「ペーパーボーイ」で新聞少年が1面トップに載った理由:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/3 ページ)
少年への妨害はさらにエスカレート
1日の配達が終わると、配達した家の数に応じてボーナス点が入る。新聞を投げ込めなかったり、窓を割ってしまったりした家は、翌日から購読契約を解除する。
もし契約したすべての家に配達できたら、ボーナス点が2倍となる。さらに、それまで契約を解除した家があったら、そのうち1軒が再契約してくれる。
1日ごとに、少年を待ち受ける障害、というより妨害は、どんどん増えていく。道路工事の個所、ラジコンの数、タイヤの数。交差点を通る車のスピードも上がる。配達に失敗した家から、犬が追いかけてくることもある。
配達を7日間続けられればゲームクリア。その前に残機がなくなるか、あるいは契約している家がなくなればゲームオーバー。どちらにしても、少年は新聞の1面トップに掲載される。
「ペーパーボーイ」では3つのルートが選べる。ここまでは主に「EASY ST」について書いてきたが、あとの2ルートでは、より過激な敵が、少年に向かって襲いかかってくる!
「MIDDLE RD」で特にインパクトが強いのは、柱の陰で普通に立っている死神。少年が通りかかろうとすると、手にした鎌は使わずに、横歩きしてジャマしようとする。
「HARD WAY」では民家から、何かを持ったおばさんが飛び出して、まっすぐ少年に向かってくる。どうしてこの町では、人々が示し合わせたかのように、次々と少年を妨害したり攻撃したりするのだろうか?
ひょっとして、少年の配る新聞「デイリー・サン」には、町の人々にとって“不都合な真実”が書かれているのかもしれない。
……だったら少年を襲う前にまず、道に落ちてる新聞の束を片づけた方がいいと思うけど。
何歳くらいの人が書いたマニュアルなんだろう?
1991年、「ペーパーボーイ」はファミコンに移植された(発売元・アルトロン)。アーケード版から6年経っているが、さすがにファミコンでの完全再現は難しかったのか、オリジナルとは異なる点がいくつかある。
例えば、アーケード版で3つあったルートが1つしかない。ただし、敵の種類はかなり網羅されており、3つのルートに出てくる敵の多くが、この1つのルートに出現する。死神も。突進してくるおばさんも。
そのほか、配達する家や敵の配置がランダムになっている、新聞を入れる玄関が狭い、障害物の当たり判定が広いなどの特徴がある。要するに、アーケード版よりかなり難しくなっているのだ。
1992年のメガドライブ版(テンゲン)は、新聞の飛ぶスピードが速く、狙いを定めやすい。
あと、マニュアルのセンスがすごい。冒頭に「ゲーム内容に負けないくらいマニュアルにも気合いをいれております」と書かれていたが、その言葉に偽りはない。ただ、気合いを入れる方向がちょっと独特だった。
例えば、障害物を説明する文章が以下のごとく。
「車にバイクに犬に猫、スケボー野郎にラジコンカー、変なオヤジに芝刈り機、ブレークダンサー、一輪車、あなたのお名前なんてぇの?オバサン、死に神、ヨッパライ、などなど……。」
……えー、敵キャラにはトニー谷さんも金剛地武志さんもいないはずだけど。
あと、契約した家すべてに配達できたら、ボーナス点が倍になることを説明するくだりに、「得点、二倍、二倍!(高身山関談)」と書かれている。
……えー、これは昔、高見山関(現在の東関親方)が丸八眞綿のCMに出たときのセリフをもじったものなのだが。……さっきの「あなたのお名前」といいこれといい、ネタが相当古い。
パッケージには、「嵐を呼ぶ男」の替え歌が載っていた。これも90年代のネタじゃない。
マニュアル全編がこんな感じの、ゆるい脱力感に覆われている。個人的には、こんなセンス、すっごい好き。
その一方で、「自転車の速度によって新聞の飛ぶ方向が変わる」とか、「盛り土を飛び越すとボーナス点が入る」とか、ゲームに必要なテクニックがきちんと解説されており、マニュアル本来の役割も、しっかり果たしていた。
2006年のプレイステーション 2「ゲーセンUSA ミッドウェイアーケードトレジャーズ」(サクセス)には、「ペーパーボーイ」のほか、「ガントレット」、「クラックス」、「マーブルマッドネス」、「ランパート」、「ハードドライビン」と、日本でもよく知られたゲームが収録されている。
グラフィック・BGMともに、アーケード版そのままなので、当時の「ペーパーボーイ」をプレイしたことがあるわたしなんかは、非常に懐かしく感じる。
メガドライブ版より難しいのだが、オプションで残機を無限にすることもできるので、とりあえずエンディングまでたどり着くことは可能だ。
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