「ヤフーにいては、動けない」 50万ユーザーのmixiアプリ「ぼくのレストラン」の挑戦(1/2 ページ)
2週間で50万ユーザーを集めたmixiアプリ「ぼくのレストラン」を作ったのは、ヤフーを辞めたばかりの2人が起業したベンチャー企業だ。
設立半年のベンチャー企業によるmixiアプリ「ぼくのレストラン」が、2週間で50万ユーザーを突破した。ただ遊ぶだけでなく、料理に関する豆知識や実際のレストラン情報を共有する機能もあり、「プレイヤーの食生活も豊かにしたい」という開発者の思いがこもっている。
開発したのは、公文善之さん(34)と安徳孝平さん(38)が6月に創業したSynphonie (シンフォニー)だ。2人とも4月にヤフーを辞めたばかり。「ヤフーと勝負できる会社を作りたい。そうでないと残してきた人たちにも失礼」と、公文さんは決意を述べる。
このままでは世の中の動きに付いていけない
2人はヤフーでともに「Yahoo!モバイル」の立ち上げに関わり、公文さんは「Yahoo!グルメ」「Yahoo!みんなの検定」などにも携わってきた。それ以前は2人とも、あるITベンチャーに立ち上げから参画。その企業がヤフーに吸収合併されたことに伴い、ヤフーに移った。
ヤフーはネット業界随一のユーザーをかかえる大企業。学べることは多かった。反面、スピード感に乏しかったと公文さんは振り返る。「ちょっとしたサービスも、やるかやらないかを決めるのに半年、立ち上げるまでに1年かかる」
ヤフーが最も得意とするのは、マス向けの“ヘッド”コンテンツ。ニッチなロングテールコンテンツや口コミサイトなどCGM(Consumer Generated Media)では、一部を除いて大きな成果は出せていない。
公文さんは焦りを覚えていたという。「このままでは世の中の動きに付いていけない。ヘッドだけで済ませられる時代は終わる。ロングテールやCGMを他社にやらせていては、負けてしまう」
4月に安徳さんと2人でヤフーを辞め、6月に起業。「ヤフーにはできないものを作りたい」とFacebookなど海外のソーシャルアプリプラットフォームを研究し、レストラン経営ゲームを考えついた。
8月に概要を固め、10月末には自社サイトでサービスイン、11月にmixiアプリ版(モバイル専用)をスタートした。ヤフーではできなかった、ベンチャーならではのスピード感だ。
「ネット上の情報を減らしたい」
ぼくのレストランは、プレイヤーがレストランのオーナーになる育成ゲームだ。魅力的な料理を集めてメニューを作り、宣伝活動をして客を集め、日々売り上げをチェック。メニューを工夫して客を増やしたりミニゲームをプレイして経験値を稼ぎながら、店のレベルを上げていく。
「単なるゲームは3カ月で飽きられる」――暇つぶしのゲームで終わらせず、現実の生活で役立ててもらえるよう工夫をこらした。ゲーム上の料理は、現実のレストランにあるものに限定。料理の起源など丁寧な説明文を付けたり、料理に関するクイズを出すなど、食について学べるようにした。
GPSと連動し、宣伝活動の際は現在地の位置情報を送信。ユーザーが今いる地域で宣伝するという設定で、周辺に実際にある飲食店情報も表示するほか、現在地の情報はマイミクシィにも伝えられる。
飲食店の口コミを投稿する「食べ歩きブック」機能も。昼食時と夕食時の1日2回まで、訪れた飲食店情報(写真とひとことメッセージ)を投稿し、マイミクシィと共有できる。3回投稿するとゲーム上の料理と引き替えられる仕組みで、すでに17万件以上の飲食店情報が登録されている。
「ネット上には情報が多すぎる。情報を減らしたい」――食べ歩きブックにはそんな狙いがある。グルメサイトだけでも「ぐるなび」「Yahoo!グルメ」「食べログ」などがあり、それぞれが50万件以上の店舗情報と大量の口コミ情報を収録。どの店が自分のニーズに合うかを判断するのは難しい。
多すぎる情報は、友人など信頼できる人間関係でフィルタリングすれば役に立つ情報に変わると公文さんは考えている。食べ歩きブックなら、好みが似た友人や味に確かな友人が気に入った店をチェックでき、大量の飲食店情報から自分に合った店を見付けられるはず――という考えだ。
EC2+マッシュアップが可能にしたサービス
mixiアプリ版は2週間で50万人を集め、1日5万人のペースで急増しているという。友人を招待するともらえる特典目当てに、口コミで急速に広がっているようだ。
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