同様に戦闘終了後、たまに宝玉を見つけることがある。この宝玉を集めて兵法のレベルを上げるという、成長的な要素もある。

 相手と同じデッキを使い、戦力が同程度だったとしても、兵法の使いどころで勝ち負けが決まることもある。そのため、数多く戦闘を行い、兵法の使いどころを見極める必要がある。ばっちりと決まった兵法は勝敗に大きく関わるばかりではなく、精神的に受けるダメージも大きい。力の差(というよりは、やり込み具合?)を見せつけられる瞬間である。

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