鉄壁のデフェンスに開いた一点の蟻穴――「アップルシードタクティクス」第4回戦詳報(3/3 ページ)

» 2009年11月27日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 図らずもアメリカ帝国、オリュンポスとの2正面作戦を余儀なくされたURだったが、それでも鉄壁のディフェンスは崩れない。リスボン、カサブランカ、北大西洋、レイキャビク。いずれの拠点も敵の攻撃を跳ね返し続けた。驚嘆の防衛能力である。

 それでもあきらめないアメリカ帝国はループ切れのタイミングを待った。アップルシード:Cではループ設定された行動が毎日午前11時をもって解除される。これは状況が変化した際、古い状況下で設定されたループが新たな行動を妨害することを阻止するための処置である。ただ、ループが切れた直後は何の行動も設定されていない状態になるので、ゲーム的にはいないのと同じことになる。アメリカ帝国はこのタイミングが来るのをじっと待った。

 7日間に渡って行われるゲームの第5日目、定例のループ解除処理が行われた。アメリカ帝国はここで北大西洋に戦力を集結する。防衛値的にはレイキャビクのほうが落としやすいのだが、URの抵抗が激しいうえ、奪っても本拠である欧州大陸までの距離が遠い。対して北大西洋の場合、これに続くイギリス海峡を抜けば、URの栄えある首都であるパリ、副都ロンドンに隣接できる。

 アメリカ帝国はURがループ解除から立ち直る前に海上を貫き、イギリス海峡まで進出する。続けてパリへの攻撃を開始したが、対応力を取り戻したURはこれをはね除ける。相変わらず、要地は奪われても都市は渡さないという、ディフェンスを見せ続ける。

 ただ、さすがのURも首都が直接攻撃を受ける状況になっては、辺境の防衛までは手が回らない。アメリカ帝国の侵攻で欧州中枢が動揺している隙を突き、オリュンポスがカサブランカを奪った。URがついに都市を失陥したのだ。

“都市堅守”のURディフェンスに土を付けたオリュンポス。カサブランカ奪取は終盤に見せる猛反撃の端緒となった

 とはいえ、URが失った都市はまだ1つだけ。南米の占領地から入る収入が安定してきたアメリカ帝国が総資産でトップに立ったとはいえ、その差は僅かで勝利がどちらに転ぶかは予断を許さない。そこでアメリカ帝国は今度はアクティブ(リアルタイムでゲームをプレイしているプレイヤー)が少なくなる平日早朝の攻勢を意図する。目標はロンドン。パリの防衛が堅いと見て、副都狙いに切り替えたのだ。

 ゲーム第6日目の早朝、アメリカ帝国の執念が実った。ロンドンの危機を察して集結してきたURの防衛軍をかわし、制圧に成功する。アメリカ帝国は間髪入れずダブリンとグラスゴーを取ってグレートブリテン島周辺に橋頭堡を築くと、そこから縦横無尽に欧州大陸を荒らし回った。URがようやく外交戦略を駆使してアメリカ帝国の侵攻を停止させた時、ヨーロッパの過半にはハクトウワシの国旗が翻っていた。その中には北の果てで孤立したレイキャビクも含まれる。この弱小都市を防衛していた守備隊は、西から攻め寄せるアメリカ帝国軍を最後まで撃退した。だが、北海を通って南なら来た敵までを食い止める力はなかった。アメリカ帝国は欧州を三日月上に迂回して、ようやくこの氷河と火山の島を領土としたのだ。

ヨーロッパ北部を制圧したアメリカ帝国軍。攻める意志と守る意志の激突は攻者に軍配が上がった。イベリア半島周辺にはオリュンポスの姿も見える

 そしてアメリカ帝国が主に欧州北部で暴れ回っていた頃、防衛線が崩壊したUR領は次々とオリュンポスのものとなっていった。オリュンポスは最終局面ではURを滅ぼして自分たちが4位に上がることを狙ったようだが、さすがにURもそこまで甘くはない。地中海沿岸の拠点はアテネを除いてすべて奪われたものの、首都パリは最後まで守り通し、最終的に6拠点を保持してゲームを終えた。

総括:執念と維持が激突した屈指の激戦

 第4回戦の勝者は、通算これが3勝目となるアメリカ帝国となった。

 アメリカ帝国は最大人数を集めた勢力であるだけに、勝因の大きな要素として人数を挙げるのは間違いではないだろう。しかし、それを有効に使いこなしていること、そして何よりも勝利に対して飽くなき欲求心を持っていることも決して小さくない。南米侵攻戦、欧州侵攻戦を通して数が集団として動いていることが分かる。これがアメリカ帝国最大の武器なのだ。

 第2位にはURの陥落によって自由アフリカが昇格した。これは勢力にとって過去最高成績になる。

 第3位はUR。終盤崩れたがディフェンス能力の高さは群を抜いていた。オリュンポスとの関係を誤ったのが悔やまれるが、彼らの戦いは数的劣勢をいかにして克服するかというひとつのモデルケースになっていたと言っても過言ではないだろう。

 第4位はナグルファル。序盤の拡大は見事だったが、やや国土を広げすぎたのが響いたのか、対アメリカ帝国の外交が破綻してからは見せ場を作れなかった。

 第5位はオリュンポス。最下位ではあるが、彼らには“栄光の敗者”の名が相応しい。序盤の勢力拡大に失敗し、URの攻撃によってわずか2拠点にまで追い詰められながら、驚くほどの粘りで終盤大活躍を見せた。勢力の政治的信条ゆえに厳しい使用カード制限がありながら、あれだけの攻撃力を見せたことは、その力が決して侮れないことを示している。

 こうして第4回戦は過去最高の激戦を経てアメリカ帝国が勝者となった。第5回戦は11月26日(木)午後6時より開始されているが、この第5回戦よりワールドマップが更新される。総拠点数、拠点の位置と種別(都市、要地の区別)、各拠点の隣接関係は変わらないが、各拠点が持つ経済値、防衛値が全面的に改訂。さらに一部の拠点は地形も変更されるので、これまでとまったく違った戦略が必要になってくるだろう。初めての方にはまさに絶好のチャンス。みなさんの参戦を熱望する!

(C)士郎正宗/青心社/M2 Published by Gamepot Inc.


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