ホラーでも、サイコサスペンスでもない。現代のおとぎ話の幕が開ける「ルール オブ ローズ」レビュー(2/4 ページ)

» 2006年01月26日 12時00分 公開
[水野隆志,ITmedia]

世界観とは逆に遊びやすいシステム

 ストーリー展開が不可思議だと聞くと、ゲームとして遊べるのか、不安を覚える人もいるかもしれない。だが、その点は心配いらない。ルール オブ ローズは、ゲームのジャンル的にはいわゆるアクション・アドベンチャーに分類されるが、この点では、かなりオーソドックスな作りになっている。

 アクション・アドベンチャーの場合、マップ内を探索してキーアイテムを集め、フラグを立てて物語を先に進めていくという進め方が一般的なスタイルになる。そして、敵や仕掛けなどが、それを阻む障害として設置されるわけだ。

 ルール オブ ローズは、このスタイルをきっちり踏襲している。物語は、いくつかの章から構成されているが、それぞれの章には、話を進めるキーアイテムがいくつか用意されていて、これを順番に見つけていけばクリアできるようになっている。行き詰まったらキーアイテムを捜せば良い、というのはプレーヤーとしては対処しやすいだろう。

 キーアイテム探しには、ある理由が設けられている。この飛行船では屋敷でジェニファーを襲った子供たちが支配者になっていて、自分たちの定めた階級社会を作っている。階級のトップには熊の王子様と、そのプリンセスがいるのだが、プリンセスはほかの子供たちにさまざまな貢ぎ物を要求し、なるべく良いものを持っていった順に、高い階級を与えてくれるのである。

 ジェニファーは、子供たちによって最下級のランクに位置づけられているため、プリンセスから出される貢ぎ物を納めるという形で、キーアイテム探しを行うことになるわけだ。とは言え、子供たちは、ジェニファーを見下していて、探索などはまったく手伝ってくれないし、ろくなヒントもくれない。飛行船はかなり広いので、このままではアイテム探しなど大変な作業になってしまうのだが、ここで登場するのが、ジェニファーの唯一のパートナー、犬のブラウンとなる。

photo みんなから“薄汚れている”とさげすまれる犬、ブラウン。なぜかジェニファーになついていて、その命令に忠実に従う

 ブラウンは、ゲームの舞台が飛行船に移った直後に仲間になる。そして、その嗅覚でアイテム探しを大いに手伝ってくれる。

 たとえば、ある人物を捜そうとする場合、ジェニファーがひとりで行うと、部屋を順番に調べていくしかなくなる。これはものすごい手間だ。だが、その人物が身につけていた服やお気に入りの玩具などを見つけさえすれば、一気に道は開ける。それに付いている臭いをブラウンに追わせる、という手段がとれるからだ。

photo アイテムの臭いを追わせるには、メニュー画面を開き、アイテムを選んで「Find」を実行する。左下の「Find Target」という項目は、そのアイテムから臭いをたどれるアイテムが何種類あるかを示している。すでにターゲットが判明済みならアイテム名が、未確定の場合はクエスチョン・マークが表示される。写真の例で言えば、キャンディーの場合、たどれるアイテムが合計3種類あり、そのうち1種類が判明済み、残る2種類が不明という意味になる
photo 臭いをたどるとき、ブラウンは最短経路でそれを追おうとする。途中に障害物や入れない区画などがあっても、あくまで直線的に行動するので、時にそれらに引っかかってしまうことがある。この場合は、いったんコマンドを解除し、場所を移動してから改めてFindさせればいい。ちなみにブラウンの嗅覚はかなり強く、遠方からでも十分にアイテムの臭いを嗅ぎ分けられる。直線距離で範囲内にあれば、階層が違う場合でもOKだ

 このように、ルール オブ ローズでは、犬の嗅覚というアイディアを使うことで、キーアイテム探しにかかるプレーヤーの手間を軽くしている。嗅覚という、本来、ゲームでは感知できない五感をとり入れたことで、パートナーが犬である理由がはっきりし、ゲーム的にも独特のプレイ感覚を味わえるのだ。これは、秀逸なアイディアだと言っていいと思う。

 また、Findにはもうひとつ、難易度の調整という重要な意味がある。ゲーム内には、Findを使わないと発見できない、あるいは発見が困難なアイテムが数多く用意されている。

 特に重要なのが回復アイテムで、普通にプレイしていると、手に入る回復アイテムはそれほど多くない。だが、こまめにFindをしていれば、結構な数を入手できる。この差は大きい。だから、キーアイテムだけではなく、時には回復アイテムの臭いをたどらせることも、ゲーム上、大切になってくるのである。時には靴下に残った臭いをもとに追跡させたら洗濯挟みを見つけられた、なんてこともあるが、ま、そのあたりはご愛嬌ということで。

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