原点回帰となったアトリエシリーズ最新作は、世の言うところのいわゆるツンデレ系か?「リーズのアトリエ 〜オルドールの錬金術士〜」レビュー:(4/5 ページ)

» 2007年06月07日 19時23分 公開
[篠崎薫&柚木あず,ITmedia]

戦闘やミニゲームのバランスは、初期作品譲り

 戦闘モードは、初期3作品と似た感じの斜め上視点となっているが、大きく変わっているのはフィールドの広さと、各キャラの攻撃範囲。1作目などでは、どんな位置にいても相手を攻撃できたが、今作では自キャラの前方または1マス先の敵しか攻撃できない。簡略化して言うならば、攻撃範囲が前方2マスの武器を持ったキャラが大勢いる、シミュレーションRPGのようなものになった。移動は、前後には1マスだけだが、左右へはいくらでも動ける。

 主人公が序盤で弱いのはシリーズ伝統で、最弱ぷにぷに以外の敵には簡単に負ける。もちろん、これまでプレイしたことがある人ならば、この辺は分かっていることだからいいのかもしれないが、初心者には少し厳しいのではと感じた。周りでプレイしていた友人も、最初は敵に負けてばかりで先に進めず苦労していたので、プラットフォーム変更とともに難易度調整をしても良かったかもしれない。本当は、最初からそれなりの装備をさせておくのが、一番良い解決方法だとは思うが。

 最初の所持金で装備品を買えば問題ないが、戦いがメインではないことを考えると、ほとんどの人が軽装で採取に来るはず。そこまhで読んでの初期装備にしてほしかった。なお、自分が何を装備しているかは、ステータス画面では確認できないので注意。

 なお、戦闘シーンではキャラが重なって見づらい、メッセージウィンドウや敵が毎回フェードイン表示されるためモッサリ感がある、Bボタンを押すと問答無用で逃げるを選択したことになる、などの不満もあった。せめて、フィールドの回転くらいはできるようにして欲しかったと思うのは筆者のぜいたくな要望だろうか。

前方だけではなく、1歩前の敵まで攻撃できる。もっとも、条件は敵味方同じなので、相手が近づいてくるのを待って攻撃するのが得
武器屋で武器を購入しようとすれば、何を身につけているかが分かる
上画面の処理が、とにかく遅い。敵にダメージを与えて倒しても、のんびりとフェードアウトする。数値を少し変更するだけでフェードアウトのスピードは変えられるはずなのだが……

篠崎薫

採集地にはドキドキがいっぱい

 アイテム調合以外のもうひとつの要素といえば採集と戦闘。錬金術に必要な材料は雑貨店でも売っているが、「プロイス湖」や「グリューネ山」などの採集地に行けば、タダでアイテムが手に入る。「お金がもったいないもん!」というリーズにはピッタリだ。

 採集は、決まった日数をかけて採集地へ行き、画面端の矢印をタッチするか、十字ボタンを押して画面をスクロールさせることで材料をゲットする。この採集でも、調合と同じように、カゴを動かして滝の上から落ちてくるアイテムを拾ったり、ツルハシで光っているところを掘ったりする、タッチペンを使ったミニゲームが起こる。

 ただし、町の外に出てのアイテム採集には、戦闘の危険もつきもの。突然、強敵が出現し、一撃でやられてしまうというパターンも多い。序盤は装備をきちんと整えて、強いキャラクターを仲間に加えて出かけよう。

 戦闘のスタイルは少し変わっていて、5×5のマス目フィールドを使った、ターン制のタクティカルコンバット風のシステムを採用している。といっても、それほど緻密な作戦は要求されない。もう少しルールが凝っていてもよかったが、あまり深く考えずに戦えるのは長所でもある。

 ちなみに戦闘後のメッセージはBボタンを押せば飛ばせる。レベルアップ時のメッセージが長くてイライラするという人は活用してみては?

柚木あず

 やはり戦闘について触れないわけにはいかず、期せずして同じタイミングでの紹介となる。やはり篠崎氏は前作との比較から、多少やりづらいと厳しい意見を躊躇なく並べている。こうした率直な意見があるからこそ、読者も信頼するというものか。あまり後ろ向きすぎないようにするのは、ライターの気質によるところが大きいと思う。ここで注目したいのが篠崎氏は自分だけでなく、他にもサンプルとして遊んでもらっていることをなにげに明かしている点だろう。

 やはりどうしても1人で遊んでいると、物事を限定して偏った“固執レビュー”になってしまいがちだ。そこでレビュアーは、時に第三者が遊んでいるのを観察し、意見を求めることがある。特に問題点について触れる際には、ほかの人間がどう思うのか気になるのだろう。ここで自分と違った意見が出た場合、再度見方を変え、多様な意見があることに気がつくだろうし、同じ意見ならば「我が意を得たり」とばかりに、自信を深めることになる。

 ちなみに柚木氏は戦闘本来についてはあまり深く触れずに、あくまでもフラットに機能紹介に努めている。篠崎氏とは異なり、自身の意見は極力抑え、事実のみを書き連ねている。これはこれから購入しようかと迷っている読者に対して、余計な偏見を植え付けない配慮とも取れるし、特にシステムについては言うに及ばずと思っているのかどちらかと推測するのだが……。

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