ボードゲームとカードゲームの絶妙なコラボ――対人戦で魅力が広がる「カルドセプト」最新作「カルドセプトDS」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年10月29日 16時27分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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Wi-Fi対戦は、チャットしながらのプレイが熱い

 1人でプレイするなら「ストーリー」、もしくは「1人で対戦」でコンピュータと対戦できる。しかし、本作の真髄は対人戦にこそある! と言い切ってしまおう。

 ボードゲームというジャンルが、コンピュータとの対戦よりも他人との対戦の方が面白い、というのは、少しでもボードゲームを楽しんだことがある人なら分かっていただけるだろう。本作もその例に漏れず。対人戦の楽しさは、本作の価値を何倍にも高めている。

 「ワイヤレス対戦」では、最大4人での対戦が可能。ニンテンドーDSを持ち寄って、自慢のブックをひっさげて友人と対戦すれば、盛り上がること間違いなしだ。負けると思わず「もう1回!」とうなってしまうことだろう。実際、筆者は「カルドセプト」歴の長い友人と集まって対戦してみたのだが、勝ったり負けたりで一喜一憂しつつも「そんなコンボがあったのか!」「そこでそう攻めるのか!」とプレイの勉強、刺激にもなり、余計に「カルドセプト」熱に火がついたりした。高めあうライバルがいれば、面白さは無限大だ。

 周りに本作をプレイしている友人がいなくても、ニンテンドーDSがWi-Fiにつながるなら、対戦相手は全国にいる。そう。本作はWi-Fi対戦に対応しているのだ。「Wi-Fi」というモードを選択してサーバにアクセスすると、そこは全国の強豪セプターがうようよいる虎の穴だ。

 とまあ、そんなことを言うと「え〜。じゃあ始めたばかりの自分はボコボコにやられちゃうんじゃないの〜」とビビってしまう人もいるかもしれないが、ご安心いただきたい。「だれでも対戦」というモードでは、「ビギナー」「ノーマル」「ランキング」という3つのフロアがあり、初心者であれば「ビギナー」を選択することで、より実力の近い相手と戦える。

 熟練者にとって熱いのは「ランキング」だ。このフロアでのプレイで優秀な成績を修めると、オフィシャルサイトにセプター名が表示される。自分が全国で何位くらいなのか、というのが分かるので、腕に自信のあるセプターはモチベーションがぐんと上がるだろう。

 Wi-Fi対戦ではアイコンチャットでコミュニケーションが図れるのも面白い。プレイ中に下画面に2つのアイコンを並べられるのだが、これのバリエーションで実に豊かに感情を伝えられる。戦略がバチッと決まった時には「笑っている顔」と「ピースする手」で喜びを表したり、高い通行料を払わされて土地を売らなくてはならなくなった時に「落ち込んだ顔」と「下向きの矢印」で哀しみを表したりできる。相手はどこの誰だか分からなくても、このちょっとしたコミュニケーションでネットの向こうにいる相手の存在を感じられる。シンプルではあるが、なかなか秀逸なシステムだ。

 また、ともだちコードを交換済みの友人との「ともだち対戦」では、ボイスチャットも可能。「わー、マジかー」とか「ふふふ、ひっかかったな」などと友人としゃべりながらプレイすれば、面白さも倍増だ。セレクトボタンでマイクをオフにすることもできるので、プレイに集中したいときはチャットなしでもプレイできる。

対戦のルールは細かく設定できるようになっている
AチームとBチームに別れての同盟対決も可能だ
おしゃべりしながらのプレイは、アイコンチャットとは違った楽しさがある

 なお、Wi-Fi接続すると「ダウンロード」という項目があり、ここではブック、ルール、マップ、カードなどをダウンロードできる。ここで入手できるブックは、飽くまでも貸出用というスタンスで、ブック編集はできないし、ブック内のカードは入手したことにはならない。しかし、初心者がコンセプトの明確なブックを扱ってみることで自分のブック作りの参考にするなど、メリットは大いにあると思う。Wi-Fiに接続できる人は、まずはここでブックを手に入れてみることをオススメする。

激しい戦いの末に目標達成をすると、思わずガッツポーズが出ちゃいます
グラフでスタート時からの魔力の推移を見ることもできる
ダウンロードで入手できるクリーチャー“ドラコエイビス”。先行ダウンロード終了後、12月1日から再配信を予定している

対戦者いる限り果てしなくやり込める、底なしに奥深いゲーム

メダルの条件は簡単なものからかなりハードなものまでさまざま。メダルコンプは大変かも?

 本作には一応「ストーリー」モードはあるが、ストーリーをクリアするまでにはそうそう時間はかからないはずだ。早い人であれば1日かければクリアしてしまうかもしれない。しかし、本作の肝は物語にあらず、無限に広がる対人戦にある。

 しかもストーリーをクリアしたくらいのプレイでは、おそらくカードのコンプリートはできていないはず。プレイするごとにカードが数枚もらえるが、なんせ370種類以上のカードがあって、ブックには4枚入れられるのだから、突き詰めた話をすれば、370以上×4枚が揃ってようやくスタートラインに立つのだとも言える。組みたいカードで自由にブックが組めるという環境から、更にその先には、ランキングで上位を目指すための強いブック、女性クリーチャーだけのブック、水属性のみのとんがったブック、などなど、バリエーション豊かなブックを組んで対戦する楽しさが広がっている。

 また、やり込み派の人向けに“メダル”という要素もあり、さまざまな特殊条件を満たすとメダルがもらえるようになっているのだ。カードのコンプリートとメダルのコンプリートを目指そうと思ったら、それこそ膨大な時間を費やすことになるだろう。

 なにげに振動カートリッジに対応している点も面白い。GBAカートリッジに振動カートリッジをさせば、プレイ中にブルルルと振動してくれる。ニンテンドーDSiでは残念ながら使用できないが、DSやDS Liteと振動カートリッジを持っているなら、ぜひ試していただきたい。

筆者のアルバムはこんな感じで、実はまだカードコンプしておらんです……。もう少しです
「メンテナンス」から「画廊」に入ると本作のイメージアートなどを閲覧できる
「メンテナンス」から「戦績」を見ると、各マップでの自分の戦績が、事細かに分かるようになっている

 Xbox 360の「カルドセプト サーガ」発売時はバグなどのすったもんだがあったが、本作に関しては今のところそういった報告はないようだ。筆者が遊び倒した分にも、何ら問題なくプレイできている。Wi-Fiでの対戦に関しては、発売直後ということもあってか、相手に事欠かない。通信環境も悪くなく、1戦1戦の時間は割と長めな本作ではあるが、対戦していてストレスに感じることはあまりなかった。アイコンチャットによるやりとりが楽しすぎて、気がつけば深夜に何時間もプレイしてしまったこともあった。いやあこりゃもうWi-Fiさまさまである。

 ボードゲーム、カードゲームの類が好きで、本作をプレイしている友人が周りにいるのなら、買って損なし。迷わずお店にゴーである。周りにいなくても、Wi-Fiがあるじゃないか! ということで、Wi-Fi環境も整っていればなおよしだ。逆に言えば、周りのセプターもWi-Fi環境もない、という場合は、本作の魅力の全てを味わえない、と言っても過言でない。とにかく対人戦こそが肝なのである。

 ニンテンドーDSやPSPなどの携帯型ゲーム機で過去の名作が蘇るという例はたくさんあるが、リメイクしてはみたものの……とユーザーから不満が出るケースもなくはない。その点、本作は10年近く前の作品を継承しながらも、ちゃんと今の時代の「カルドセプト」としてリデザインされていて、非常に好感が持てる。熟練のセプターも初めてのセプターもきっと楽しくプレイできることだろう。

 願わくば「カルドセプト セカンド」を継承した作品も出していただきたい、と切に願いつつ、今日もブック編集に余念がない筆者は、ベタなオールドウィロウ使いだ。

「カルドセプトDS」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンルトレーディングカード・ボードゲーム
発売日2008年10月16日
価格(税込)5040円
CEROB(12歳以上対象)
(C) 1997-2008 Omiya Soft
“Culdcept”、“カルドセプト”は有限会社大宮ソフトの登録商標です。


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