国内ゲーム産業は成熟期を迎え、成長できるのか――「ゲーム産業の分析と波及効果調査」に関する説明会開催

CESAは、ゲーム産業における魅力や波及効果を数値的に検証すべく調査を実施。今回、その調査結果がまとまったということで、報告が行われた。

» 2008年10月01日 18時58分 公開
[加藤亘,ITmedia]

 社団法人コンピュータエンタテインメント協会の調査広報委員会では、ゲーム産業における魅力や波及効果を数値的に検証すべく、日本総合研究所に委託し「ゲーム産業の分析と波及効果調査」を実施した。今回、その調査結果がまとまったことを受け、説明会が催された。

 周辺需要を含めたゲームソフトウェア産業の日本国内の経済波及効果は、約1兆円と言われている。これは、国内のゲームソフトウェア市場規模は3823億円、約1000本の新タイトル(2007年度実績「2008CESAゲーム白書」より)現状を鑑み、これらのデータおよび企業のデータから関連書籍、アニメ、キャラクターグッズなどの周辺投資まで含めて算出されている。

 今回の調査では、経済波及効果およびゲームソフトウェア産業に焦点を当て、その成長性、収益性、国際性を他産業と比較分析、課題を抽出し提言をまとめるといった主旨のもと行われた。

 まず経済波及効果についてだが、ゲームソフトウェア産業を企画・企画・開発・プロモーション・流通・販売にかかる投資と周辺投資があるととらえ、これらの活動に対する需要をもとに経済効果を算出している。算出方法は、据置型と携帯型およびタイトルの販売本数を大きく6つのカテゴリーに大別。ゲーム開発・販売の乗数効果を2.30〜2.33倍程度と算出した。この乗数は、自動車産業などの製造業を除き、医療や情報通信業、サービス業と同等で、高い水準を維持してにあることが分かった。市場規模3823億円のゲーム産業がもたらす経済波及効果としては、ゲーム開発・販売がもたらす経済波及効果が7411億円、周辺投資がもたらす経済波及効果が2850億円、合算して1兆261億円となった。

 報告では、ゲーム産業と他産業との比較による産業分析も行われた。比較する産業としては、エンターテインメント産業で消費者と直接の接点がある商品を提供し、国際的な存在感ある産業を選定。一定以上の産業規模や産業セグメント情報が公開されているものなどを参考にしている。

任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメントはハードを含むため、包括できなかった点は残念なところ
ここ5年の産業規模(国内外の出荷額ベース)の年平均成長性率はゲーム産業がトップ。ただし、下位メーカーのデータも含まれれば多少落ちることになるのは否めない
利益率はやや下降傾向にあるが、他産業に比べて高い値を維持している。ビックタイトルが発売されるとハード販売を牽引することが多分にあると効果は認めるものの、その影響までは集計できないのが現状だ

ゲーム産業の輸出割合は増加傾向にあり、50%を超えている。国内で生産するものを輸出するという観点では、ゲームは一般的に国際性が高いと言われる自動車並みに海外マーケットで事業を展開している
外国人の株主比率は数年で上昇。やはり上昇割合はトップ
ゲーム産業は、この調査において堅調であることが示されたが……果たして

 この調査からは、国内市場が成熟に向かう中、さらなる産業拡大のためにはグローバル化が必須であると説明する。海外ユーザーのテイストを熟知するプロデューサーやディレクターなどの人材育成や確保、現地開発体制の整備、進出国の需要に合わせたマルチプラットフォーム対応、販路開拓や海外パートナーの交渉力強化、異なる商習慣への対応などの課題を克服する必要があるとしている。

 また、開発費の高騰への対応も急務だ。共通のミドルウェアなどを業界全体で共有し生産性を向上させるなど思い切った施策を打つことも必要と解説。世界各地域ごとの嗜好性を考慮し、最適な開発体制の整備、コアではない部分の開発を海外に委託するなどもより進めていくべきと提案していた。

 説明会ではさらなる発展のためには、グローバル化とともに、ゲームオリジナルの世界観を築き、ゲームを起点としたクロスメディア展開などにより、周辺産業を取り込んでいくことも重要なポイントと紹介。クロスメディア展開促進のためには、やはりリーダーシップを取るべきプロデューサーなどの人材育成・確保・地位向上が必要であり、資金力向上を念頭に置いて取り組むべきだと結論を出した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」