「グランディアIII」 〜グランディアという名の躍動感〜(1/2 ページ)
スクウェア・エニックスが贈るこの夏イチバンの大冒険活劇「グランディアIII」が満を持してPS2に登場です。この夏何をやり込もうかと迷っているRPG好きな貴方や貴女! 主人公ユウキとともに大陸を目指して空を駆けてみませんか?
グランディアとは何なのか
1997年12月にセガサターンで発売された「グランディア」(以下「1」)はCESA大賞'97優秀賞、第3回 日本ゲーム・オブ・ザ・イヤー準グランプリを受賞するなど、その内容が高く評価されたRPGで、1999年6月にプレイステーションへと移植された。
その後続編である「グランディアII」(以下「2」)がDCで2000年8月に登場し、PS2では2002年2月に発売。番外編にあたる「グランディア エクストリーム」(以下「X」)はその1カ月前2002年1月にPS2で発売されている。
そして2005年8月。長い沈黙を経て、いよいよ「グランディア」シリーズ最新作である「グランディアIII」(以下「3」)がPS2に登場した。
「グランディア」シリーズの魅力は、アニメーション的なキャラと3D世界をうまく親和させた温かみのあるグラフィックや世界観、ドラマチックでダイナミックなストーリー、そして極めつけはアルティメットアクションシステムによる独特の戦闘システムである。「3」においてもそれらは脈々と受け継がれており、当然のことではあるが過去作品と比べて随所でパワーアップをしている。「大冒険活劇」の謳い文句に負けない仕上がりを見せている「3」について、できる限りお伝えしていきたい。
シネマティック・シーンという名の美麗CG
筆者が「1」をプレイしてみようと思った最初の理由は、そのキャラ絵だった。ゲーム画面は3Dで表現されているものの、キャラクターのイメージは飽くまでも2D。しかもそのアニメーション的に描かれたジャスティンは「冒険をする少年」の躍動感が伝わってくる非常に魅力的なキャラだった。パッと見て「何となく面白そう」と思いソフトを手にしたのを今でも覚えている。結果として「1」は筆者にとっての良作RPGとして個人的に殿堂入り。随分と楽しませてもらったものだ。
さて。時は過ぎ今や「3」である。もちろん年月も経ち当然のごとくグラフィックは隔世の進化を遂げているわけだが、「1」で感じたあの「アニメ絵と3Dの親和と相乗効果」は「3」においてまた新たな局面を見せてくれたようだ。とにかくデモシーンがよくできているのである。人物の表情が豊かで、背景のボケ味が美麗。プレイヤーを物語にいざなう装置として非常にうまく機能している。
これは製作者サイドの言葉で「シネマティック・シーン」と呼ばれているもの。「1」のCGを手がけた倉澤幹隆氏と映画監督金田龍氏がタッグを組んだアニメテイストは、モーションキャプチャーを使用しない手付けアニメによって細かく作り込んだ結晶であった。
名演技という名のボイス
「3」におけるシネマティック要素はグラフィックだけではない。昨今珍しくないキャラボイスのあるRPGなのだが、「3」ではその台詞の収録の順番が通常と逆だったようだ。どういうことかというと「役者の演技を元にCGを組み立てる」というまさにコロンブスの卵的な手法。実力のある俳優、実写の映画監督を起用することに始まり、役者の演技を固めてからボイスを収録している。その音声を元にコンテ作成、CG作成を行うというそのスタイルから何が生まれたのかと言えば、「良質なCGアニメを観ているかのようなクオリティの高いデモシーン」なのだ。
正直な話、途中のあるシーンで筆者は泣いてしまった。ベタに弱い、という筆者の弱点をついたシナリオのせいでもあるが、やはりそれはグラフィックとボイスの連動が否応なしにドラマを盛り上げたからでもある。冗長なだけのCGでは飽きてしまうが、魂がこもっていればプレイのモチベーションアップにもつながるという好例が、ここにはある。
惜しむらくはデモシーンではなくプレイヤーが動かすキャラが喋る画面でキャラの口が動いていないこと。うまく処理をしてはいるが、できればここでも口を動かしてほしかった。つい「X」でのお人形さんのような自キャラを思い出してしまう。
ちなみに素敵な声優陣のなかでも注目なのが聖獣グリフ役の倍賞千恵子さん。どんな聖獣っぷりを聴かせてくれるのかはお楽しみ。
ドラマチックという名の物語と人物
「グランディア」シリーズと言えば、そのドラマチックなストーリーとキャラの立った登場人物も大きな魅力のひとつだ。「X」においては番外編であり戦闘等のシステム面に重点を置いた作品であったためか、物語部分が希薄であった。しかし「1」「2」とストーリーに力を入れてきた流れで、「3」の物語もかなり丹念に作られたものになっている。
そして愛すべきキャラクターたち。世のRPGは「主人公の名前を変えることができるもの」と「できないもの」に大別できるが、「3」は完全に後者。それが何を意味するかというと(まあボイスがあるからという理由もあるだろうが)、主人公も含めた登場人物たちが繰り広げるドラマを非常に重視している、ということに他ならない。従って基本的に移動なり展開なりの自由度は低い。
道筋は概ね決まっており、それらは製作者サイドが伝えたいドラマを見せるために用意されている、と言っても過言ではない。ここまで読んで「何だ、それじゃあつまんないや」と思わないでほしい。何故なら後述するが、「3」は不自由なゲームではなく、むしろ自由のゲームである側面も持っているからだ。
Gサーチという名の不思議能力
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