日本語版はどう変っているのか――「HOMEFRONT」ローカライズプレゼンテーションリポート

2月18日、スパイク本社にて4月14日発売予定の「HOMEFRONT」について、日本語版ローカライズについてのメディア向けプレゼンテーションが開催された。「軍事大国化した北朝鮮」という、日本人にとってもデリケートなテーマを扱うだけに、ローカライズでどの程度の変更が行われるのか、プレイデモなどで明らかにされた内容をもとにリポートする。

» 2011年02月18日 18時42分 公開
[戸村賢一,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
今回、ローカライズプレゼンテーションを行ったスパイク・海外グループアソシエイトプロデューサーの赤石沢賢氏

 北朝鮮と韓国が2013年に統一し、2013年に北朝鮮を主体にした「大朝鮮連邦」が誕生。その後、大朝鮮連邦は軍事路線を突き進み、2018年には日本を大朝鮮連邦が占領、さらには2025年にはアメリカ合衆国全土が占領されてしまう――そんな過激な舞台設定が話題となっている「HOMEFRONT」。日本でも4月14日にスパイクから発売されることが決定し、現在開発元のTHQとスパイクで日本向けローカライズ作業が行われている。

 今回、プレゼンテーションを行ったのはスパイクでローカライズのコーディネートを行っている海外グループ・アソシエイトプロデューサーの赤石沢賢氏。「HOMEFRONT」の概要を伝えたあと、本題となるローカライズに関する変更部分についての説明が行われた。

 公式サイトでも発表されているように、「HOMEFRONT」に関してはCEROの倫理審査により「実在する人物・国・国旗・民族・宗教・思想・政治団体を敵視しまたは蔑視する表現でなおかつ一方的に非難・中傷する表現」にあたるシーンとして、以下部分に変更が加えられているという。(参考リンク→CERO倫理規定)

  • オープニングムービーの「金正日氏死去」を伝える部分をカット
  • ゲーム内テキスト中、実在の国を中傷しているとされたシーンにおいて、当該の国名表記を「北の某国」、実在の人物を中傷しているとされたシーンにおいて「北の指導者」と変更

 これだけを読むと、2番目の方の変更については、その度合いによってはゲーム内容が変わる可能性もありそうだ。しかし、赤石沢氏によるとゲーム演出上の変更は一切ないとのこと。そのうえで、日本語版オープニングムービーの上映と第1ステージのデモプレイが行われた。

 今回、記事では実際の映像紹介はできないのだが、今日上映されたオープニングムービーと「E3 2010」で公開されたトレーラーと比較してみると、映像でカットされている部分は「金正日氏死去」を伝える新聞を映し出したカット(2秒程度)のみで、金正日氏死去を伝えるシーン自体は残されている。日本語化されたセリフでは、確かに金正日氏を「北の指導者」と読み替えているが、それ以上の内容変更が行われている感じではなかった。ちなみに、国連で演説する金正恩氏の姿については、最近明らかになった正しい姿に変更されている。



占領されたアメリカには赤い旗がたなびく

 続いて行われたファーストステージのプレイは、主人公が捕虜になる寸前で市街戦を戦い脱出するというもの。舞台となるのは、NYCでもLAでもなく、アメリカのごくありふれた地方都市といった街で、日本語・ハングル語の2カ国語のラジオ放送から物語はスタートする。なお、今回のローカライズでは英語部分はすべて日本語に吹き替えられ、ハングル語部分についてはオリジナルの仕様をそのまま採用しているという(海外版でハングル語が英訳されている部分は和訳し、英訳されていないハングル語は日本版でも訳さないといった、海外版の翻訳仕様に則したもの。ちなみに字幕はすべて日本語)。ラジオで目を覚ました主人公、ロバート・ジェイコブスは、いきなり現れた朝鮮人民軍(KPA)によって捕虜とされてしまうのだが、輸送中の街では北朝鮮と思われる共産主義チックな国旗がたなびき(いかにも郡役場っぽい建物に赤い旗がたがたなびく姿は、アメリカ人にとって相当ショックに違いない)、金正日氏と思われるポスターもべたべたと張られている。少なくともファーストステージのプレイを見る限り、本編でのオリジナル演出が大幅に変更されるといったことはなさそうだ。

 最後に、オンラインマルチプレイについても16人による8対8のデモプレイが披露された。今回行われたのは2本先取ルールでマップ内の3拠点の占拠を競う「Battle Commander」で、キルストリークを重ねるなど、一定以上の活躍をしていると認められたプレイヤーは「優先脅威プレイヤー」として装備の力が上がる一方で狙われやすくなる、といった工夫がなされている。また、ゲーム内で獲得したポイント「BP」がゲーム中いつでも使用可能で、必要となった装備をその場で追加できるため、武器の選択や戦術の幅が広がりそうだ。

 冷静に見れば、「HOMEFRONT」でアメリカを占領しているのは南北統一後10年以上を経て軍事大国に発展した「大朝鮮連邦」で、「昔」の北朝鮮に言及するシーンというが多いとは考えにくい。そこで、ローカライズがもたらすゲームへの直接的な影響をさほど気する必要はなさそうである。とはいえ、政治的な舞台設定が過激なものとなっている「HOMEFRONT」だけに、今後の続報に注目していきたい。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」