レビュー
2006年12月08日 12時48分 更新

「龍が如く2」レビュー:

伝説の男が再び動き出す。東京と大阪で桐生一馬を待ち受ける運命は? (2/2)

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崩壊寸前の組織とそれを取り巻く多彩な人々

 一馬は前作の事件後に極道を引退している。いわゆる“足を洗った”わけだ。しかし、後事を託した人物が敵対組織に暗殺されたことから、再び、矢面に立つことになる。とはいえ、どこかに組に入ったわけではない。身分的にはカタギのままである。本来なら、筋が通っていないのだが、一馬は一度極道を捨てると決めている。だから、復帰することはない。これは心の問題であり、一馬なりの節なのだ。ただ、親近者として見過ごせないから協力するのである。報酬などは期待しない。いわばボランティアだ。そしてそうした彼の態度に文句をつける者はいない。それどころか、幹部会議では、最高位の位置に座っている。このあたりが一馬の実力と、それに対する周囲の敬意なのである。

画像 ガタガタの東城会を束ねているのは、先々代会長の妻である堂島弥生だ。肩書きは5代目代行。5代目に有力な側近が無く、4代目はすでにカタギで、若い衆にも頼もしいのがいないため、先々代の奥さんを担いでいるわけだ。この状況はどう考えてもヤバイ

 さて、一馬が協力することになるのは、東城会という組織だ。東京・神室町を地盤とする連合組織である。一馬はここの第4代会長だったのだが、引退後、第5代に抜擢した寺田という男が殺されたため、先代という立場から手を貸すことになったのだ。

 この東城会、実はかなりヤバイところまで追い詰められている。東城会は単体の組織ではなくて、それぞれ独自性を持った大小の組が集まっている連合体。一番力を持つ組が会長を出し、それ以外の組のうち、有力な組が幹部を出す。それぞれの組は東城会に忠誠を誓っているが、実質的には自分の組が大事である。前作の事件で東城会は一気に勢力を失ったため、脱落したり、名前だけは入れておいても本部の指示を聞かなくなる組が続出してきたのだ。ヤクザ世界は力がすべて。頼りがいのない親分についていくお人好しはいない。それが普通だ。民間人のくせにわざわざ火の粉をかぶりに来る一馬がいかに義理堅いが分かる。

画像 近江連合会長、郷田仁。白髪の老人で車椅子に乗っている。その肉体は衰えを隠せないが、威厳はいささかも落ちていない

 弱肉強食はヤクザ世界では常識中の常識、まして世界の富が集まる東京の大繁華街・神室町をシマにしている組織である。たちまち乗っ取ろうという連中が群がってくる。その筆頭が関西に拠点を置く近江連合。関西最大の組織だ。

 こちらも東城会同様、大小の組が集まってできている。このように多数の組織を傘下に置いて組を拡大化することを系列化と言う。中心になっている組を本家といい、ここと直接契りを結んで傘下に入った組を直参という。ヤクザ世界の契りは義理の親子関係を結ぶ儀式であるから、直参は家は違えども親族、という扱いになる。とはいえ、所詮は違う組なのだから、どこまで信用できるかは怪しい。契りを結んでおいて裏切るのはもっとも忌み嫌われる行為なのだが、こういう時には“杯を返す”、つまり義理の親子関係を解消する、という手順を踏めばいいという裏技のような習わしがある。こうした有象無象の輩を束ねなければならないので、ヤクザの親分というのは、かなりのカリスマ性を求められるのである。

画像 近江連合5代目直参・千石組組長、千石虎之介。郷田会長の意向に平気で逆らうこともある野心家。見た目通りのゲスな男だが、資金力は高く、侮れない
画像 同じく近江連合5代目直参・近江高島組組長、高島遼。連合の本部長も務める、郷田会長の懐刀。千石とは好対照の理知的な男だが、その真意は計り知れない

画像 近江連合5代目直参・郷龍会2代目組長、郷田龍司。信条は力、酒と女が大好きで、自分が唯一無比のナンバー1であることを誇りとする。まさに男の願望を地で行く。わかりやすいと言えばわかりやすいが、シンプルなだけに策略は効かない。倒すには力で対抗するしかないのだ

 郷田会長は絶大な力を持つものの、血を流すことは好まない。それは臆病なためでも、恐がりだからでもない。組織の長として、抗争のマイナス面を熟知しているためだ。勝っても負けても勢力をすり減らすのが戦争。だから極力すべきではない、という現実的な発想である。

 だが、傘下の組すべてがその考えに賛同しているわけではない。ことにヤクザ世界となれば、腕っ節の強いのやケンカが好きなのはどこにでもいる。中には腕っ節が強くてケンカも好きで、おまけに野心家という、三拍子揃ったのもいる。こういうのは、武闘派といって、何事につけても力で解決したがる。それによって自分が一番強い男であることを示すのだ。近江連合にもこの武闘派がいる。それも何と郷田会長の息子である。この男、郷田龍司こそが、本編において一馬最大のライバルとなる強敵中の強敵である。

 東城会の弱体化、それにともなう近江連合の東京進出。これほどの大事が2つの組織の枠で収まるはずもない。同じく闇の社会に存在する海外組織の動きも活発化し、神室町では不良外国人が引き起こす凶悪事件が多発する。こうなれば、国家の治安を担う警察も黙っていない。刑事部と公安部双方が独自に捜査を開始する。東京と大阪にまたがるだけに警視庁と大阪府警が関与することになる。

 敵の敵、というわけでもないが、警察関係者は東城会にとってはありがたい存在だ。何しろ勢力が落ちているから警察から見てもさほど脅威ではない。治安の点からいえば、神室町が関西や外国の組織に支配され、抗争が激化するほうが困る。そしてここでも一馬の人望が発揮される。彼の男気を信頼する警察関係者は、立場を超えて彼に協力してくれる。もちろん、一馬も自分を認めてくれる相手であれば、それがヤクザか警察官かなど気にしない。生死をともにできる友か否か。問題なのはそこなのだ。

画像 一馬を信頼する元刑事、伊達。前作の事件に絡んで警視庁を退職しているが、こちらも昔のしがらみで捜査に狩り出される。融通の利かない生き方は一馬と共通する
画像 大阪府警から東京に乗り込んできた女刑事・狭山薫。ヤクザを目の敵にし、男顔負けの荒っぽい捜査を展開する。東城会とは浅からぬ因縁があり、そのせいもあって担当を自ら買って出た

 東城会、近江連合、海外組織、警察関係者、それに民間人。それら多彩な人々が織りなして描かれる物語が「龍が如く」2の最大の魅力だ。DVD2枚組を費やしたドラマチックな展開と、簡単で爽快なアクション性があなたの年末年始を楽しくさせてくれることは間違いない。ここでは詳しくご紹介できなかったが、ミニゲームやコレクションなどの極め要素も前作を大きく凌駕しており、ただ街をぶらつくだけでも面白い。何しろ、東京・神室町と大阪・蒼天堀(どこが元ネタなのかは言うまでもなし)の2つの街が用意されているのだ。サブストーリーを網羅するだけでもかなりの時間を必要とするだろう。

画像 さまざまな要素をどこまで遊び込んだかのレコードを見ることができるコンプリート画面。どんな食事を取ったかなどという細かいことまですべて記録が残るのだ

 そして物語のほうは文句なく熱い! ヤクザ社会という、ちょっとクセの強い世界を舞台にしているものの、「龍が如く2」は、徹頭徹尾エンターテイメントなのだ。え? 女っ気がない? それも心配御無用! 艶やかなる美女の笑顔をここでご紹介してしまうのはヤボってもの。それは是非ご自分でプレイして味わって戴きたい。今回はキャバクラ経営もできるので、どこまで綺麗どころを集められるか、というのも腕の見せ所だ。

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[水野隆志,ITmedia]

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