今度の「聖剣伝説」は軍を育てる――まるで別物のように変化した「聖剣」の魅力とは「聖剣伝説 HEROES of MANA」レビュー(1/2 ページ)

初代ゲームボーイから続く人気RPG「聖剣伝説」シリーズ。その最新作は、ジャンルがRTSへ変化し、一見して別のゲームになった。いったいどんなゲームに仕上がったのか、その魅力に迫ってみました。プレゼントもあります。

» 2007年04月11日 00時26分 公開
[板橋舟人,ITmedia]

変わるのは良いことだけど、変わりすぎ!?

過去作とは異なり、本作はシミュレーションゲームに分類される。斜め見下ろし型視点で、マップを回転させることが可能だ

 「ファイナルファンタジー」シリーズの外伝的なアクションゲームとして鳴り物入りで登場し、以後アクションRPGの定番としてシリーズを重ねてきた「聖剣伝説」シリーズ。順調に続編が開発され、正常進化であるといえる本編の「聖剣伝説」シリーズのほか、「聖剣伝説DS CHILDREN of MANA」のように、一風変わったシステムを盛り込んだ外伝的な作品も多数生み出された。このたび登場した「聖剣伝説 HEROES of MANA」は、そんな外伝にあたる作品の最新作だ。

 さて、「聖剣伝説」といえばアクションRPGなのだが、本作のジャンルは「ストラテジーRPG」となっている。PCゲームファンにはRTSとしてお馴染みのジャンルだが、家庭用ゲーム機のファンには、いまいちピンとこないであろう。そこで、まずはこのジャンルについて解説したい。


マップ上にある資源を集め、それを元に自軍を強化していく。資源は持ち越せないため、ミッションごとに採取する必要がある

 そもそもRTSとは、“リアルタイムストラテジー”の略である(本作の公式サイトでは、リアルタイムシミュレーションと解説されている)。複数の戦闘ユニットを同時に操作して、相手チームのユニットや基地を撃破するのが、一般的なルールだ。ターン制のシミュレーションゲームとの明確な区別は、そのジャンル名の通り“敵味方すべてのユニットがリアルタイムに行動する”ということ。プレイ中に一時停止ができないゲームも多いため、素早い状況判断から的確な戦術を導きだし、手早い操作でできるだけ理想通りにユニットを動かすことが大切となる。じっくり考えられるターン制戦略ゲームとは異なり、戦略に加えてアクションゲーム的な楽しさを味わえるのが大きな魅力だろう。

 またRTSでは、戦闘に加えて“内政”システムを盛り込んでいる作品が多い。マップ上にある様々な資源を内政ユニットで集め、その資源を元に軍備ユニットを作成し、自国の軍を徐々に強化していく……という仕組みだ。ゲームはリアルタイムで進行するため、いかに早く軍備を強化できるかが勝敗を分ける。

 本作でも、形は違うが内政的な要素が取り入れられている。いわば、RTSの王道にのっとったシステムといえるわけだ。

舞台は「聖剣伝説3」の19年前

ゲーム開始時やミッションの合間でイベントシーンが挿入される。シナリオの凝り方は「聖剣伝説」ならでは

 他のシリーズ作品とゲームシステムは大幅に異なるが、世界観はある程度共通しており、そこかしこで「聖剣伝説」らしさを感じることができる。そこで、実際のプレイを解説する前に、本作の大まかなストーリーを紹介しよう。


登場人物やユニット、キーワードなど、一度登場したものは“メモ”で確認できる。より深く世界観を知りたい場合に役立つ機能だ

 本作で語られるのは、「聖剣伝説3」で“滅んだ都”として登場した“いにしえの都ペダン”の興亡だ。主人は、この国に所属する若き兵士“ロジェ”。あるとき、ロジェの所属する部隊は獣人王国ビーストキングダムの偵察任務を行っていた。だが、この任務自体が、主人公たちを亡き者にしようとする、国王の策略だったことが判明する。時をともにしてビーストキングダムに侵攻したペダンの本軍は、そのまま同時にロジェを含むの部隊全員を消そうと画策する。ペダン王国という共通の敵ができたことで、今までいがみ合っていたビーストキングダムと、手を取り合うロジェたち。母国であるペダン王国に立ち向かうべく、各国の識者らと手を組み壮大な戦いに身を投じる……というストーリーだ。

 「聖剣伝説3」のアナザーストーリーとも言える本作だが、内容は本作のみで完結しているため、「聖剣伝説3」をプレイしていなくとも楽しめる。世界観は非常に作り込まれているが、登場人物や作中のアイテムなどはゲーム中の“メモ”で確認できるため、物語が理解できない、という心配も無用だ。もっとも、本編とゆかりのあるキャラクターが登場するので、「聖剣伝説3」をプレイ済みであれば、より楽しめることは間違いないだろう。

戦闘を中心として構築されたゲームシステム

味方の主要人物は“カリスマユニット”という形で登場する。ストーリーによって徐々に仲間が増えていくのだ

 では、実際にゲームシステムの解説を行っていこう。本作は、ロジェをはじめ複数の主役ユニット(カリスマユニット)が登場する。物語の序盤は5名だが、ゲームを進めるにしたがい、どんどん仲間が増えていく。

 ゲームは、多数用意されたミッションを順次クリアーして進めていく、ステージクリアータイプだ。勝利条件は各ミッションごとに異なるが、敵を全滅させるか、ボス級の敵を倒すという単純な内容がほとんどだ。


高原や城内、市街地など、マップのバリエーションは多い。どのように攻め込むかが腕の見せ所である

 ミッションのバトルは、大きなマップを戦場とみなして行われる。大きな草原や城壁がそびえる建物など、さまざまなマップが用意されており、そのバリエーション多い。当然、マップの形状は戦略に大きく影響してくるので、重要な要素である。

 各ミッションは、出場させるカリスマユニットを選択することからスタートする。選べるのは3人前後のことが多く、残りのユニットはお留守番扱いとなる。カリスマユニットのみでは少々戦力が心許ないため、他の戦闘ユニットを作成して戦力を強化することが望ましい。

 戦闘がスタートすると、カリスマユニットのほかに、母艦である空母“ナイトソウルズ”が配置される。ナイトソウルズは基地としての役目を果たす、非常に重要なユニットだ。

 ナイトソウルズは、その内部にさまざまな施設を作成できることが特徴だ。この施設を利用して、自軍の戦力を強化するのが、本作の王道パターンだ。では、順を追って説明していこう。

資源を集めて自軍を強化するのだ!

 戦闘ユニットを作成(ゲーム中では“召喚”という扱い)するには、その施設を作成するための資源“ガイアの石”と、ユニット生産用の資源である“トレントの実”が必要となる。まずはこれらを集める必要があるが、最初はどこに配置されているのか表示されないため、カリスマユニットで偵察して捜す必要がある(最初から全面が偵察済み扱いになっているマップもある)。

 これらの資源は、マップ上に配置されているものを採取することで入手できる。採取できるのは“収穫MOB(モブ)”とよばれる専用のユニットのみだ。そのため、まずは収穫MOBを召喚できる“収穫MOBハウス”という施設を作成する。完成したら、そのハウスで数体の収穫MOBを召喚するのだ。ちなみに召還MOBとして登場するのは、シリーズでおなじみのラビ。あの愛くるしい姿は本作でも健在だ。ストーリーを進めると、他の収穫MOBも召喚できるようになる。

 ラビを作成したら、さっそく資源を採取する。本作では、キャラクターの操作はすべてタッチペンで行う。動かしたいキャラクターをタッチして選択し、目的地をタッチすれば、そこへ自動的に移動する仕組みだ。複数のユニットに、同時に命令を下すこともできる。命令を下すと、ラビたちがピョコピョコ跳ねながら、一生懸命資源を集めてくれる。

 資源が集まったら、本格的な軍隊の編成に乗り出す。本作の戦闘ユニットは、地上、重装、弓、飛翔という4種類に大別される。それぞれを、専用の施設で作成できる仕組みだ。ただし、ゲーム序盤は地上MOBハウスしか作成できず、召還できるMOBの種類も少ない。ゲームを進めると、重装MOBハウス、弓MOBハウスなどが作成できるようになったり、より強力な地上MOBを召還できるようになる。

 戦闘MOBを数体作成して軍備が整ったら、いよいよ敵軍に攻め込むチャンス。このとき、カリスマユニットも攻撃に参加させることが可能だ。カリスマユニットは、一般MOBとは比較にならないくらい強力で、さらに周囲のMOBの能力を強化する特殊能力も持ち合わせている。ただし、主人公や一部のカリスマユニットは、倒されると即ゲームオーバーとなってしまうため、いくら強力だからといって無謀な突撃は行わない方がよい。

 20体以上のユニットを一度に動かし、敵陣へ攻め込むその様は、かなり圧巻。迫力があり、なにより“自分で大軍を指揮している”ことを実感できるため、名軍師になった気分になれることうけあいだ。RPGでは味わえない、大軍同士の戦いによるワクワク感が楽しめるのは、本作ならではだろう。

母艦ナイトソウルズ内には、計8つのハウスを建設可能だ。作ったハウスにて、対応するMOBを召喚できる
カリスマユニットは能力が高く、また周囲のMOBを強化する特殊能力を持つ。倒されないよう、慎重に行動したい
一度にこれだけ大量のユニットを操作可能。戦力が強化されるメリットもあるが、大軍を率いている感覚自体がかなり楽しい!

 本作の戦闘は、基本的にはここまでの流れの繰り返しで進行する。戦略ゲームに慣れていない人には複雑に思えるかもしれないが、ゲーム序盤は「○○を行いましょう」と随時適切な行動が指示され、さらに敵軍の戦力も少ないため、システムを学びながらゲームを進められる。戦略ゲーム初心者でも、負けることはまずないだろう。序盤では、戦略性があまり感じられないと思うが、作成できるユニットが一通りそろった中盤から、考えながらプレイする必要がでてくる。いわば、本作の醍醐味である戦略を楽しめるようになるのだ。

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