インタビュー
システムソフトウェア1.80でPS3は何が変わったのか――PS3システム開発担当 川西泉氏インタビュー (1/3)
システムソフトウェアが1.80にバージョンアップされ、さまざまな機能向上が実現されたプレイステーション 3。それら新機能の詳細を、ソニー・コンピュータエンタテインメントの川西泉氏に聞いてみた。
プレイステーション 3(以下、PS3)のシステムソフトウェアが、5月24日に1.80へバージョンアップされ、プレイステーション/プレイステーション 2ゲームやDVDのアップコンバート出力、PSPを使ったインターネット経由のリモートプレイ、DLNAクライアント機能のサポートなど、さまざまな新機能が追加された(ちなみに6月28日には、一般的なAVC High Profile(H.264/MPEG-4)動画の再生に対応した1.82へアップデートされている)。
過去のシステムソフトウェアのバージョンアップにおいても新機能が追加されてきたが、今回のバージョン1.80で追加された新機能は過去にないほど特徴的なものが多く、実質的に“メジャーバージョンアップ”と呼べるほどの進化を遂げたと言っても過言ではないだろう。そこで、システム開発を担当しているソニー・コンピュータエンタテインメント ソフトウェア・プラットフォーム開発本部部長の川西泉氏に、新たに追加された機能の詳細や今後の展望などについて聞いてみたのでご紹介しよう。
ゲームのアップコンバートは最終画像を引き延ばして実現
コーポレート・エグゼクティブ兼CTO Software(ソフトウェア・プラットフォーム開発本部長) 川西泉氏――システムソフトウェアが1.80になって、PS3の機能面がかなり充実しましたね。
川西泉氏(以下、敬称略) どの機能を盛り込むのかというのは、さまざまな観点からタイミングを決定しますが、今回のバージョン1.80は、PS3発売から半年ほど過ぎ、ユーザーの皆様からの幅広いニーズにもお応えするべくいろいろと盛り込みました。
――プリンタやDLNAへの対応というのは、ゲーム機から一歩踏み出したという印象を受けますが。
川西 アップデートには2つの要素があります。1つは、SDKやライブラリも含めたゲームの機能の拡充です。これは、ゲームをプレイする一般のユーザーの方々には見えないものですが、ゲームの中で活かされる機能として使われるものです。もう1つは、(プリンタやDLNAへの対応など)直接ユーザーの方々に見えるものです。追加された内容を見ると比較的AV機能の充実を重視していると思われるかもしれませんが、これはPS3のシステムを向上させた部分が見えるAV機能部分に活かされているのです。
――SDK周りも含めたゲーム機能の拡充としては、具体的にどういった部分でしょうか。
川西 いろいろありますが、例えば、ゲームの中で音楽や静止画を扱いたいという要望に対して、AV機器としての機能を活かせるようにしたいと思っています。
――HDDの中にユーザーが保存している音楽や静止画などのデータをゲーム中で活用できる、といったようなものですか。
川西 そうですね。AV機能もそうですし、ネットワークに関しては、オンライン専用コンテンツの「まいにちいっしょ」で実現したPLAYSTATION Storeにアクセスすることなく、「まいにちいっしょ」から直接アイテムの購入ができるという点もそうです。特別なメニューにアクセスすることなく、ゲームからPLAYSTATION Store やPS3本体のHDDに保存されたデータを呼び出せるようにしたいと考えています。
――また、バージョン1.80の大きな特徴のひとつとして、DVDやPS/PS2ゲームのアップコンバートが可能になった点がありますが、特にゲームのアップコンバートはどのように実現しているのですか。
川西 ゲームのアップコンバートは、映像を作って最終的な出力の段階で引き延ばすという方法を採用しています。技術的には当初からやろうと思えばできたことですが、技術がある程度枯れてこないとパフォーマンス的なマージンが取れなかったので、ようやくここにたどり着いたというところです。
――実際にPS2のゲームをアップコンバートさせてプレイしてみましたが、エッジの強調やアンチエイリアスなどを駆使する以上の、レンダリングレベルでのアップコンバートを行っているかのような効果が得られているように感じましたが。
川西 実は、DVDでやっているほど強力なアップコンバートは行っていません。DVDの場合は処理能力に余裕があるので、絵作りも含めたアップコンバートができるんですが、ゲームは動作処理にパワーが必要ですので、それに支障のない形でアップコンバートを行う必要があります。ですので、やれる範囲内でアップコンバートを行っています。それでも、ジャギーの低減などかなりの効果が得られています。
――タイトルによっては全く別物に見えることもありました。
川西 そうですね、そういうものもありますが、まだあまり実感しにくいタイトルがあるのも事実です。最終的な絵が出てきた段階でのアップコンバートですから、欲を言えばもう少しやれると思うんですが、まだ検討中です。
――プリンタの利用もサポートされましたが、この経緯はどういったものだったんですか?
川西 「映像がきれいなので印刷したい」というユーザー方々のご意見が一番の後押しでした。スナップショットを撮ったら印刷したりネットにアップしたくなるというユーザーニーズに応えたいと考え、対応しました。対応するプリンターは今後も増やす予定でいます。
――現状ではプリンタはUSB接続で利用することになっていると思いますが、ネットワーク接続のプリンタも対応可能ですか?
川西 技術的には対応は可能と言えますが、まだ検討段階です。
[聞き手:平澤寿康,ITmedia]
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