ジャンプとスピンで銀河を渡るWiiのマリオは、やみつきになる面白さ:「スーパーマリオギャラクシー」レビュー(3/3 ページ)
マリオと言えば、キノコやフラワーを取って大きくなったり炎を出したりとさまざまな能力を得るのは、毎度おなじみなところだ。今回のマリオも、キノコなどのアイテムによって七変化を見せてくれる。
例えば茶色と黄色のツートンカラーのキノコを取れば、ハチの着ぐるみを着たかのようなハチマリオに変身! シリーズ初登場のハチマリオはAボタンを押している間に上昇していく。無限に飛べるわけではなく、フライメーターが0になるまでの飛行が可能だ。また、ハチミツカベに張り付いて自由に動き回ることができる。この能力を活かして、通常のマリオでは行けない場所にずんずん進んでいけるのがハチマリオの魅力だ。
真っ白いキノコを取るとマリオはオバケマリオになってしまう。テレサ(真っ白い幽霊キャラ)そっくりの姿になったマリオは、Aボタンの連打で空中浮遊が可能。そして柵などの特定のポイントでWiiリモコンを振ると、透明になってすり抜けることができるのだ。
マリオはそのほかにもさまざまな姿に変身し、適材適所の能力でパワースターを手に入れていく。能力以外にも、たとえばエイに乗って水上レースをしたり、泡に入ってふわふわと移動したり、玉乗りで進んでみたりと、マリオのアクションは多彩すぎるほどにバラエティ豊かで、そのどれもがそれぞれ違った楽しさを見せてくれる。Wiiリモコンだからこそ実現した斬新なアクションもふんだんに盛り込まれており、感心させられることも多かった。Wiiでできるアクションゲームの模範になるであろう作品だと筆者は確信したほどだ。
後年に語り継がれる不朽の名作になるやも? 3Dマリオの最新作を遊べる幸せ
と、ここまでなるべく理性的に順序立てて本作についてお伝えしてきたつもりだが、ここで敢えて筆者の本作への思いをぶつけさせていただきたい。
メッチャクッチャ面白いんです!!!
はい。この一言に尽きます。
本作はとってもとっても面白いのである。それは理性や理屈が吹っ飛ぶ面白さだ。とにかく惑星の上をぐりぐりと歩いてみてほしい。ツルを見つけたらWiiリモコンを振ってグルグルと移動してみてほしい。Zボタンで水の中にもぐってコウラを持ってびゅんびゅん泳いでみてほしい。巨大なボスキャラと向き合って「こいつを倒すにはどうしたらいいんだ?」と手探りで攻略法を探しあててほしい。微妙なスティックさばきが必要な場面でドキドキしながら渡り切ってほしい。クッパを倒してピーチ姫を助けてあげてほしい。
とにかく、ゲームファンなら、特にアクションゲームファンなら是が非でもプレイしていただきたいと思ってしまうような秀逸な作品なのだ。往年のマリオファンなら音楽にもグッと来るだろう。シリーズ各作品の曲をそれにふさわしいギャラクシーで流すニクい演出が詰め込まれている。また、グラフィックの美しさも出色だ。プレイステーション 3やXbox 360などの次世代機に比べると描画能力の面で劣ると言われているWiiではあるが、本作のグラフィックは必要十分にしてしっかりときれいだ。ジャギー的なものが気になる時もあるが、特に水の表現はすばらしく美麗で、真にリアルではないがマリオの世界にはしっくりなじむ高画質が実現している。
ハードメーカーにしてソフトメーカーである任天堂の看板を長年しょってきたマリオさんだけに、戦いの年季の違いを見せつけられた感がある。Wiiを持っているならばこの冬にぜひプレイしてほしいタイトルだし、筆者の中で未だに「スーパーマリオ64」がみずみずしい名作であるように、本作も後年に語り継がれる不朽の名作となる可能性を持っていると思っている。きっと忘れた頃にまたやりたくなるんじゃあないだろうか。事実、筆者は本作をプレイしたあとで「スーパーマリオ64」をバーチャルコンソールでプレイしてみたりもしたのだ。余裕のある方はぜひぜひそちらも試していただきたいところだ。マリオのアクションは今も昔も良質で、Wiiでそんな“3Dマリオ”の最新作が登場したことを素直に喜びたい。
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