コンピレーションアルバム「Elements Garden III -phenomena-」発売! Webリレー企画第5弾Elements Gardenメンバー全員集合インタビュー(2/5 ページ)
──いろんな個性あふれるメンバーですが(笑)、作曲家が6人も集まって困ることはないですか?
上松 「困ること? 困ること……(みんなに)何かあるかな?」
藤田 「日常生活で困ることはないですね。でも今回のアルバムの表題曲『PLEASE KILL OUR MUSIC』は、作詞・作曲・編曲がElements Garden、全員が参加して作っているんですね。普段は作曲はひとりで、編曲もひとりでやる、これが基本なんです。でもPLEASE KILL OUR MUSICは全員で作ることになって、まず作詞2人、作曲4人ぐらいに分かれてやりました。
作曲家が出すメロってもちろんひとりひとり違うわけで、誰のメロをどう使うか、せめぎ合いとゆずり合いが(笑)、そういうのがあって、なかなか決まらないです」
Elements Gardenの作曲観
──みなさん、持っているものは違っていて、それを同じボウルに入れてぐるぐる混ぜても一緒になるわけではないと思うのですが。
上松 「基本、作曲家はエゴの塊で、オレオレなんですよ。でも同じ目標をみんなでしっかり持つんです。例えば、アニメ業界でしっかり仕事をして、ブランドを広めていきたい、そういった“ひとつ上の目標”があると、混ざらないと思っていたものが混ざるんです。
作曲家ひとりだと“自分の名前を上げていきたい”って絶対なるんですけど、そうじゃなくてもっと大きく、“この業界を音楽で変えていく”とかその様な位置を作ることで、みんなの目標が高くなる。そうするとひとりの力でやるより、多くの人間で、全員でやる方が力が出て強くなるんです。週刊少年ジャンプの主人公みたいな考え方なんですけど(笑)、自然とそういう風になってきます。
もちろん他にも大事なことがあるんです。『戦う』というか、ライバルでいるという気持ちは常にあります。そこがないと逆に集団でいる意味がなくて、慣れ合いは何も生まないんです」
──仲間であり、ライバル。他の人の曲を編曲するときは、どういう心持ちですか?
上松 「僕からのは暑苦しい曲がいくよね。まず疲れると思う(笑)」
中山 「上松さんの曲は、それ単体でもの凄いGを発生しているので、勝手に引き込まれていくというか、どうするべきかというのは割と見えてて。なので『どうしよう』というよりは、自分らしさを織り交ぜつつ、その見えている方向でいかにやれるかを考えています。
ただ曲のエネルギーがものすごいので、自分の曲を編曲するよりはるかに体力を消耗します」
上松 「呪いかけてあるからね(笑)」
菊田 「(笑)。すごい重力があるから。でもたまにそういうのじゃないのもあって。好きにやってくれ、みたいな、選択肢がたくさんある時もあって。意外な感じになったりすることがあります。上松さんっぽくないなー、というのがたまにあったりしますよね」
上松 「僕は曲を作るとき、曲だけ作るときは、“作曲家”というイメージより“プロデュース”、関わる作品全体を把握して、その到達点を見ていて。『このプロジェクトはこうなるんじゃないか』とか、『驚かしてくれるんじゃないか』とか。こうなる、というのを通り越して、例えば中山だとものすごいことになるんじゃないか、とか考えています。
あと実は、自分自身、編曲が苦手だと思っていて。自分の色が強いので。なのでElements Gardenとして自分で自分の曲を編曲し続けていると、すぐ飽きられてしまうのではという意識はあります。
これは嘘じゃなくて本当に思っているんですけど、ここにいるみんな天才で、すごい尊敬しているんです」
──実際、編曲したものを聞いてどう感じましたか? 「Live in Despair」は菊田さんが編曲されていますが。
上松 「Live in Despairは、菊田もまあえらいことになったね、と驚きました。オーケストレーションに近い弦楽器を使って、なおかつコーラス、東京混声合唱団の歌も入れて、それを菊田がやるとどうなるんだろうと思いました。あと、やったことがないことをやるというのはすごくモチベーションが上がって、一発目って絶対いいものができるんですよね。慣れてくると、どんどん設計図が見えてきちゃうんで、その設計図から離れたものができにくくなってくるんです」
菊田 「編曲して面白かったですね。ソプラノ、アルト、テナー、バスと4人のコーラスを入れたんです。それをもう1本ダブって8人にして、それがバックコーラスに入る。すると結構分厚くなって」
上松 「あれはジャンルでいうとなんになる?」
菊田 「なんなんですかね? “シンフォニックなんとか”みたいな」
上松 「“なんとか”ってなに(笑)」
菊田 「シンフォニックテクノ……うーん」
上松 「デジタル!」
菊田 「デジタル……」
上松 「俺の言葉追いかけてるだけだよ(笑)」
一同 「(笑)」
菊田 「うーん(笑)。でも四つ打ちだから」
上松 「デジタル、トランス、シンフォニック、オペラ……」
菊田 「オペラ、なんとか」
上松 「なんとか(笑)。でもこの曲を聴いたとき、ものすごい念を感じました」
菊田 「ミクスチュアな感じですよね。弦が入ってるわ、コーラスは入ってるわ、打ち込みだわ。混声合唱の譜面を書いたの初めてだったんですけど、すごく勉強になったし、使えるなって。アレンジとかもいろいろ自分の力になって、非常に楽しかったです」
──中山さんの編曲、「Believe forever」はどうですか?
上松 「この曲は、あんまり中山にここはこうしてとか言わなかったよね?」
中山 「そうですね。前作の『STAR LEGEND』の流れをくみつつ、という点だけですね」
上松 「中山と一緒にいる年月が長くなってきて、彼に驚かされることがすごく増えてきて。最初はまだ全然コラボもしてないし、やっぱり年齢が若い部分もあったから、どうしても口が出ちゃうんですよね。だけど時間が経ってきて、サウンドに面白いものを必ず入れてくるんです」
中山 「Believe foreverは、自分の中で、良いとか悪いとかじゃなくて、想像していた曲と違って、『ああ、こんな明るめな曲でくるんだ』と思って。Believe foreverと、前作のSTAR LEGENDが割と離れた感じなので、それをどう繋ぐのか、というところで何か新しいことができるかなと。遊びの要素も入れつつ、一番は作品の世界観に合わせて作る。結果、自分にはなかった新しいものができました」
上松 「エレガの中で、中山が仕上げると新しいサウンドになりますね。毎回毎回“広がった”と思うことが多いです。伝統をうまく崩してくるというか、そういうタイプだなと」
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