戦略の成就と破綻がもたらす栄光と没落――「アップルシードタクティクス」第3回戦詳報(2/2 ページ)

» 2009年11月19日 18時23分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2       

終盤:沈みゆく太陽。自由アフリカ、急転直下の没落

 中盤過ぎまで北米に押し込められたアメリカ帝国は総資産で大きく遅れを取り、今回の勝利はかなり困難な状況に陥った。もはやUR、ナグルファルから見てアメリカ帝国を攻撃する理由はなくなったことになる。

 かくして対米戦争は終わりを告げ、世界の関心は対アフリカ戦争に切り替えられた。

 この時点で第2位だったナグルファルは占領地をアメリカ帝国に返還することでその力を自分たちからそらし、大西洋経由でアフリカ南部を目指す。第3位のURは対米戦を中止することで浮いた戦力を回し、自由アフリカの富の源泉、西アジア・インド方面への攻撃を開始する。アメリカ帝国は当面の敵をオリュンポスに絞り、オリュンポス領を抜いて自由アフリカ領への侵攻を画策する。

 世界の趨勢が変わったことで最初に影響を受けたのはオリュンポスだった。ナグルファル、URと同盟関係を構築したアメリカ帝国は、満を持してアゾレスベースに来襲、再びそこに国旗を翻らせると、続いてガイアシティも奪い取った。オリュンポスは西アフリカに撤退して防衛にあたるが、アメリカ帝国は追撃の手を休めず、第2の首都となったタッシリナジェールをも陥落させ、西アフリカのオリュンポス領を次々と掠め取っていく。

ガイアシティを支配下においたアメリカ帝国。そこを足場に西アフリカのオリュンポス領へ侵攻した

 しかし、オリュンポスもしぶとく抵抗。アトランティックベースに第3の首都を構え、ナグルファル、アメリカ帝国の領土のうち、攻められそうなところをとにかく攻めるというゲリラ的戦略で応戦する。前回も厳しい状況に耐えて滅亡を回避したオリュンポスは今回もまた追い詰められてからの粘りを見せた。

 同盟が思わぬ停滞を招いてしまったのがナグルファル。あまりに早いアメリカ帝国の進撃によって自国と自由アフリカ領との接点をほとんど失ってしまい、しかも太平洋上に本拠を構えたオリュンポスによって沿岸部の拠点を攻撃されるという、余計な火種を抱えてしまった。攻撃相手をなくしたナグルファルは内部の意思統一が難しくなり、反主流派がアメリカ帝国領を攻撃。戦局的に見てあまりに意味のない、第2位と第4位の泥仕合を始めてしまった。

主力が西アフリカへ移動した隙を突き、アメリカ帝国領へと食い込んだナグルファル。一部の暴走的な攻撃ではあったが、以降も北米での戦いが続き、ナグルファルの主行動はアフリカから離れてしまった

 同盟を生かして確実に領土を広げることに成功したのがURだった。アメリカ帝国がナグルファルとの関係を紳士同盟のレベルで捉え、本拠地から戦力を移動したのに対し、前回外交の破綻から本土の失陥を招いたURは同じ轍(てつ)は踏まないとばかりに徹底した現実主義路線。アメリカ帝国との関係は外交で相互不可侵状態を作り上げ、反故にされない関係を樹立。さらに自分たちからは手出しをしないようにしてその状態を持続させた。自由アフリカ領への攻撃も決して焦らず、自由アフリカのディフェンスが崩れてもその先を攻めるべきか、作戦会議を重ねながら漸進的に進む作戦を採った。

 こうして対アフリカ戦争は結果的にURのひとり勝ち状態になった。ナグルファルは実質的に離脱した後、北米に領土を拡大することが主になってしまい、アメリカ帝国は個々のメンバーによるファナティックなカーニバルを謳歌する狂乱の戦闘集団と化した(それはそれでエネルギッシュではあったが)。自由アフリカは今回も防衛に入ってから士気が崩壊し、ついには東アフリカ地溝帯に追い詰められて滅亡の憂き目に遭うという最悪の結末を迎えてしまった。

 世界を吹き荒れた大混乱をよそにURは北極圏、欧州、北アフリカ、西アジア、インドを抑えた大勢力に成長。他勢力の追撃も許さず、念願の初勝利を手にしたのだった。

堅実な作戦で少しずつ拠点を増やしていったUR。アメリカ帝国を最後まで外交で押さえ込んだことが西からの脅威をなくし、東への拡大を可能にした

総括:人の和で勝利をつかんだユナイテッド・リパブリック

 第3回戦では、いままで煮え湯を飲まされてきたURが逆転勝利を飾った。

 URの勝因は直接的には執拗な外交と粘りのある防衛にあったが、それを支えたのが所属プレイヤーの結束力だった。作戦会議掲示板での議論はどこよりも白熱しており、それぞれの書き込みも内容の濃い長文が目立った。

 特に興味深かったのが中盤の議論。東に資産力を誇る自由アフリカ、西に最大人数を誇るアメリカ帝国。両側に強敵を抱えた状況で、どちらに主力を向けるかという難題が議論され、最終的にどちらとも対決せざるを得ないという結論を出したうえで、アメリカ帝国は外交で縛り、戦力は自由アフリカに向けるという戦略を選択する。実はプラン自体は前回もURが採った作戦と同じだったが、前回は外交が破綻してアメリカ帝国の侵攻を招いた。そこを反省してか今回は方針が定まるや外交組は最後まで手を抜くことなく交渉を続け、攻撃組もそれに応えて自由アフリカを撃破。2大国を明確な役割分担で打倒したチームプレイは見事だった。

 ナグルファルは3戦続けて第2位となった。序盤の出遅れをカバーしてつねに好位置をキープしていたが、支配地が南米だけでは経済的に厳しかった。

 第3位はアメリカ帝国。中盤までの封じ込めによって許したリードを最後まで挽回できずに終わった。終盤、勝ちがなくなった時点で開始された大規模なアフリカ大陸侵攻作戦は覇権国家に相応しい派手なフィナーレだった。

 オリュンポスは序盤の拡大が活きて最後まで領地を守りきり、第4位に滑り込んだ。初期の人数を考えれば滅亡の危機もあっただけに積極性に活路を見いだした判断は正しかっただろう。

 自由アフリカは資産的には2位だったが滅亡により最下位となった。中盤までトップを守っていただけに、対アメリカ戦争終結後の対応を誤ったのが痛かった。

 アメリカ帝国の3連覇を阻止し、ユナイテッド・リパブリックが初優勝を成し遂げた第3回戦。続く第4回戦は11月19日(木)午後6時のスタートとなる。次回の覇者はどこになるのだろうか。その覇者を支えた者たちの中に是非ともあなたの名前を刻んで戴きたい!

(C)士郎正宗/青心社/M2 Published by Gamepot Inc.


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/03/news002.jpg 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  2. /nl/articles/2405/02/news004.jpg 80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
  3. /nl/articles/2405/02/news023.jpg 【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
  4. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  5. /nl/articles/2405/01/news131.jpg なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
  6. /nl/articles/2405/01/news128.jpg 「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
  7. /nl/articles/2402/15/news019.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  8. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. /nl/articles/2405/02/news106.jpg 【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
  10. /nl/articles/2405/01/news104.jpg 「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評