ラリーカー、轍にはまってさあ大変──周回ごとに道が表情を変える新たなラリーゲームが出た「SEGA RALLY REVO」レビュー(1/2 ページ)

かつてゲームセンターで一時代を築いたレースゲーム「セガラリーチャンピオンシップ」。シリーズ最新作は、次世代機ならではの映像と悪路をねじ伏せるドライビングの快感がたっぷり詰まっていました。

» 2008年02月26日 15時18分 公開
[板橋舟人,ITmedia]

ひと時代を築いた「セガラリー」とは

かつてはアーケードゲームであった「セガラリー」。今作は家庭用ゲーム機のみでリリースされる

 時は1995年、あるレースゲームがゲームセンターでデビューした。「セガラリーチャンピオンシップ」でもある。この時代はゲーム機の3D表現が大幅に進化し、数多の名作レースゲームが登場した年である。1993年の「リッジレーサー」、1994年の「デイトナUSA」など、前世代(といってもわずか数年前)の「バーチャレーシング」から大幅に進化したレースゲームは、ゲームセンターを賑わすのに貢献したのだ。

 さて、そんな中で「セガラリーチャンピオンシップ」はどのようなゲームであったのだろうか。当時としては珍しい「ラリー」を題材にし、セリカやランチアデルタといった実在のラリーカーが登場するなどリアルさも追求。それまでは架空のマシンでのレースばかりだったのが、トヨタとランチア(の親会社のフィアット)から正式に許諾を受け、マシンのみならずそこに貼られているスポンサーのステッカーまでをも忠実に再現していたのは当時としては画期的だった。また、舗装路や砂地、水たまりなどでタイヤと路面との摩擦係数を変化させる、という要素を取り入れることができたのもラリーという題材ならではである。

 「セガラリーチャンピオンシップ」はヒットし、シリーズ化された。そして時は流れ2008年、ついに登場したのが最新作「セガラリー REVO」なのである。

 さて筆者はというと、当時はかなりのゲームセンターッ子であり、当然「セガラリーチャンピオンシップ」も遊んでいた。……が、学生だったため資金が乏しく(バーチャ2とバーチャコップにお金を吸い取られたというのもある)、友人宅でセガサターン版を遊び込んだのは良い思い出である。そういえば、最近は徹夜で対戦とか全然しなくなったなあ。年なのかしら……。

次世代らしい作り込みが見られる新たな「セガラリー」

 筆者の思い出話はさておき、「SEGA RALLY REVO」である。本作はPS3、Xbox 360、PSP、PCの4機種向けにリリースされており、PS3/Xbox 360/PC版はハイエンドな映像を楽しめる。なお本記事は、Xbox 360版でレビューしている。

 車のモデリングはもちろん、泥道を走れば車体に泥がつき、どんどん汚れていく。逆に、水たまりに入ると汚れが落ちる。また、雪道や泥道を走ればタイヤの跡がコース上につき、それらが積み重なって轍(わだち)となるのだ。同じコースであっても、周回によってコースがどんどん表情を変えていくのは、本作の大きな特徴といえよう。

映像はかなり美しい。最初はピカピカな車が、レースを重ねるうちにホコリや泥で汚れていく演出も
コースを走ると、そのタイヤによって轍ができるのが本作の大きな特徴。見た目だけでなく、走行にも影響を及ぼすのだ

 筆者が個人的に気に入ったのは、その美しいながらもどこかしらおかしい背景だ。サバンナのコースでは、フェンスギリギリに象やキリンがいて、通り過ぎるときは「パオーン」と鳴き声が聞こえる。あるコースでは、コース上ギリギリを戦闘機が飛びかい、その爆音に驚かされる。こういうお遊び的な演出は、実にアーケードゲームらしく、走る爽快感を増幅してくれるのだ。

 登場するコースも、実に多彩なシチュエーションが用意されている。砂浜や山岳地帯、アイスバーンにジャングル……と、全く異なる環境でのレースを楽しめるのだ。本作はコースを周回して順位を競うシステムなのだが、1コースが複数のシチュエーションで構成されているのもポイント。例えばスタート地点は砂浜から始まり、ちょっと進むとジャングルになる……といった感じ。1つのレースでも、同じ背景が続くことなく、飽きずに走れるのだ。

コース脇に象やキリンがいたり、ジェット機が煙幕を出しながら飛ぶなど、ゲーム的な演出が楽しい
オフロードはもちろん、オンロードやアイスバーンなど、コースのバリエーションも実に多彩。各々で操作感覚は大きく異なる

悪路をねじ伏せるのがラリーの醍醐味!

 そもそもラリーとは、専用のサーキットではなく、公道や私道で行われるレースのことだ。タイムも速さを競うものではなく、あらかじめ指定されたタイムとどれだけ近いタイムでチェックポイントを通過できるか、というルールである。

 が、本作はゲームのため、このあたりのルールはかなり異なり、一般的なレースゲームに近いものが採用されている。本作をおおざっぱに言えば、オフロードコースでレースが楽しめるゲーム、と考えていいだろう。

 本作の最大の魅力は、そのオフロードコースでのレースを楽しめることだ。舗装された道路とは異なり、とにかくよく滑る。全体的に高低差がきつく、大きくジャンプする段差や水たまりといった障害物も多く設置されている。

周回コースにて順位を競うのが本作のルール。「イージーライッ!!」という感じで、コ・ドライバーが次のコーナーを教えてくれるシステムも健在
水たまりはかなりやっかいな障害物。まっすぐに飛び込むと、数十キロも速度が落ちてしまうからだ。これを避けて走るのも戦略のひとつ

 マシンは全体的にすべりやすく、局面によってはまっすぐ進むのが難しいことも。特に後輪駆動車を選ぼうものなら、ちょっとしたカーブであってもすぐに後輪が滑り出すほどだ。このツルツル滑る車で、泥が飛び散る悪路をねじ伏せていくのだ。常時ドリフトをしているような操作感覚は、ハイパワーのラリーカーを運転している気分満点で、うまくカーブを切り抜けられたときなどはかなり高い満足感を得られるだろう。

 また、先に述べたように「周回が進むにつれて轍ができていく」システムも本作の特徴。1ラップ目は普通の泥道であったのに、2ラップ目には大きな轍ができていて、ハンドルを取られてしまうこともしばしば。コースによってではなく、周回ごとに最適なラインを見つけ出して走る楽しさこそ、本作の醍醐味である。

 ゲーム中に表示されるTIPSによると、轍のほうがグリップ力が上がるようだが、筆者はかなり走りにくいように感じた(※)。そのため、2周目、3周目ではほとんど走られていない部分を見つけて、その上を走るというプレイスタイルで楽しんでいる。新雪の上に足跡を付けていくような爽快感があるので、この走り方がちょっとヤミツキになってしまった。でもレースで勝てるかどうかはまた別の話である。

とにかく車が滑りやすいのが本作の特徴。ゆるやかなカーブで大きくコースアウトしてしまうこともしばしば
1周目は水たまりだけだったが、3周目にはご覧のように大きな轍が。轍内部に水たまりができていることにも注目
※TIPSは、泥や雪などがまだ踏み固められていないフワフワな部分を走るより、轍が出来て踏み固められ、あるいはやわらかい泥の下の固い路面が露出した部分を走るほうがグリップが良くなり、その結果加速、トップスピードともに良くなるといったニュアンスのようだ。
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