Wiiと大画面テレビで家族の会話が活発に 実験で実証
大画面テレビとWiiを家庭のリビングに設置すると、リビングでの家族間のコミュニケーションが活発になるという調査結果を「家ナカ研究会」が発表した。
大画面テレビとWiiを家庭のリビングに設置すると、リビングでの家族間のコミュニケーションが活発になる――電通総研が中心となり、家族の新しいライフスタイルを研究するために発足した「家ナカ研究会」が11月19日、実験を基にした調査結果を発表した。
実験は、両親と小学生以上の子どもがいる家族で、子ども部屋があり、アナログテレビを利用し、Wiiを持っていない──といった条件を満たした5家族(1家族の人数は3人〜5人)を対象に実施した。
普段通りに過ごす1週間と、42V型の大画面テレビとWiiを設置した1週間、Wiiとテレビを撤去した1週間の計3週間にわたり、家庭内に設置したビデオカメラの観測結果やインタビューから、家族コミュニケーションの変化を見た。
大画面テレビの設置前と設置後では、リビングに人がいる割合、滞在人数、テレビの電源をつけている割合などが上昇した。平日午後6時〜午後11時、土日は午前9時〜午後11時までのうち、リビングに人がいる割合は平均59%から同67%に、滞在人数は平均1.09人から同1.22人に、テレビ電源をつけている割合は平均54%から同61%に増えた。
1分間当たりの平均発話回数も、設置後は14回と設置前から4回増えた。「大画面テレビとゲーム機を設置することで、リビングで過ごす時間とコミュニケーションが増え、家族の絆を深める場になる」と、共同研究者の慶応義塾大学の大森貴秀助教授は指摘する。
家ナカ研究会メンバーで、「声に出して読みたい日本語」で知られる明治大学の斎藤孝教授も、「向こうの世界にすっと引き込まれる大画面テレビは、自然と共通の話題になる。リビングにあることで家族の一体感を深める」と分析した。
滞在人数は、テレビとWiiの撤去後も平均1.21人と、設置前を上回る数値を維持。「家族の会話にはきっかけが必要。1度会話の習慣が付くと、終了後もコミュニケーションは維持される」と斎藤教授は話す。
インターネット対応テレビの増加で今後、家族間コミュニケーションが活性化すると斎藤教授はみている。家族がリビングに集まり、リビングのテレビでもネットを使えるようになると、ネットを使うために部屋にこもり、家族間の交流が減る――といったことが防げるためだ。「会話の土台をリビングに置くことで、子どもは大人が、大人は子どもがどんな意識で生きているのかをお互いに知ることができる環境ができあがる」(斎藤教授)
同研究会が10月に全国の子持ちの既婚男女1000人を対象に行った調査によると、ネット対応テレビを持っている世帯は27.4%と6月より6.5ポイント増加。テレビ向けのポータルサイトを利用したことがある人は6月から10.1ポイント増加えて17.1%だった。「消費者はネット対応テレビを使いこなし始めている」(斎藤教授)
家ナカ研究会は、家族の新しいライフスタイル研究を目的に、斎藤教授やAV評論家の麻倉怜士さんなどが7月に設立した。今回の実験は、大森助教、山脇学園短期大学の杉山尚子准教授と共同で行った。
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