解体屋マリオの大冒険! 「レッキングクルー」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
ファミコン初期のアクションパズルである任天堂の「レッキングクルー」を取り上げます。全100面のボリュームと、敵をうまく誘導できたときの喜び、壁を一気に破壊したときの爽快(そうかい)感など、多くの魅力を持つゲームでした。
マリオが勤めていた建設会社(?)
今回取り上げるのは、1985年にファミコン版が発売された任天堂の「レッキングクルー」。アーケードからの移植で、マリオが主人公。敵から逃げながら、ハンマーを使って壁やハシゴを壊し、ビルを解体していく。全100面のアクションパズルだ。
このゲームをやっていて、前々から疑問に思っていたことがあった。マリオが最初に壊すステージがFLOOR 1で、以降はFLOOR 2、FLOOR 3、FLOOR 4……と進む。
つまりマリオは、100階建てのビルを下の階から解体しているのだ。ダルマ落としじゃあるまいし、ビルを下から崩すなんて、ありえないんじゃないだろうか? と思っていたら、何と本当に、ダルマ落としのようなビルの解体方法が存在したのだ。
この方法で解体されたのは、赤坂見附駅の近くにあった鹿島建設の旧本社ビル。「鹿島カット&ダウン工法」と名づけられたこの解体方法は、まさにダルマ落としそのもので、下の階から順番に解体作業が行なわれる。工事が進んでいくにつれ、ビルが少しずつ低くなっていくのだ。
地上の近くで作業が行なわれるので、騒音や粉じんの飛散が少なく、また廃材をリサイクルしやすくなるなどのメリットがあるらしい。
現実にこういう工法があるわけだから、レッキングクルーのビルが1階から解体されても不思議ではない。つまりマリオはこの当時、鹿島建設で働いていたのだ!
……ここまで書いてから、もう一度ゲームをプレイしてみたら、各ステージの名称はFLOOR(階)ではなくて、PHASE(段階)だったことに気がついた。しまった、ナムコの「ドルアーガの塔」とごっちゃになっていた。
そもそも各ステージに屋根がついているから、1〜100というのは1棟のビルの1階から100階ではなくて、それぞれ異なる100棟の建物だということに、ゲームをやってたら気づきそうなもんだけど……。
全100ステージというボリューム感
レッキングクルーとは“壊す人”という意味で、マリオはヘルメットをかぶり、ハンマーを持って登場する。2人プレイでは2人目がルイージとなるが、同時プレイではなく、ひとりがミスをするともうひとりに交代となる。
マリオは上から下へ落ちることはできるが、下から上へはハシゴを使わないと上れない。だから、壁やハシゴを壊す順番を間違えたり、不用意に飛び下りたりすると、どうしても壁を壊せなくなる“ハマり”状態になってしまう。そうなったらわざと敵にやられるか、セレクトボタンを押してリセットするしかない。
ビルの中には敵が現れる。マリオを追いかける「スパナゴン」と、一定の法則に従って動く「ナスビ仮面」、そしてマリオそっくりな「ブラッキー」だ。敵の行動にはかなり明確な規則性があるので、うまく誘導したい。失敗すると行き止まりで追い詰められたり、左右から敵に挟まれたりしてしまう。
レッキングクルーでは壁を壊せなくなってミスするよりも、敵を避け切れなくなってミスするほうが多いと思う。プレイヤーのアクションの腕で敵を回避できる場合もあるが、それよりもマリオの移動のタイミングやルート選び、そしてハシゴを壊す順番で、楽に避けられるケースが多い。
壁をいかに壊していくかというより、敵をいかに誘導するかがレッキングクルーのパズル性の根幹といえるかもしれない。
ステージ(PHASE)は全100面と、当時のファミコンでは格段にボリュームがあった。途中でセーブできる機能はなかったが、スタート時に好きなステージから始められるようになっていた(だから途中でハマってリセットしても、同じステージから再開できる)。
レッキングクルー発売の約1年前、ブローダーバンドのPC用ゲーム「ロードランナー」が、ハドソンによってファミコンに移植されて大ヒットしていた。レッキングクルーも、どのステージからでも始められる点、ステージをエディットできるモードがある点など、ロードランナーの影響が少なからずみられる。
でもゲームをやってみると、そのプレイ感覚はかなり異なる。これはゲームシステムの違いというより、ゲームの面白さの核をどの辺に置くかの違いなのだろう。
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