2度の挫折を経て「FFXI」にハマりつつある独身男性の物語(その9):ヴァナ・ディールをもう一度(1/2 ページ)
少し遅れた冒険者がお届けするヴァナ・ディール奮闘記。現在の私ガルカは2007年8月28日のバージョンアップで追加された「チョコボサーキット」に夢中です。しかし、まったく当たりません!! 一攫千金の夢は次第に遠のくばかり……。ギブミーギル!!
貧乏生活を打破する究極のコンテンツ登場!?
現実世界でも僕は今までギャンブルの類をほとんど体験したことがない。昔、友人との付き合いでパチンコや競馬を少しだけやったことはあるのだが、もちろん知識は浅いので「当たり」の興奮を味わったことがないのだ。とくにパチンコは、すでに店内の雰囲気からして苦手で、半永久的に聞こえてくるパチンコ玉のぶつかりあう音、何やら忙しげなBGM、そして派手にデコレーションされた電飾……。店内に入るだけで頭が痛くなってしまう。宝くじもこれまで30年間生きてきて、一度も購入したことがない。もうハナから当たるわけがないと決め付けているからだ。よく宝くじを買う人は、「これで夢を買ってるんだよ」と目を光らせて言う。そういう意味では、僕は夢がない人間なのだろう。とにかく僕は、ギャンブルにまったく興味がない。ギャンブルで大切な金をつぎ込むなんて究極の無駄使いだと今でも思っているし、おそらくこれから先もその考えは変わらないと思う。そんな賭け事の才能ゼロ+無関心の僕が、「FFXI」の「チョコボサーキット」にドップリとはまりつつある……。
「チョコボサーキット」とは、2007年8月28日に行われたバージョンアップで追加された新要素で、簡単に説明するとチョコボレースに出場する全8羽のチョコボのなかで1着と2着を当てると配当金がもらえるというもの。ギルが獲得できるという意味では「FFXI」で初のギャンブル要素と言っても過言ではない。チョコボレースと同様に自分が育てたチョコボを出走させることも可能だが、いかんせん僕のチョコボの能力は、ほとんどが「少しはありそう」でアビリティも覚えていないので、たとえ出走しても上位に食い込む確率は限りなくゼロに近いだろう。とりあえず自分のチョコボに夢を託すのは諦めて、ほかのプレーヤーが熱心に育て上げたチョコボに賭けてみることにした。
早速チョコボレースセンターの扉を開けて、サーキット内に入る。場内は意外と広く、詳しい話を教えてくれるNPCもたくさんいる。とりあえずカウンターにあった地図を入手し、それを頼りに場内を探索してみた。そして「勝鳥投票券」という、競馬では馬券にあたるアイテムを販売しているNPCを発見。勝鳥投票券は1口100ギルというリーズナブルな価格なので、無茶な買い方をしなければ貧乏な僕の財布もそれほど傷むことなく購入可能だ。
そのNPCからは、レースに出走するチョコボの能力やオッズ表を確認できるので、それらを照らし合わせて慎重に1着と2着のチョコボを選ぶことにした。オッズは一定時間が経過するごとに更新されていき、人気の高い組み合わせほどオッズが低くなっていく。人気が高い=それだけ優秀なチョコボであるということなので、堅実派なら手堅い組み合わせを狙うのだろうが、僕はいかんせんギャンブルの経験がないに等しいので、チョコボの能力はそっちのけでオッズ表ばかり見てしまう。「この組み合わせだと10口買ったとして1万ギル以上……、こっちだと10万ギルの儲け!? うぉおおおお!!」と、まだ勝鳥投票券を買ってもないのに頭の中で倍々ゲームが展開されていく。しかし、これがうまく的中し続けられれば、金策に費やす時間をレベル上げに使えるのだ。
金策のために延々と敵を倒し続けたり、魚を釣り上げたりする必要もない。欲しい装備品にも手が届く。何よりたとえ外れても、実生活に何ら影響はない。このとき、ギャンブルに刹那的な夢を抱く人の気持ちが少しだけわかったような気がした。「まもなくレースが開催されます」とのメッセージが流れたので、最低でも1000ギル以上の配当金が付いている勝鳥投票券を10口購入し、颯爽と観覧席へと移動した。まずは「目指せ1万ギル超え」だ。
自分の選んだチョコボを一点に見つめ、その結果は……
観客席に行くと自動的にチョコボレースがスタートした。一連の流れは以前のバージョンアップで追加された「チョコボレース」と同じだが、今回は大儲けできるか否かがかかっているので熱中度が全然違う。とにかく自分が選んだチョコボを応援し、それ以外のチョコボに関しては「事故に会え!!(実際そんなことはないのだが)」と邪気満載の思いでレース展開を見守る。
途中、プレーヤーがチョコボに持たせたアイテムをジョッキー(NPC)が使用して搭乗しているチョコボのスピードを上げたり、ほかのチョコボを邪魔したりして、レースは混戦常態に。そうこうしているうちに次々とチョコボがゴールインしてレースが終了。途中で自分が選んだチョコボがどれだかわからなくなったので、アナウンサーの解説をドキドキしながら待っていると、結果は惨敗。順当に人気が高いチョコボが1着と2着だった。夢は、そう容易く叶えられないから、人は夢を追うものだ。自分にそう言い聞かせて(次こそは絶対当てよう!)と、次回のレースに夢をはせた。
以降、その“次こそ”が何十回と続いたのだが悲しいかな一度も予想が的中することなく、無残に勝鳥投票券を捨てていくことになる……。ふと我に返ると10万ギルほどあった所持金がかなり減っていた。これでは欲しかった装備品はおろか、もう食事アイテムを購入することさえできない。正に食うに困る状況に陥ってしまった。また明日から延々と敵を倒し続ける、今までどおりの金策に走る日々が続くのかと思うと気が重くなったが、「それで貯めたギルで次こそは……!!」と夜空に輝く星たちに誓った。今回分かったことは、人はこうして恐ろしい魅力を秘めたギャンブルの泥沼にはまっていく、ということだ。
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